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2009年11月10日 09:00

ソーシャルメディアと上手に付き合うために最初にすべきこと

日々、ブログや動画などのソーシャルメディアが増殖して消費者へ浸透していき、彼らはそれぞれのサイトやツールを利用して自分たちに合った使い方をしている。

そして、他の消費者や企業に対して大きな影響力を持つようになってきていることは、もはや衆知の事実である。企業はこの変化に対応する必要性を理解しており、また、同時に新しいビジネス機会として利用したいと考えている。

だが、そうはいってもまだそこまで踏み出せないでいる企業が多いというのが現実である。ソーシャルウェブスペースで消費者と直接コミュニケーションをとり、関係性を構築することの有効性は強く同意できる反面、かつてそれを試みてきた企業の失敗事例などを考慮すると、リスクを意識するあまり導入を躊躇してしまいがちである。

しかしながら、ソーシャルメディアの可能性は無限に広がっているとともに、もはやこの潮流を止めることは不可能であるのは事実だ。重要だと言われ続け、様々な対応策に関する情報を取得してきてはいるものの、未だ実行に移せない方もいるのではないだろうか。

そこで本稿では、今まで推奨されてきた取り組みを吟味し、どちらかといえば保守的な企業が最初の一歩として実践可能なソーシャルメディアとの付き合い方を2つ提案したい。

■オンライン上のレピュテーションモニタリングを行う
企業はソーシャルメディアを活用して様々な変革が可能だ。注力の度合いによってその影響も大きく異なる。しかし、その活動や構築したキャンペーンを成功させるためにも、最初に顧客や関係者間で自社やブランドに対して実際に何が話されているのか、どのようなフィードバックが挙がっているのかなどを常にモニタリングする必要がある。

これまで、検索エンジンやブログ検索などを行ってきた企業もいるかもしれないが、それだけでは足りなくなってきている。SNS や YouTube はもちろんのこと、掲示板やソーシャルブックマークサービス、そして Twitter など、会話が行われる場所を可能な限りモニタリングの対象として含める必要がある。

特に Twitter に関しては十分に注意していく必要がある。なぜなら、10月に米国で Bing と Google が相次いで Twitter との提携を発表したことを受け、今後日本でも検索結果にリアルタイムの「つぶやき」が表示されるようになる可能性があるからだ。

これまでも、Twitter で誰かが企業の製品やサービスなどの問題点に関する情報を発信すると、ReTweet 機能(あるユーザーから受け取ったつぶやきを、他の人に向けて再度つぶやく機能)でこの情報が拡散していき、次第に事態が大事になっていくというケースや Twitter 内で顧客に誤った対応を行ってしまった企業の例はたくさんあった。

最終的にこのような情報はオンライン/オフライン問わず全体的に広がっていくとはいえ、その火種は Twitter などのリアルタイムコミュニケーションツール内部のコミュニティに限定されていたという認識がある。ある場所では騒がれているが、日頃 Web に接していない人には対岸の火事であった。

しかし、今後検索エンジン側が検索結果に Twitter のデータを取り込んでいくことにより、誰かがつぶやいた他愛ない一言でさえ、該当するキーワードを検索した検索ユーザー全体に知られることになる。Twitter というサービスを知らなくても、ここで発信された不特定多数の人からの情報を検索エンジン経由でリアルタイムに知ることになる。つまり、情報拡散のスピードと幅が更に大きくなっていくことが考えられるのである。

発売開始をした新製品や新サービス、出稿した広告や実施したキャンペーンに関する生の声を聞くことももちろん重要だ。発信したプレスリリースはもちろんのこと、今後はコーポレートブログ、経営者ブログで投稿した記事や自社で開発したコンテンツなど、発信した情報に対して可能な限り耳を澄ませる必要がある。

傾聴により得られた情報を適切な部署に共有し、新製品開発へ活かす、または問題解決のために直接そのユーザーと対話するなど、瞬時に対応することが求められるようになっていく。

■ソーシャルメディアサイトにプロフィールを作成する
次に紹介したいのは、ソーシャルメディアサイトにプロフィールを作成することだ。自社やブランドを考慮してソーシャルメディアサイトを厳選し、それぞれの名称でアカウントを作成して情報を入力する。

この際、初めの段階では双方向のコミュニケーションをあまり求められないサイトを選択して、様子を見ながら進めていきたい。また、ユーザー名と URL との一貫性が保てるように最適な表記ができることが望ましい。

この施策は、そのソーシャルメディアサイトのユーザーはもちろんだが、検索ユーザーへの認知を高めることを目的としている。検索エンジンでは同一ドメインのページが検索結果に表示される数は制限されているため、いくら自社製品に関するコンテンツをサイト内に多数作成しても、表示される項目は限られている。

アジャイルメディアネットワークの徳力氏による「面的 SEO」という表現と同じ考え方だが、企業やブランドに関する情報提供を自社が運営するサイトのみに限定せず、他のサイトにも委ねて、検索結果における認知の機会を増加させるのである。

一つの例として、初めて大学の講義を受講するときを想像してみてほしい。学生は自分の目的に合わせて様々な講義の中から、各自がそれぞれの科目を履修する。基本的に、個々に履修する科目が異なるため、講義が始まったばかりの頃はクラスの中を見回しても誰も知り合いがいない場合がある。

その中で何かきっかけがあれば交流が始まるものの、そうでなければずっと話さないこともある。しかし、まったく会話をしなかったとしても、回数を重ねていくごとに、顔を合わす学生同士はお互いを記憶する。

たとえ、相手が講義中に何も言葉を発しなかったとしても、どんな顔や髪型、服装をしているかなど、特徴のひとつくらいは覚えているものだ。そしてあるとき、街で偶然会う。突然学校の外で会うと何を言っていいかわからなくなることもあるが、その人を「知っている」という事実によってコミュニケーションの障壁は大きく低くなる。

その場で気の利いたことが言えなかったとしても、次回講義で会ったときは、これがきっかけになって交流が始まるかもしれない。その人を認知しているということが、将来的に深い関係性を生む可能性があるのである。

筆者が1年前に参加した米国のコンファレンスでは、オンライン上の評判管理に関するセッションが行われていた。ここでは、検索結果ページ上にネガティブな評判が表示されてしまった場合の対処方法として、上述した「顔」を増やし、悪評を下方へ押し下げるという方法が推奨されていた。

本稿で提案した施策では、押し下げるという評判管理対策を第一の目的としていないが、図らずとも検索エンジン側によってそのプロフィールページの有用性が認められれば、副次的にこのような効果も得られるという点だけは覚えておきたい。

この効果を裏付けるデータとして、米国の GroupM Search、comScore、M80が2009年10月に行ったソーシャルメディアと検索との相乗効果に関する共同調査結果がある。

この調査によると、ソーシャルメディアと検索広告の両方でブランドに触れたユーザーはそうでない場合よりも、特定の商品に関する検索を2.8倍行い、CTR も50%上昇したことがわかった。さらにこの場合、自然検索結果に表示された広告主のページを2.4倍クリックしているという。

2009年5月に iProspect が Forrester Consulting によって委託され、発表されたディスプレイ広告と検索との親和性に関する調査では、ディスプレイ広告を掲出されたユーザーがその広告自体をクリックしない場合、27%がディスプレイ広告に関する内容を検索しており、さらにそのユーザーの9%がソーシャルウェブスペースで製品やブランド、企業に関して調べているという。

今のところこの数値は少ないかもしれないが、ディスプレイ広告がきっかけとなって情報探索を進め、自分の意思決定を行うことを目的として、他の消費者の使用経験に関する情報を取得するために、ソーシャルウェブスペースを訪問するユーザーが増加することは自明の理である。

ユーザーが情報探索する上で、ソーシャルメディアと検索との行き来はさらに活発に行われるようになり、双方でのエンゲージメント向上が重要になってきているということがわかる。

最後に、米国企業の状況について触れたい。Citibank が2009年10月に発表した調査によると、米国中小企業のソーシャルメディアの活用はまだ手探りの段階であり、少し取り組みを始めてみたがあまり大きな効果は得られていないという企業も多い。

米国では Starbucks や Dell などの大企業による様々な成功事例が取り上げられている反面、中小企業では多くの企業が効果的な活用方法を模索している最中のようだ。

実際に海外のソーシャルメディアサービスを利用してみると、業種や企業規模に関わらず、様々な企業がソーシャルメディアに対応するために試行錯誤を重ねているのがわかる。中には、Facebook にファンページを開設したものの、管理者の理解が浅いために一方通行の情報提供に留まってしまい、数日後に訪れると情報更新が滞ってしまっているケースもある。

絶えず増殖や変化を繰り返す、完全に掴みきれないメディアとどのように対峙していくのか。これは単純にマーケティングや広報部門だけの問題ではない。全社的に教育や啓蒙を進めて、社内で最低限のポリシーを定める必要性も出てきている。まずはゆっくりと歩み寄って、状況を観察されることをお勧めしたい。

(執筆:株式会社アイレップ SEM 総合研究所 岡本博之)


記事提供:アイレップ

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