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西田 徹(にしだ とおる) |
株式会社メンバーズの顧問。マーケティングおよび CRM を専門とする。主な著書に「ここまできた!モバイルマーケティング進化論」(日経 BP 企画)がある。
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モバイルクーポンで来店促進
著者: 西田 徹 プリンター用 記事を転送
▼2006年4月28日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
モバイル会員にクーポンメールを送り、リアル店舗に来店してもらう。そこでメール自体やそこからクリックしたサイトを見せると、割引になったり景品がもらえたりする。こんなモバイルクーポンの活用はもはや定番となったとも言える。
一方で、モバイルクーポンを実施しても思ったほどの成果があがらずに悩んでいる企業も多い。今回はモバイルクーポンの特徴や活用上の留意点について考えてみよう。
●ネットクーポンはなぜ PC よりモバイルか?
まず最初に、「なぜモバイルなのか?」という素朴な疑問からスタートしたい。つまり、インターネットを活用した来店促進クーポンは、PC のメールや PC のサイトでも実施可能なのである。同じネットクーポンでも、PC よりもモバイルのほうが効きやすい理由があるのだろうか。
顧客側のクーポン使用までのステップを描いてみると有意義な示唆が得られる。
PC クーポン モバイルクーポン
クーポンメールを受け取る クーポンメールを受け取る
↓ ↓
プリンターで打ち出す ↓
↓ ↓
忘れずに持ち歩く ↓
↓ ↓
お店でクーポンを使う お店でクーポンを使う
モバイルクーポンは画面そのものがクーポンなので、紙に打ち出す必要が無い。利用者にとって面倒なプロセスが1つ省けるのである。また、携帯電話はもともと「忘れずに持ち歩く」ものである。このプロセスも利用者が意識する必要が無い。つまりモバイルクーポンは PC クーポンに比べて2つの面倒なステップが不要なため、利用者の活用率が高まるというわけなのだ。
●モバイルが効く場合、効かない場合
モバイルクーポンのすぐれた特長を解説したが、実はモバイルクーポンは万能ではない。それが効く場合と効かない(効きにくい)場合があるのだ。
ポイントは2つある。1つ目は電車の駅などに代表される、交通の主要拠点から店舗までの距離である。モバイルでの来店促進は「ちょっと立ち寄ってみようか」といった気軽さが特徴である。そんな場合に駅から徒歩10分の場所に誘導するのは難易度が高い。逆に駅前にあるレンタルショップやファーストフード店などへの来店促進はモバイルクーポンが得意とするところである。また、来店時の顧客の心理状況に加え、モバイル画面に表示する地図のサイズも近距離への誘導を得意とさせる要因となっているだろう。
念のため述べておくと、駅前10分などの距離の遠い場所への来店促進をあきらめろと述べているのではない。その場合はモバイルクーポン以外の手段を検討する必要があるのだ。
2つ目のポイントは顧客の日常生活のなかにその店に行くことがあらかじめ習慣化されているかどうかである。わかりやすく言うと、一度も行ったことが無い店に誘導するのはモバイルクーポンは苦手である。例えその店が駅から近かったとしてもだ。理由は上述した「心理状況」「地図のサイズ」などである。一度も行ったこと無い店を訪ねてもらうには、かなり真剣な心理状況を作り出し、大きなサイズの地図で丁寧に誘導する必要があるのだ。
逆の例で典型的なのが CD や DVD などのレンタルショップへの来店促進である。ユーザーはその人なりの頻度で店を訪れる習慣がすでに出来上がっている。仮に田中さんという人は駅前のレンタルショップ T に月1回のペースで来店する習慣があるとする。モバイルクーポンはこの人の来店ペースを月2回に高めることなどが得意なのである。
いままでの話をまとめるよう。駅に近くてその店への来店がすでに一定頻度で習慣化されている場合にモバイルクーポンでの来店促進が効果的である。逆の場合はモバイル以外の手段を活用することをお勧めする。
●効果測定をしよう
上記に紹介したノウハウはあくまで定石に過ぎない。定石が無効な場合や、定石を破ることが有効な場合もあるのだ。そのためにもモバイルクーポンでの効果をきっちり測定することが必要である。
裏を返すと、モバイルクーポンの効果測定がいい加減なケースが目立つのである。店舗の接客担当者は極めて多忙だ。その人たちに「携帯を見せて割り引き特典を使った人は何人いた?」と尋ねても正確な数字が返ってくることは期待できない。人的努力に頼るのではなく、仕組みとして効果測定をビルトインすることが必要なのだ。
レジでの入力で「モバイルでの割引」としてきっちり履歴に残せるのであれば、さっそく実行すべきである。ただし、システムがそういう仕様になっていない場合もある。そんな時は二次元バーコード(QR コード)によるモバイルクーポンを導入する手もある。
携帯電話での二次元バーコードの活用は大きく分けて2種類ある。1つめは紙媒体などに印刷したバーコードを携帯電話のデジカメで読み込み、サイトへのアクセスを簡便化する使い方である。2つめはモバイルの画面に二次元バーコードを表示し、それを入場チケット等として使うというものだ。来店促進の効果測定は2つめの使い方の応用編とも言える。
モバイルを取り巻く環境は激変している。例えばカーナビ的な機能によって特定の場所にユーザーを導ける機種も登場している。上述した定石が無効になり、替わって新しい定石が登場する日も近いかもしれない。そのためにも、きっちりと効果測定を行い、どんな場合にモバイルクーポンが有効なのかのノウハウを蓄積することが必要であろう。
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