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西田 徹(にしだ とおる) |
株式会社メンバーズの顧問。マーケティングおよび CRM を専門とする。主な著書に「ここまできた!モバイルマーケティング進化論」(日経 BP 企画)がある。
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ブランディング
著者: 西田 徹 プリンター用 記事を転送
▼2006年4月14日 09:40 付の記事
□国内internet.com発の記事
マーケティングを語るうえで極めて重要なキーワードがいくつかあるが、「ブランディング」という言葉はその一群に入る資格が十分あるだろう。
今回のコラムでは、ブランディングとは何かという素朴な疑問に答えると同時に、それがモバイルマーケティングとどのように関係しているのかを考えてみたい。
●ブランドって何?
「ブランドって何のこと?」という素朴な疑問によどみなく答えられるマーケターがどれだけいるだろうか。
すぐに思いつくのは高級時計や高級カバンのブランド名である。しかし、それはブランドという概念の一部を示しているだけに過ぎない。ブランドとは高級品だけに限った概念ではない。例えば「カップヌードル」という商品名は極めて強いブランド力を保有しているのである。だとすると、ブランドって何のことだろうか。
「brand」という言葉を英和辞典で調べると、当然ながら銘柄、商標、ブランドといった訳が示されている。が、それに加えて「焼き印をつけた牛」という意味があるのを見逃してはならない。これこそが、ブランドの元々の意味であるとされているのだ。
血統的にすぐれ、丁寧に育てられた牛の肉が美味しいのは当然だ。逆のケースの牛の肉が不味いのもまた当然である。ところが素人には牛の外見からだけではその判断がつかない。よって各牧場はその牛が自分のところで育ったという目印の焼き印を押すようになった。そして仮に、A牧場の焼き印がついている牛が美味しければそれが口コミなどで広まり、次回以降はA牧場の焼き印(ブランド)が目印となって好まれ、高い価格でも購入されるようになる。また仮に、B牧場の焼き印がついた牛が不味ければ、全く逆の事が起きるようになるというわけである。
上記の例でわかるようにブランディングの効果は購入プロセスの後半で効いてくる。つまり、もう今晩は牛肉のステーキにすることが決まったあとで、A牧場の牛の肉にするか、B牧場の肉にするかの判断材料となるわけだ。ということは、いくらブランディングしたからといって焼き魚を食べるつもりでいる家庭の主婦を「やっぱりビーフにしようかしら」と変更させる力は少ないと言える。ブランディングは重要なマーケティング活動だが、万能では無いことを知っておこう。
●未だ出会ってない顧客に対し、モバイル広告でブランディングする
自社商品の銘柄を覚えて貰い、好印象を持って貰うことが具体的なブランディング活動になるが、そのためのモバイルマーケティングは大きく分けて2種類ある。1つは未だ出会ってない顧客(見込み客)にモバイル広告でアプローチするという活動。もう1つはすでに出会っている顧客(既存客)をモバイルサイトに誘導し、ロイヤルティを深めてもらうという活動である。まずは前者から解説しよう。
モバイル広告の一般論から復習しよう。モバイル広告の効果は大きく分けて3つの切り口から測定される。広告が何人の人の目の前に表示されたかを示す「ページビュー」。それが何人の人にクリックされたかを示す「クリック」。それが何人の人のサイトでの購入等に結びついたかを示す「コンバージョン」である。これら3指標自体には一般論としての優劣は無い。ところがマーケティング目的が明確になると、はっきりと優劣をつけるべきなのだ。
もしブランディングが目的だと明確化するのであれば、モバイル広告が購入に直接つながったかという指標(コンバージョン)は勇気を持って無視すべきである。ブランディングとは今すぐ購入させる活動ではなく、購入時に比較検討された場合に備えて印象を良くしておく活動なのだから。そして、ページビュー単価を低く抑えられる媒体を選択すべきなのである。また、他の条件が同じなら、文字だけのモバイル広告よりは画像を活用できる広告媒体のほうがブランディング効果は高い。
しつこいようだが、上記のアドバイスはあくまでブランディングを目的としたモバイル広告の場合である。目的が異なれば広告媒体選定の基準もまったく変わってくるのである。
●既存顧客に対し、モバイルサイトでブランディングする
清涼飲料や菓子などでよく行われているモバイルキャンペーンを思い起こして欲しい。あれが既存顧客を対象にしたモバイルでのブランディングの典型例である。
相手はすでに商品を買ってくれた既存客なので、すでにある程度のブランディングは出来ている。しかしそれに満足することなく、自社商品の名前を確実に覚えて貰い、もっと好きになってもらおうというわけだ。
具体的には商品に記載された URL、空メールアドレス、2次元バーコードなどによりモバイルサイトにアクセスしてもらう。そしてシールなどに記載された10数桁の数字を入力するとちょっとしたゲームなどに参加出来たり、賞品に応募できたりするという仕組みである。
ここでも「目的はブランディング」と明確化すると、いろんな迷いが吹っ切れるかもしれない。例えばモバイルサイト(URL)は企業として永続的に保有し、更新し続けなければならないという考え方がある。でも、目的をある商品のブランディングと限定するならば、期間限定の一時的なサイト(URL)でもまったくかまわないのである。
また、せっかく既存客にサイトにアクセスしてもらうのだからメールアドレスを取得し、その後継続してメール配信を行い、囲い込み(CRM)を行うのが常道とも言える。しかし、目的がブランディングにあり、CRM の優先順位が低いのであれば、最初からメールアドレスは取得しないという割り切りも十分合理的なのである。
モバイルマーケティングというと、最新の IT であるモバイルをやみくもにマーケティングに使おうとする企業が散見される。そうではなく、目的を明確にすればモバイルの使い方が見えてくる。今回はブランディングの例でそれを実感いただけたかと思う。
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