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実践的モバイルマーケティング入門
実践的モバイルマーケティング入門 西田 徹(にしだ とおる)メールホーム
株式会社メンバーズの顧問。マーケティングおよび CRM を専門とする。主な著書に「ここまできた!モバイルマーケティング進化論」(日経 BP 企画)がある。

モバイルリサーチ

マーケティングとは「商品・サービスが売れるための総合的な仕組みづくり」と言えるが、その一要素としてのマーケットリサーチ(市場調査)の重要性はあらためて述べるまでもないだろう。 そして最近、モバイルを使っての市場調査に注目が集まっている。 今回はモバイルリサーチの草分け的存在である、 株式会社インフォプラント副社長の谷内進氏にお話をうかがった。

●消費者の隠れた実態をさぐるフォト調査

西田:インターネットによる市場調査はもはや常套手段として定着した感があります。 そこに新たにモバイルリサーチが加わったわけですが、 PC インターネットでの市場調査と何が異なるのでしょうか。

谷内:それは大変重要な論点であり、いくつもの答え方があります。 が、なんと言ってもインパクトが大きいのは、 「モバイルリサーチではフォト回答(または「カメラで撮ってもらった写真」)を集めやすい」ということですね。 今や大多数の携帯電話には、カメラ機能とメール機能があります。 であれば、 身近なものをカシャッと撮ってメール添付で調査の事務局に送付する、 という作業がきわめて容易にできるわけです。

西田:なるほど。 でも、PC インターネットとデジカメの組み合わせでも、 理論的には画像収集が可能だと思うのですが。

谷内:もちろんそうです。 しかし、まずデジカメを意図的に持ち歩いてもらう必要があります。 また、デジカメと PC を線でつなぎ、 画像を PC に移す作業もそれなりに面倒なものです。 本格的な写真展への応募などは別として、 「あなたの朝食を撮って送って!」といった気楽な調査を行うには、 PC よりはモバイルが適していると言えますね。

西田:それは納得ですね。 そういったカジュアルな雰囲気での写真調査のメリットって何でしょうか。

谷内:消費者の隠れた実態がわかることです。 例えば「お宅のお風呂場を見せてください」という調査を、 調査員を派遣して行ったとします。 多くの人はそれに備えてお風呂場を綺麗に掃除してしまい、 普段の生々しい利用実態が失われてしまうわけです。 ところがモバイル調査だと、 まさに生活している状態そのままを、 携帯電話に付属するカメラで撮って送ってくれるというわけです。

●朝からカレーという「強者」も

西田:具体的な調査結果で面白いものがあれば教えていただきたいのですが。

谷内:定番は「あなたの朝食を撮って送ってください」です。 もちろんパンとコーヒーといった常識的なものもあるのですが、 朝からカレーライスという「強者」もおられます。 また、和食に牛乳といった、 普通に考えると不思議な組み合わせも珍しくありません。 こういった消費者の隠れた実態を知ることで、 新しい商品・サービスの切り口が生まれるのではと期待しています。

西田:朝食以外には、どんなシーンの調査をされましたか。

谷内:「あなたを癒してくれるものを撮影してください」 「台所のシンク周りを撮影してください」 「コンビニで毎日購入するものを撮影してください」 「鞄の中身を撮影してください」 「化粧台の周りを撮影してください」 「部屋着を見せて下さい」などなど枚挙に暇がありません。 いずれもプライバシーの度合いが高く、 従来からの調査手段では扱いづらかったテーマと言えそうです。

西田:写真調査の他のパターンの使い方はありますか。

谷内:「トレースする」という言葉がキーワードです。 携帯電話は文字通りいつでも携帯されているので、 刻々と変化する消費者の日常生活を写真でトレースすることができるのです。 たとえば、ある人の朝食、昼食、夕食を順にトレースすることも容易ですし、 1週間の晩酌を7日間続けて把握することも可能です。 ワンショットの調査では見えなかった消費者の行動パターンが、 継続してトレースすることで発見できるのです。

西田:面白い事例などがありますか?

谷内:アイスクリームの詰め合わせの調査は、 企画した我々も興味深かったですね。 冷凍庫の中にあるアイスクリームの詰め合わせが、 どんな順番で減ってゆき、 最後に何が残るのかを調べるというものでした。

●リアルタイム性の活用がポイント

西田:話が元に戻りますが、 PC インターネットとは異なるモバイルならではの調査の意義が、 写真以外にあれば教えてください。

谷内:大きなところではリアルタイム性ですね。 例えば当社のある実験によると、 3時間以内の回答者が全回答者に占める割合は、 PC では25%なのに対してモバイルでは56%でした。

西田:やはりモバイル端末は、 常に「携帯」されているからなのでしょうね。

谷内:消費行動と調査回答をリアルタイムで結びつけるのにも、 モバイルは向いています。 例えばサンプルを配布し、その感想を聞く場合などです。

西田:モバイルリサーチ、今後ますます面白くなりそうですね。 本日は貴重なお時間をありがとうございました。

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