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可動部品―あるいはハードディスクやキーボードも―はいずれなくなるコンピュータや技術で最も大きく最も長期的なトレンドは一般的によく知られている。Moore 氏と彼の法則のおかげで、各種デバイスが小さく、安く、高速になっていくことはだれでも知っている。
しかし、最も評価されていないトレンドが機械から半導体素子への容赦のない移行だ。見て見ぬふりをしても、このトレンドはもうすぐ終わろうとしている。まもなく、ほぼすべてのコンピュータやコンシューマー電子機器からは可動部品が消えていく。 半導体素子への移行は不思議なことではない。機械部品が電子部品に変わることで、デバイスは小さく、安く、エネルギー効率が良く、頑丈で、耐久性が付き、修理や保守が容易になり、汚れや埃の影響を受けいくくなる。 ここ10年の電子機器の進化だけでもすごい。大半の携帯電話には引き出し式のアンテナが装備されていたが、今のアンテナは内部に固定されてしまった。 マウスにはトラックボールが搭載され、これがマウス内部の物理的な金属製のバーを回転させて X/Y 軸方向の動きを示していた。ところが、今のマウスは光を使って動きを検知する。 昔の腕時計はゼンマイで歯車を押して時を刻んでいた。そのようなものは今も存在するが、今の時計の大半は小型のコンピュータに過ぎない。 ● ハードディスクの最期 ほかのものはまだ移行の過程にある。PC のストレージは、回転する磁気プレートと高速移動してデータを探し出すアクチュエーターが搭載されたハードディスクドライブからトランジスタベースの技術であるフラッシュメモリへの移行が、今われわれの目の前で進んでいる。 オリジナルの Apple iPod は、大半がハードディスクを搭載していた。消費者の大半は「iPod Classic」と呼ばれるようになった同デバイスを敬遠し、フラッシュメモリを採用した半導体版「iPod Touch」を支持している。 小生も含めた IT 専門家は、Apple による最新の発表で、iPod Classic とその時代遅れのハードディスクが正式に製造中止とならなかったことに驚きを隠せなかった。 ほぼすべてのノート PC、ネットブック、メディアプレーヤーといった各種小型デバイスが1〜2年でハードディスクドライブではなく半導体ストレージを搭載してくることはほぼ確実だ。 それから2年もすればデスクトップにもそれらが搭載されていくだろう。 ● ボタンの最後 TechCrunch が先月指摘したところによると「ボタンの最後」が差し迫っているようだ。 Apple iPhone は史上最高の売上を誇るスマートフォンで、ボタンのない携帯電話が安心して登場できる世界を作りだした。 もちろん、下側にある大型のスタートボタンや、スリープ/ウエイクおよびボリュームの各ボタンなど、iPhone にもボタンはある。しかし、iPhone は過渡期にあるデバイスだ。 将来的に、携帯電話には物理的なボタンが文字通り1つもなくなるだろう。 また、テレビのリモコンからもボタンが消えつつある。Boy Genius Report ブログでは、Apple が将来投入するリモコンの流出写真を掲載している。これは、「Apple TV」の将来のバージョンに付属するはずだ。 ただし、この記事が本当であれば一番乗りは Apple ではない。Radio Shack などが、半導体式タッチスクリーンを搭載した「Kameleon」リモコンを販売している。 「Nikon CoolPix S230」、「Nikon Coolpix S60」、「Panasonic Lumix DMC-FX500」、「Sony Cyber-shot DSC-G3」、そして「Sony Cyber-shot T900」など、新型のデジタルカメラも機械式ボタンの代わりにタッチスクリーンを搭載している。 ● ディスクの最後 リムーバブルメディアは同時に3つの進化の道をたどってきた。穴の空いた紙の形で始まったそれは、テープからフロッピーディスク、そして「ちょっと堅めの」フロッピーディスク、CD、DVD、そして現在は Blu-ray へと進化した。 これらの前進する技術の一般的トレンドは可動部品の減少へと向かっているが、完全に半導体素子だけの機能は現実的ではない。機械部品を使ってディスクを挿入させ、回転させ、排出させる必要がある。だからこれらは消える運命にあるのだ。 2番目のトレンドは、半導体素子を使うリムーバブルメディアだ。「USB メモリ」はフロッピーに取って代わり、価格が下がればもうすぐ CD や DVD の代わりにもなっていくだろう。さらには、Microsoft がネットブック版 Windows 7 OS を USB メモリで販売するかもしれないといった話もあるようだ。 しかし、トレンドとして最も大きいのはメディア全体からダウンロードへの流れだ。現在、ソフトウェアの大半はインターネット上で購入と配布が行われている。しかも、長編映画までもがディスクで再生するのではなくダウンロードされている状況だ。 Blockbuster や Netflix をはじめ、主な映画レンタルショップはどこもが長編映画のダウンロードに対応している。1〜2年もすれば、家庭への映画配布はこの方法が主流になるだろう。 これらのトレンド(半導体リムーバブルメディアとダウンロード対応コード)はどちらも、各種デバイスからディスクと鈍重な機械式ディスクドライブを永久に排除することになる。 ● キーボードの最後 われわれの机の上から消える運命にある時代遅れの機械の最後を飾るのがキーボードだ。 Apple 製品が向かう方向では、何もかも iPhone にしてしまうといううわさだ。まず最初にうわさされているのがタブレットで、これはオンスクリーンキーボードとマルチタッチ画面を装備する。その次に、Apple はより大型のタブレットを投入してくると思う。 Apple のデスクトップはいずれ巨大な iPhones のようになり、製図用の机のような角度に設置され、ガラス上を指でコントロールするようになる。キーボードが欲しい場合は、「キーボード」のジェスチャをすれば画面にそれが現れるのだ。 Apple だけではない。Microsoft Windows もマルチタッチ式のキーボードレスコンピューティングをサポートすることになる。Microsoft は、極めて革新的なオンスクリーンキーボードの特許まで取得している。 特許申請によると、この仮想キーボードは Microsoft のエルゴノミックスシリーズキーボードとちょうど同じように半分に分割されている。どちらの半分も、指に合う場所に自動的に表示もしくは移動して配置される。したがって、タイピングモードではどこに手を置いても「F」キーは常に左手の人差し指、「J」キーは常に右手の下になる。 Apple や Microsoft の未来のマルチタッチ OS では、触覚システムが心理的に満足できる触覚フィードバックを実現する。音声認識や音声コマンド、そして自動修正や予測タイピングの改善により、コンピュータへの文字入力の使い勝手はキーボードだけで行う場合よりも高速かつ簡単になっていくだろう。 半導体素子の未来に対し、足をバタバタさせて泣きわめいて抵抗する人もいるだろう。しかし、抵抗は無駄だ。可動部品のない電子部品の世界はほぼ確実に訪れる。 すべてのトレンドラインはギア、車輪、スポーク、モーターなどの産業革命時代の各種技術を採用する古臭く奇妙な機械装置の完全排除の方向を指し示している。 したがって、ムーアの法則が各種デバイスを小さく、安く、高速にし続けるなか、半導体のトレンドはそれを使いやすいものにもしていくことになるだろう。
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