事故を防ぐ(その2)前回、
モバイルマーケティングで起きうる事故について解説したが、
今回のコラムでは、その防止策や対応策について取り上げてみよう。
以下の6か条がポイントとなる。
【1】悲観的に準備し、楽観的に行動する モバイルマーケティングの情報システムやコンテンツ(サイトやメール)を準備する際は、極端に悲観的になっていい。 「サーバーが落ちるかもしれない」「個人情報が漏洩するかもしれない」「リンク先が間違っているかもしれない」等々。 そのひとつひとつに関し、 手持ちの経営資源の範囲でベストを尽くして予防策を実施する必要がある。 しかし、いったん事故が起きてしまったら、望ましい態度は一変する。 大胆かつ迅速に自信を持って行動するのだ。 例えば個人情報が漏洩してしまった際に、 当該顧客にお詫びの商品券を配ることを想定しよう。 うじうじと「商品券などかえって失礼かもしれない」「当社の負担金額が多すぎないか」などと悩んでいるヒマはない。 自分の判断が正しいことを信じて迅速に行動を起こすこと自体が大事なのである。 【2】「オオカミ少年」を歓迎する 「事故か!?」と思ったら、そうでないことも多い。 例えば、「キャンペーン応募がモバイルサイト上でうまくできない」という顧客クレームが来て「サーバーが落ちたのでは!?」と思ったら、 顧客の単純なオペレーションミスであったというような場合だ。 ただし、これに慣れてしまうのが非常に怖い。 顧客クレームがあっても「どうせ、ど素人の操作ミスだろう」とそれを放置し、 貴重な初期対応の数十分や数時間を失ってしまうことになるのだ。 「事故か!? と思ったらそうでなかった」。 こういった取り越し苦労は通常はないほうがいい。 が、モバイルマーケティングで事故を防ぐには、 このような状況が起きるたびに皆でそれを喜ぶべきなのだ。 「取り越し苦労、オオカミ少年、大歓迎」。 こんな対応姿勢をもつことで、 事故が起きても極めて初期に有効な対応策を打つことができるのである。 【3】 チェックシートを活用する 人間は必ず間違う存在である。 絶対にミスをしない人など、この世に存在しない。 その前提に立てば、 間違いを最小化する仕組みづくりが重要であることが理解できるだろう。 間違いを防ぐ仕組みの定番がチェックシートである。 □ 画像リンク □ URL飛び先 □ 電話番号 □ 等々 といった具合に、 確認すべき事項の漏れがないようにあらかじめ定めておくのである。 チェックシートは、 それ自体が貴重なノウハウである。 万が一、不幸な事故が起きても、 次回以降はそれが起きないようにチェックシートを追加・改訂することで、 事故の確率を限りなくゼロに近づけてゆくことができるのだ。 【4】2名以上で役割分担する すでに述べたように、人間は必ず一定確率で間違いを犯す。 その対応策として、 チェックシートと同様に有効なのが複数人での役割分担である。 「コンテンツを作成する人と、それをチェックする人」 「モバイルメールの配信設定をする人と、その配信ボタンを押す人」のように、 複数の人の目を通すのである。 仮に1人でのミス確率が1,000回に1回だとすると、 2名でのチェックにより、 それを100万回に1回へと激減させることが可能なのだ。 【5】迅速に状況開示する(隠蔽しない) 事故が起きてしまった時、 それを隠したい気持ちが起きるのは人間として自然なことだ。 子供がおねしょした布団を隠そうとする姿にそれが如実に表れている。 しかし、モバイルマーケティングの場合は正反対の姿勢が望まれる。 事故の隠蔽は、早期の有効な対応タイミングを逸するだけではない。 当事者にとっても「嘘に嘘を重ねる」といった具合に、 苦しみを雪だるま的に増加させる要因ともなる。 どんなに小さい事故でも、 それを迅速に上司・監督省庁・顧客などに報告することが必要である。 それは自社や顧客のためだけでなく、何よりも自分自身のためなのだ。 桜の枝を折ってしまったことを正直に告白して誉められたジョージ・ワシントン大統領の逸話を思い出して欲しい。 【6】失敗から学ぶ 逆説的に聞こえるかもしれないが、失敗を恐れてはならない。 何かを求めて前向きに行動すれば、失敗は必ず起きるものである。 では、真に恐れるべきものは何だろうか。 それは、「失敗から学ばない」ことだ。 商品価格の記載を間違えてしまった。 「以後気をつけます!」と精神論だけで済ましてしまい、 チェックリストの改訂や運営体制の変更などを行わなかった。 そして同様のミスが再度起きた。 そんな話が皆さんの周りで起きていないだろうか。 この「失敗から学ばない」ことこそ、真に恐れるべき事態なのである。 裏をかえせば、「失敗から学ぶ」ことさえ確実に行えれば、 その失敗には前向きな意味があったと胸をはって言えるのだ。 以上の6か条に留意して、 有意義で安全なモバイルマーケティングを実施していただきたい。 |