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2008年10月8日
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実践的モバイルマーケティング入門
実践的モバイルマーケティング入門 西田 徹(にしだ とおる)メールホーム
株式会社メンバーズの顧問。マーケティングおよび CRM を専門とする。主な著書に「ここまできた!モバイルマーケティング進化論」(日経 BP 企画)がある。

ターゲティングしてますか?(その1)

国内国内internet.com発の記事
今回と次回はターゲティング、すなわち標的市場選定の話をしよう。皆さんがマーケティング(売れる仕組みづくり)の一環として携帯サイトや携帯メールを活用する際、「相手は誰か?」を明確に意識しているだろうか。

例えば、「当社は20代女性をターゲットとしている」と明確に答える方もいるだろう。

あるいは、「ターゲティングなんて、聞こえが良い言葉だけど現実的じゃないね。うちは、買ってくれる人がお客さん。それだけで十分じゃないか。」といった本音を持つ方もいるに違いない。

●何のためにターゲティングするのか?

まず最初に「何のためにターゲティングをするのか」という、素朴かつ本質的な議論から入りたい。この質問に迷い無く即答できるマーケターは意外と少ないのではないだろうか。

少し遠回りになるが、ターゲティングが不要だった時代を振り返ってみよう。昭和40年代の高度成長期がその時代である。「良いものを」「安く」作りさえすれば、モノがどんどん売れていった時期。具体的には三種の神器といわれる「冷蔵庫」「洗濯機」「テレビ」がその象徴とも言える。

なぜターゲティングが不要だったのか。それは約1億人のニーズが均一だったからである。今まで洗濯板で洗っていた家庭では、当然ながら洗濯機が欲しい。あるいは今まで存在しなかった冷蔵庫やテレビという便利なものを皆が欲しい。であれば重要となるのはモノづくりのみとさえ言えたのである。

さて現在2006年。ニーズは均一だろうか。とんでもない。あえて極論すると1億3千万通りのニーズが存在する時代なのである。極論とわかりつつ、理解促進のためにこの状況をマーケティングの4Pにあてはめてみよう。そうなると1億3千万通りの商品開発(Product)が必要である。そして、1億3千万通りの価格設定(Price)、1億3千万通りの流通網(Place)、1億3千万通りの宣伝・販促(Promotion)が必要となるのだ。これではマーケティング、すなわち売れる仕組みづくりは破綻してしまう。

「同質のニーズでくくる」 実はこれがターゲティングの本質である。一見1億3千万通りのニーズがあるように見えるが、実は同質のニーズを持つ人たちをひとくくり、ひと塊にすることが可能なのである。

仮に約100万人の同質のニーズを持つ人たちの塊を形成することに成功したとしよう。そうなると、この人たちが欲しがるであろう商品(Product)は1つに定まる。また、この人たちが出せる金額(Price)、この人たちが出没する場所(Place)、この人たちに響くコミュニケーション(Promotion)も1つに決まってくるのである。ちなみに、1つだけに定まるというのまた極論であるが、説明のためにあえてそう表現した。

●ターゲティングの3つの切り口

同質のニーズでくくる。そのためにターゲティングが必要であるとわかったところで、具体的なターゲティングの切り口について考えてみよう。

「当社は1000円程度の香水を中心にモバイル通販しているので、ターゲットはティーンエイジャーの女性である」

「当社は携帯のゴルフゲームを開発したので、30代男性をターゲットとしたい」

「当社のモバイル通販の目玉は納豆。よって東日本地域をターゲットとしよう」

こんな会話を良く聞くが、これらの切り口はいずれも人口動態変数(デモグラフィック変数)と呼ばれるものである。性別、年齢、家族構成、居住地域、所得、職業などで構成される変数である。

これはターゲティングの際の定番とも言えるものだが、近年その効果に陰りが見え始めている。ティーンエイジャーでも10万円以上の高額商品を平気で購入する人もいる。若手〜中高年男性でゴルフをしない人が増えている。関西でも納豆好きな人が確実に存在する。などなどである。つまり、同質のニーズでくくる切り口として、人口動態変数だけでは足りなくなってきたのである。

そこで注目されているのが心理的変数と行動変数である。

心理的変数とはいわゆる価値観と言い換えても良いだろう。「新しいもの好き or 保守的」、「おしゃれ or 外見にこだわらない」、「西洋好き or アジア好き」といった切り口である。これらは性別や年齢などの人口動態変数ほどはその情報を得るのが容易では無いが、いったんそれを知ることが出来れば、同質のニーズでくくる際にダイレクトに効いてくる変数であるとも言える。

もう1つが行動変数である。例えば、週末は何をして過ごすのか、飲みに行くことが多い場所はどこか、現在利用しているブランドは何か、などである。これらの具体的行動を切り口にくくることで、同質のニーズをつかまえようという考え方である。

●ターゲットに応じたサイトとメールの設計

ターゲットが明確になり、ひと塊の人たちを抽出できたとしよう。上手にターゲティング出来ているのであれば、その人たちは同質のニーズを持っているはずである。それをもとに、いよいよモバイルマーケティングの具体的設計を行うことになる。

まずはプレアクセス(サイトへの誘導)。そのひと塊がどんな人かによって、どんな媒体にモバイル広告を出稿すれば良いかを考えよう。また、アタッチメントや空メールといったツールがどの程度効くかもターゲットによって異なってくるはずである。公式サイトとなるメリットの大きさもターゲットによって違うはずだ。

次にオンアクセス(サイト作成)。サイトの写真と文字の比率や文章のトーン、さらには無料着うたなどのベネフィットもターゲットによって選定を変えるべきである。

その後はポストアクセス(モバイルメール)の出番である。どんな中身のメールを、どんな頻度で出すのか。また、店舗などへのリアル連動の導線の作り方も、ターゲットが違えば違ってくるはずなのだ。

ターゲティングは奥が深いテーマである。次回も引き続き、同じテーマで深掘りしてみたい。

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