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西田 徹(にしだ とおる) |
株式会社メンバーズの顧問。マーケティングおよび CRM を専門とする。主な著書に「ここまできた!モバイルマーケティング進化論」(日経 BP 企画)がある。
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事故を防ぐ(その3)
著者: 西田 徹 プリンター用 記事を転送
▼2006年6月16日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
過去に「事故を防ぐ」というタイトルのコラムを2回お届けしたが、今回はその続編である。今回のポイントは事故の可能性を可視化することである。
●初体験の業務で事故を防ぐには
例えば、清涼飲料水に貼ったシールからモバイルサイトに連動するキャンペーンは短期間で数十万人〜百万人といった大規模な応募が期待できる。一方で、受付を行うサーバーへの負荷は大きく、「サーバーが落ちた」といった事故も頻発している。せっかくお客様に応募頂いたのに、それが受付できなかったり、データが消えてしまったりしては目も当てられない事態と言えよう。
過去の失敗から学ぶことにより、上記のような事項は「モバイルマーケティングの際の留意点」としてナレッジ化されてきている。
ただし困ったことに、モバイルの世界は日進月歩である。「過去に一度もやったことがない」ことを実施する頻度は高いのだ。それで事故が起きたとき、「なにぶん、初めてでしたので、こんな事が起きるとは想像もしませんでした…」で許されはしない。ではどうすれば良いのだろうか。
●予想される事故を可視化する
実は初めて行うことでも、どんな事故が起きうるかは予想可能なのである。潜在的な事故も可視化できると言い換えても良いだろう。
その際、いくつかの事故の可能性をバラバラと予想することだけでは不十分である。漏れのないように可視化することが必要だ。そして、何が起き得るかが見えれば、あらかじめ手を打っておくことは比較的容易になるのだ。
では予想される事故を可視化する手順について解説しよう。「ステップ分け+ステップ内可視化」とでも呼べるものである。具体的事例で語るほうがわかりやすいので、いったんモバイルマーケティングを離れて通常の飲食業を想定して説明を進めることにする。
まず行うことは業務ステップの洗い出しである。飲食業を営む際にはどんなステップがあるかを以下に洗い出してみた。ポイントは、漏れなく洗い出すことである。
〔材料仕入〕
〔顧客を席に案内〕
〔オーダー取り〕
〔調理〕
〔配膳〕
〔会計〕
飲食業のプロでない私でも、上記の6ステップを洗い出すことができた。同様に今まで実施したことがないモバイルマーケティング施策においても、ステップの洗い出しは容易なはずである。
さて、次に行う分析は、上記の各ステップで起こりうる事故を洗い出す(可視化する)ことである。ポイントはやはり漏れなく洗い出すこと。すでにステップに小分けされているので、その中で漏れなく洗い出す作業はそう難しくないはずだ。
〔材料仕入〕
・予定した材料が品切れ
・材料が予定価格を超える
・間違った材料が届く
・材料の品質が低い
・材料が腐敗している
〔顧客を席に案内〕
・満席で入れない
・予約席に別の顧客を入れてしまう
・後から来た顧客を先に案内してしまう
〔オーダー取り〕
・呼んでもオーダーを取りに来ない
・聞き間違い(取り間違い)
・接客マナー不足(失礼な言葉遣いなど)
・メニューに関する質問に答えられない
〔調理〕
・遅い
・不味い(調理ミス)
・作り間違い
・異物や雑菌の混入
〔配膳〕
・遅い
・配膳間違い(別に席に配膳する等)
・落とす、こぼす
・接客マナー不足(失礼な皿の置き方など)
〔会計〕
・遅い
・伝票の計算(集計)間違い
・他グループとの伝票間違い
・お釣りの間違い
いかがだろうか。飲食のプロではない私でも漏れなく起こりうる事故を洗い出す(可視化する)ことができたようだ。可視化さえできればそれを防ぐ方法をチームで話し合って予防策をとることができるのである。
●モバイルマーケティングでの事故の可視化
さて、これからが本番である。
まずはある程度普及済みのモバイル施策から入ろう。リアル店舗でのモバイル会員化とクーポン配信による再来店促進である。ステップに分解すると以下のようになる。
〔リアル店舗での告知〕
〔モバイルサイトでの会員登録受付〕
〔クーポン配信〕
〔リアル店舗でのクーポン利用〕
各ステップでどのような事故が起き得るかの洗い出しは、そろそろ皆さんご自身の出番としよう。
それができたら、いよいよ斬新なモバイル施策へのチャレンジである。
「ワンセグ携帯を活用した地上デジタル放送でのキャンペーン」
「おサイフケータイでの来店促進クーポン」
「第三世代ケータイでの動画応募コンテスト」などなど。
こういったワクワクするような新しい試みを実施する際にこそ、どんな事故が起き得るかを可視化しておく必要がある。今回紹介した「ステップ分け+ステップ内可視化」のスキルを活用して、万全の予防策をとっておきたいものである。
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