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企業として Web 解析能力を向上させるために―Web 解析成熟度モデルの活用(1)
Web サイトへの訪問者行動を分析したデータは、Web サイトを保有している企業にとって客観的な意思決定に役立つ情報の宝庫である。
どうやってサイトに来る人を増やすか、訪問者は何に興味を持っているのか、どのようなコンテンツに説得されて次の行動をとってくれるかなど、思い込みや社内の都合ではなく事実に基づいて意思決定していくことで顧客を理解し、ビジネスチャンスを見つけるヒントが Web の分析データにはたくさん含まれている。厳しい経済状況だからこそ無駄な活動はやめて効果をあげられる根拠のある活動に注力したい。
では、客観的なデータに基づいて意思決定できる企業になるためにはどうすればいいのか。まずは自分の会社が分析力のおいてどのレベルにあるのかを知ることが有効である。現状の自分を知ることでさらに一段向上させる方向性が見えてくるからである。
そこで役に立つのが Web データの活用をもとにしたステファン・ハメル(Stéphane Hamel)氏が考案した Web 解析成熟度モデルである。ハメル氏は Web コンサルタントであり、サイトに何のタグが埋め込まれているかを分析する Firefox のアドオンツール WASP の作者であり、Web Analytics Association(WAA)の理事も務める Web 解析の分野ではリーダーの一人である。
Web 解析成熟度モデル(Web Analytics Maturity Model)
ハメル氏のモデルは「Web 解析成熟度モデル(WAMM)」と呼ばれるが、彼のいう「Web 解析」の領域は定量的、定性的なデータの積極的な活用、統計分析、マルチバリエイトテスト、行動ターゲッティング、ビジネスプロセス分析など ROI 向上のためのビジネス全般の活動におよび、単なるアクセスログの解析にとどまらない。
成熟度モデルというとソフトウェア開発などで用いられる CMMI(能力成熟度モデル統合)を思い浮かべる人も多いだろう。WAMM も複数のプロセス領域においてレベル0からレベル5までの6段階で示される。CMMI と異なり認定機関があるわけではないが、自社が概ねどのレベルに達しているかを自己評価するのに役立つ。成熟度のレベルは以下のとおり。
■ 成熟度レベル
レベル0 − 分析力に劣る組織
簡単なツールやレポートを使ってしのいでいるが、リソースは限定的でトレーニングも不足している状態。Web 分析は無計画に行われ、その価値も限定的。戦術的な目的が設定されているものの十分には共有されず、結果もはっきりしない状態。
レベル1 − 初歩的な組織
ある特定分野において定量的数値が用いられ、業務プロセスはなんとかつながっているがリソースはまだ限定的。結果は複数の領域の人たちと共有はされているが定性的な表現でなされており、Web 解析はオンラインの範囲だけでビジネスに与える影響は限定されている状態。
レベル2 − オペレーションレベルの組織
KPI(主要業績指標)、ダッシュボードは定義されビジネス目的に沿っている。複数の役割をもったチームが形成され競合情報、顧客の声、ソーシャルメディアやモバイルの分析もなされている。定量数値は活用され、セグメンテーション、マルチバリエイトテスティングでも使う試みがなされている。インターネットチャネルは最適化されていて、ペルソナも定義されている。結果は組織の幹部にも報告されている。
レベル3 − 統合推進組織
Web アナリストはオンラインとオフラインのデータを関連付けてみることができ、バリューチェーン全体を示すことができる。最適化はプロセス全体に適用され、オンラインの施策はユーザー目線で設定され、説得シナリオが明確にある。継続的改善プロセスと問題解決の手法が組織内で共有され、洞察と改善提案が役員レベルにも届いている状態。
レベル4 − 分析力強化組織
組織として分析する文化ができている。例えば、役員レベルが事実を基づいた意思決定や分析を主張する、単純な統計値だけでなく予測モデルや複雑な最適化手法を使っている、複数のビジネス分野やプロセスにまたがった分析をしている、分析ツール、データ、組織スキルや能力に関して会社全体として取り組んでいる、という特徴がみられる。
レベル5 − 戦略的分析組織
分析を競走優位の武器にしている企業。戦略的な洞察、継続的改善、統合的、訓練されたリソース、トップマネジメントのコミットメント、事実に基づく文化、実験と学習、インターネットチャネルを越えた適用などの特徴がみられる。
■ どのようにして企業のレベルを向上させるか
自社が Web データ活用のどのレベルにあるかがわかると次はどのようにしてそのレベルを向上させるかの検討が必要だ。次回は WAMM で定義している6つのプロセス領域を参考にレベルアップの方法を紹介しよう。
(執筆:株式会社デジタルフォレスト 取締役副社長 手嶋進)
どうやってサイトに来る人を増やすか、訪問者は何に興味を持っているのか、どのようなコンテンツに説得されて次の行動をとってくれるかなど、思い込みや社内の都合ではなく事実に基づいて意思決定していくことで顧客を理解し、ビジネスチャンスを見つけるヒントが Web の分析データにはたくさん含まれている。厳しい経済状況だからこそ無駄な活動はやめて効果をあげられる根拠のある活動に注力したい。
では、客観的なデータに基づいて意思決定できる企業になるためにはどうすればいいのか。まずは自分の会社が分析力のおいてどのレベルにあるのかを知ることが有効である。現状の自分を知ることでさらに一段向上させる方向性が見えてくるからである。
そこで役に立つのが Web データの活用をもとにしたステファン・ハメル(Stéphane Hamel)氏が考案した Web 解析成熟度モデルである。ハメル氏は Web コンサルタントであり、サイトに何のタグが埋め込まれているかを分析する Firefox のアドオンツール WASP の作者であり、Web Analytics Association(WAA)の理事も務める Web 解析の分野ではリーダーの一人である。
Web 解析成熟度モデル(Web Analytics Maturity Model)
ハメル氏のモデルは「Web 解析成熟度モデル(WAMM)」と呼ばれるが、彼のいう「Web 解析」の領域は定量的、定性的なデータの積極的な活用、統計分析、マルチバリエイトテスト、行動ターゲッティング、ビジネスプロセス分析など ROI 向上のためのビジネス全般の活動におよび、単なるアクセスログの解析にとどまらない。
成熟度モデルというとソフトウェア開発などで用いられる CMMI(能力成熟度モデル統合)を思い浮かべる人も多いだろう。WAMM も複数のプロセス領域においてレベル0からレベル5までの6段階で示される。CMMI と異なり認定機関があるわけではないが、自社が概ねどのレベルに達しているかを自己評価するのに役立つ。成熟度のレベルは以下のとおり。
■ 成熟度レベル
レベル0 − 分析力に劣る組織
簡単なツールやレポートを使ってしのいでいるが、リソースは限定的でトレーニングも不足している状態。Web 分析は無計画に行われ、その価値も限定的。戦術的な目的が設定されているものの十分には共有されず、結果もはっきりしない状態。
レベル1 − 初歩的な組織
ある特定分野において定量的数値が用いられ、業務プロセスはなんとかつながっているがリソースはまだ限定的。結果は複数の領域の人たちと共有はされているが定性的な表現でなされており、Web 解析はオンラインの範囲だけでビジネスに与える影響は限定されている状態。
レベル2 − オペレーションレベルの組織
KPI(主要業績指標)、ダッシュボードは定義されビジネス目的に沿っている。複数の役割をもったチームが形成され競合情報、顧客の声、ソーシャルメディアやモバイルの分析もなされている。定量数値は活用され、セグメンテーション、マルチバリエイトテスティングでも使う試みがなされている。インターネットチャネルは最適化されていて、ペルソナも定義されている。結果は組織の幹部にも報告されている。
レベル3 − 統合推進組織
Web アナリストはオンラインとオフラインのデータを関連付けてみることができ、バリューチェーン全体を示すことができる。最適化はプロセス全体に適用され、オンラインの施策はユーザー目線で設定され、説得シナリオが明確にある。継続的改善プロセスと問題解決の手法が組織内で共有され、洞察と改善提案が役員レベルにも届いている状態。
レベル4 − 分析力強化組織
組織として分析する文化ができている。例えば、役員レベルが事実を基づいた意思決定や分析を主張する、単純な統計値だけでなく予測モデルや複雑な最適化手法を使っている、複数のビジネス分野やプロセスにまたがった分析をしている、分析ツール、データ、組織スキルや能力に関して会社全体として取り組んでいる、という特徴がみられる。
レベル5 − 戦略的分析組織
分析を競走優位の武器にしている企業。戦略的な洞察、継続的改善、統合的、訓練されたリソース、トップマネジメントのコミットメント、事実に基づく文化、実験と学習、インターネットチャネルを越えた適用などの特徴がみられる。
■ どのようにして企業のレベルを向上させるか
自社が Web データ活用のどのレベルにあるかがわかると次はどのようにしてそのレベルを向上させるかの検討が必要だ。次回は WAMM で定義している6つのプロセス領域を参考にレベルアップの方法を紹介しよう。
(執筆:株式会社デジタルフォレスト 取締役副社長 手嶋進)
記事提供:株式会社デジタルフォレスト
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