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三田 隆治(みた たかはる) |
気鋭のモバイルジャーナリスト・プランナーが送る、「これからのケータイビジネス」ヒント集。携帯サービス・コンテンツの企画コンサルティングなども手がける。
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3G 携帯の「パケット経済性」を検証する
著者: 三田隆治 プリンター用 記事を転送
▼2003年1月24日 00:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
前回の「裏読みケータイ」では、3G(第三世代携帯電話)においても、ケータイサービスの基本はあくまで「テキスト」と「静止画」だと述べました。
今回は、3G 化に伴う「パケット単価低下」に、どのような意義と可能性があるのか考察してみましょう。
◆従来の iモードでは、「テキスト配信ビジネス」は成立しなかった
まずは下の表をご覧ください。これは、「文書ビューワー」としての iモードの用途に着目し、あえて印刷物と iモードのパケットを、コスト面から比較してみたものです。
【表●新書サイズの本と iモード携帯電話のパケットをコスト比較してみる】
―3G 導入によってもたらされた iモードのコスト低下は、テキストコンテンツに対しても波及効果がある。
| 媒 体 |
パケット単価 |
価格・料金 |
印刷物との
コスト比率 |
| 新書本(約16万文字) |
-- |
約680円 |
-- |
| 従来の iモード(PDC) |
0.3円 |
約750円 |
約110% |
| FOMA(パケットパック40の場合) |
0.05円 |
約125円 |
約18% |
※上記は概算。1文字2バイトで計算し、ページリクエストに必要なパケットなどについては除外した。
こうして比較してみると、「テキストを読む機能」という点においては、実は従来の iモードは、印刷媒体に比してまるで経済性が成立していなかったことがわかると思います。
しかもこの計算は、コンテンツそのものの料金は計算に入れていませんので、もし有料で書籍コンテンツを配信しようとしたら、iモードはますますコスト面で不利となってしまうわけです。
そこで、FOMA のパケットパックの「印刷物に比して18%」という数字に着目してほしいのです。iモードからの閲覧が、印刷物である書籍に比べ、「2割弱」というコストになれば、仮にコンテンツに課金を行ったとしても、多くの場合で、現実的なコストで新書サイズの情報を提供できる可能性が出てきたのだと考えることができるでしょう。
ここで、ちょっと視点を変えて「レンタルビデオ屋さん」を思い出してみてください。
ビデオや DVD のパッケージはおおむね2000〜3000円以上しますが、レンタルならば料金は400円程度です。つまり「わざわざ買って何度も見たいほどではないが、一度ぐらいは見てみたい」というワンタイム(一回限り)なコンテンツ需要に対して、人は「レンタル」という手段を選択するわけです。こうした「レンタル市場」の形成によって、映画産業そのものが大きく変革し、発達したことはご承知の通りです。
一方、「ケータイから閲覧するデジタルコンテンツ」とは、どちらかというと、「セル」よりも「レンタル」に性質を持っている近いと言えます。したがって、パッケージ購入コストの何分の一かで取得できるコストパフォーマンスが成立すれば、この分野には、今までにはなかった新しい市場セグメントの可能性があると考える方が自然ではないでしょうか。
余談ですが、この話をあるパソコン雑誌でしたところ、編集部のデスクさんに「長い文章を携帯で読む需要なんかないよ」と言われてしまいました。
しかし、私は必ずしもそうは思いません。書籍とはちょっと違いますが、現在あの「2ちゃんねる」は、ページビューの8%程度がケータイからのアクセスになっているということはご存知でしょうか? PC に慣れた人から見たら、あの「2ちゃんねる」をケータイで読むというのは実に大変な作業だと思われるのですが、それでも、あの「2ちゃんねる」を、パソコンを持っていなくても、「どこでも読める」という需要は、現状でも PV(ページビュー)の少なくとも8%分は存在しているのです。
こうした、ケータイから2ちゃんねるを読んでしまうような「ケータイヘビーユーザー」の間で、ひそかに FOMA は「パケ代を節約できるケータイ」として評価され始めているようです。実際、昨年私がお手伝いした FOMA ユーザーアンケート調査でも、FOMA の最大のメリットとして「パケットコストが安い」ことを挙げた人がもっとも多く、iモーションなど、動画に対する評価はさほどでもなかったのです。
NTTドコモも、最近になってようやくこの「コストメリット」に注目したのか、パンフレットやカタログなどで、「FOMA にすればパケット代がオトク」という打ち出し方をするようになってきています。実際、3G については、少なくともテキストや静止画において、経済性が成り立つセグメントが拡大したことが一番大きいと思います。
現状の 3G は、まだまだ動画や音楽データを気軽に扱えるコスト体系にはなっていません。だから 3G ならではのサービスを考える場合は、「テキストや静止画の単価デフレこそが、新しいモバイル需要を喚起する」という前提より、今までのケータイでは成立しなかったサービスについて、可能性を考察してみるべきだと思います。
記事提供: 三田隆治(モバイルジャーナリスト・プランナー)
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