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驚異的な成長を続けるクラウドソーシング「oDesk」。その精緻な仕組みと成功のエッセンスを探る
クラウドソーシングとは、インターネットを通じて、企業が不特定多数の人々に業務をアウトソーシングすること。クラウドコンピューティング(クラウドのつづりが異なるが)とともに、今年大きな注目を集めたキーワードの一つだ。
ちなみに一般的なクラウドソーシング事例については、その分析とともに以前のコラムで記したので参考にしてほしい。
いくつご存知ですか?海外のクラウドソーシング事例をまとめてみました
これらクラウドーソングサイトが将来性豊かなサービスであることは間違いないが、実際にビジネスとして健全に成長しているものはまだ数えるほどしかないのが現状である。特に成長の足かせになっているのは、需要(企業)と供給(クラウド)の双方を同時に成長させていく必要がある、いわゆる「鶏と卵」の問題だ。
しかしながら、多くのサイトが足踏みしているのを横目で見ながら、創業以来、驚異的な成長を続けているサービスがある。世界中の優秀な在宅ワーカーをクラウドとして、企業の業務をアウトソーシングしている「oDesk」だ。
創業5年足らずにもかかわらず、すでに月50万時間の業務を1万8,000社のクライアントに提供する企業に成長し、さらに対前期比600%超の勢いで伸び続けている稀有のベンチャーだ。
手がけている業務内容はプログラミングやデザイン、翻訳など多岐にわたる。企業が依頼内容を掲示すると世界中のクラウドから入札が入る仕組みで、日本でいうと楽天ビジネスのサービスに類似している。
ただし異なるのは、楽天ビジネスが国内約1,300社の小企業を受注元としているのに対して、oDesk は全世界35万人の個人フリーランスを対象としている点だ。
それともう一つ、oDesk 最大の特徴は、在宅ワーカーに対して「時給型」の委託業務を提供している点(成果報酬型も存在するが、時給型が主流)だ。ここが「成果に対する報酬」を基本とする楽天ビジネスや米国 elance などと大きく異なっているのだ。
しかし、どのような仕組みで「時間給の在宅ワーク」を成立させているのだろうか?まずその点を探っていきたい。
これは在宅ワーカーと交流するための企業サイドの管理画面だ。横並びになっている画面イメージは10分おきに自動バックアップされるスクリーンキャプチャーで、そのサイドにある10段階の縦長インディケーターはそのワーカーのアクティブレベルをあらわしている。
アクティブレベルはワーカーのマウスやキーボードの動きを自動検知して計算される。出社している社員でも、実際に仕事をしているかどうかは横に座っていないとわからないことが多い。その点、oDesk は監視システムをワーカーの PC に組み込むことで、出社させる以上にきめ細かい就業管理を実現しているのだ。
さらにチャットやアウトプット閲覧、必要あらばビデオ監視もできるようになっており、万全の管理システムが提供されているのが最大の特徴だ。
ワーカーサイドの機能も充実している。例えば、oDesk 内のワーカー同士が、あたかもオフィス内で協業しているように作業をすすめるためのコラボレーションプラットフォームが完備されている。
また企業がワーカーの技術レベルを把握できるように、多様な分野ごとのテストが用意されている。ワーカーからするとこのテストを受けることで自らの価値をプレゼンテーションできるわけだ。当然それ以外に過去の業務委託に対する評価も五段階で蓄積され、常時閲覧できるようになっている。
なおワーカーの時給は自らが決定できる。ただし発注の選択権はもちろん企業サイドにあり、彼らは技術者のスキルや実績をチェックして採用する。したがっておのずと神の手が働き、適切な時給を調査し、自らの手で登録することになる。実にわかりやすく、しかも自己啓発が働きやすい仕掛けだ。ちなみに業種ごとでも時給は大きく異なってくる。
大雑把に言うと最も高いのが開発者(プログラマ)で時給15ドル、最も低いのがデータエントリーで時給3.5ドルだ。特徴的なのはプロジェクト管理者やコンサルタントは時給10ドルと決して高くないこと。神の見えざる手はなかなか含蓄深いことがうかがえる。
ちなみに請求や入金なども oDesk が一括で行なうので、企業は複数ワーカーに対して個別に支払いを行なったり税金を意識したりする必要はない。ワーカーサイドにとっても、報酬は毎週 oDesk が取りまとめて口座振込みするなど安心の仕組みを提供しており、微細なところまで心配りが行き届いていることがわかる。
さらにもう一つ、IT 業界人であれば大変に興味深いデータがリアルタイムで提供されているので紹介したい。
これは、oDesk に依頼される案件情報をペースに計算されている技術トレンドの俯瞰図だ。これにより、例えば Google App Engine、Adobe Air、Salesforce などの仕事が急増している様がわかるわけだ。
技術者にとっては、習得する技術の選択は職業人生を左右する大切なものだ。世界中のどんな推測情報よりも確かな技術トレンドをこのサイトで確認できることの付加価値は高いはずだ。逆に企業サイドとしても言語選択やアーキテクチャー選択にも大変有用と言えよう。
このように素晴らしいことづくめの oDesk だが、最も気になる日本語対応はどうなのだろうか?残念ながらこのサイトは英語を暗黙の前提としているため日本語のできるワーカーは少ない。ただしゼロではないようだ。ちなみに日本語の翻訳ができるワーカーを検索してみると143人がリストされることがわかる。
すこし前に「オフショア開発」(海外拠点での開発)という言葉が SIer を中心に流行ったが、海外拠点の構築コストなどを考えると我々ベンチャーには縁遠いものだった。しかし今や時代は大きく変わった。社員の英語能力を磨くことで、小さな個人企業でも、世界中の優秀なマンパワーを、極めてリーズナブルな料金で活用できるようになったのだ。
すべての企業の PC 上に、そのチャンスとピンチが均等に存在している。ボーダーレスな世界、それがクラウドソーシングの本質といえよう。
筆者 Twitter はこちら。ご意見、コンタクトなどお気軽に。
執筆:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
監修:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
ちなみに一般的なクラウドソーシング事例については、その分析とともに以前のコラムで記したので参考にしてほしい。
いくつご存知ですか?海外のクラウドソーシング事例をまとめてみました
これらクラウドーソングサイトが将来性豊かなサービスであることは間違いないが、実際にビジネスとして健全に成長しているものはまだ数えるほどしかないのが現状である。特に成長の足かせになっているのは、需要(企業)と供給(クラウド)の双方を同時に成長させていく必要がある、いわゆる「鶏と卵」の問題だ。
しかしながら、多くのサイトが足踏みしているのを横目で見ながら、創業以来、驚異的な成長を続けているサービスがある。世界中の優秀な在宅ワーカーをクラウドとして、企業の業務をアウトソーシングしている「oDesk」だ。
創業5年足らずにもかかわらず、すでに月50万時間の業務を1万8,000社のクライアントに提供する企業に成長し、さらに対前期比600%超の勢いで伸び続けている稀有のベンチャーだ。
手がけている業務内容はプログラミングやデザイン、翻訳など多岐にわたる。企業が依頼内容を掲示すると世界中のクラウドから入札が入る仕組みで、日本でいうと楽天ビジネスのサービスに類似している。
ただし異なるのは、楽天ビジネスが国内約1,300社の小企業を受注元としているのに対して、oDesk は全世界35万人の個人フリーランスを対象としている点だ。
それともう一つ、oDesk 最大の特徴は、在宅ワーカーに対して「時給型」の委託業務を提供している点(成果報酬型も存在するが、時給型が主流)だ。ここが「成果に対する報酬」を基本とする楽天ビジネスや米国 elance などと大きく異なっているのだ。
しかし、どのような仕組みで「時間給の在宅ワーク」を成立させているのだろうか?まずその点を探っていきたい。
これは在宅ワーカーと交流するための企業サイドの管理画面だ。横並びになっている画面イメージは10分おきに自動バックアップされるスクリーンキャプチャーで、そのサイドにある10段階の縦長インディケーターはそのワーカーのアクティブレベルをあらわしている。
アクティブレベルはワーカーのマウスやキーボードの動きを自動検知して計算される。出社している社員でも、実際に仕事をしているかどうかは横に座っていないとわからないことが多い。その点、oDesk は監視システムをワーカーの PC に組み込むことで、出社させる以上にきめ細かい就業管理を実現しているのだ。
さらにチャットやアウトプット閲覧、必要あらばビデオ監視もできるようになっており、万全の管理システムが提供されているのが最大の特徴だ。
ワーカーサイドの機能も充実している。例えば、oDesk 内のワーカー同士が、あたかもオフィス内で協業しているように作業をすすめるためのコラボレーションプラットフォームが完備されている。
また企業がワーカーの技術レベルを把握できるように、多様な分野ごとのテストが用意されている。ワーカーからするとこのテストを受けることで自らの価値をプレゼンテーションできるわけだ。当然それ以外に過去の業務委託に対する評価も五段階で蓄積され、常時閲覧できるようになっている。
なおワーカーの時給は自らが決定できる。ただし発注の選択権はもちろん企業サイドにあり、彼らは技術者のスキルや実績をチェックして採用する。したがっておのずと神の手が働き、適切な時給を調査し、自らの手で登録することになる。実にわかりやすく、しかも自己啓発が働きやすい仕掛けだ。ちなみに業種ごとでも時給は大きく異なってくる。
大雑把に言うと最も高いのが開発者(プログラマ)で時給15ドル、最も低いのがデータエントリーで時給3.5ドルだ。特徴的なのはプロジェクト管理者やコンサルタントは時給10ドルと決して高くないこと。神の見えざる手はなかなか含蓄深いことがうかがえる。
ちなみに請求や入金なども oDesk が一括で行なうので、企業は複数ワーカーに対して個別に支払いを行なったり税金を意識したりする必要はない。ワーカーサイドにとっても、報酬は毎週 oDesk が取りまとめて口座振込みするなど安心の仕組みを提供しており、微細なところまで心配りが行き届いていることがわかる。
さらにもう一つ、IT 業界人であれば大変に興味深いデータがリアルタイムで提供されているので紹介したい。
これは、oDesk に依頼される案件情報をペースに計算されている技術トレンドの俯瞰図だ。これにより、例えば Google App Engine、Adobe Air、Salesforce などの仕事が急増している様がわかるわけだ。
技術者にとっては、習得する技術の選択は職業人生を左右する大切なものだ。世界中のどんな推測情報よりも確かな技術トレンドをこのサイトで確認できることの付加価値は高いはずだ。逆に企業サイドとしても言語選択やアーキテクチャー選択にも大変有用と言えよう。
このように素晴らしいことづくめの oDesk だが、最も気になる日本語対応はどうなのだろうか?残念ながらこのサイトは英語を暗黙の前提としているため日本語のできるワーカーは少ない。ただしゼロではないようだ。ちなみに日本語の翻訳ができるワーカーを検索してみると143人がリストされることがわかる。
すこし前に「オフショア開発」(海外拠点での開発)という言葉が SIer を中心に流行ったが、海外拠点の構築コストなどを考えると我々ベンチャーには縁遠いものだった。しかし今や時代は大きく変わった。社員の英語能力を磨くことで、小さな個人企業でも、世界中の優秀なマンパワーを、極めてリーズナブルな料金で活用できるようになったのだ。
すべての企業の PC 上に、そのチャンスとピンチが均等に存在している。ボーダーレスな世界、それがクラウドソーシングの本質といえよう。
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執筆:株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表取締役 斉藤 徹
監修:株式会社ワールド・カフェ 代表取締役 笠原 造
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