企業サイトが歴史を持つとき―デジタルアーカイブの考え方を参考にする■デジタルアーカイブとは
デジタルアーカイブという言葉をご存知だろうか? デジタルアーカイブは、 主に文化遺産、歴史資産をデジタル化して保存すると同時に、 ネットなどを通じて一般に閲覧しやすくするためのものである。 博物館、美術館、公文書館などの収蔵品が対象となることが多く、 たとえば、国立公文書館の Web サイトからは、 所蔵資料である重要文化財の国絵図などを高精細画像として閲覧できる(別途プラグインが必要)。 なぜデジタルアーカイブが必要なのかといえば、 資料の寿命が物理的条件に左右されるからである。 紙に書かれている資料の寿命は、紙の寿命に依存する。 また、オリジナルはひとつしか存在しないため、閲覧が難しいケースも多い。 たとえ複製を作ったとしても、それがアナログデータである限り、 原本と同じ問題を持つことになる。 そこで、デジタル化することでこれらの問題を回避しようというわけである。 デジタルアーカイブについてはアカデミズムが中心となって研究が進められているが、保存に関するテーマ(どのようなメディアで、 どのようなフォーマットで、DB をどのように組んで、など)だけではなく、 保存された資料の共有・活用に関するテーマ (保存時の分類について、保存した資料をいかに見つけやすくするか、 など)についても、技術的な側面からだけではなく、 人文科学を含めたさまざまな方向から検討が重ねられている(参考:デジタルアーカイブ推進協議会)。 ■デジタルアーカイブは企業 Web サイトとは関係ない? デジタルアーカイブ化が進められているのは、 歴史資料が存在する博物館・公文書館・自治体などであり、 一般の企業 Web サイト関係者にはあまり知られていない。 あるいは、どこかで耳にしたことがあったとしても、 あまり企業サイトには関係のないことであるとみなされがちである。 それはなぜか? 企業 Web サイトを構築する際、 視野に入っている「時間」が「現在・やや過去・やや未来」しかないことが多いからである。 Web サイトは現在の企業状況に関連する情報をクイックに発信するところであり、 最新情報を他の媒体に先駆けて提供するのが Web サイトの役割だ、 という認識が広く流布している。 それは決して間違いではない。 Web テクノロジーが今後大きく進化したとしても、 おそらく、この点に関してはあまり変化は起こらないだろう。 が、時間についての考え方を「現在・やや過去・やや未来」だけにフォーカスしてしまうと問題が生じてくる。 なぜなら、企業の Web 商用利用が本格化してから10年近く経過し、 Web サイトも歴史を持ち始めているからである。 古くから存在している Web サイト、 そしてボリュームのある Web サイトから、 データの保存およびその活用について、 デジタルアーカイブ化を行うにあたってと同様な問題意識が持たれるだろう。 ■企業Webサイトがデジタルアーカイブから学ぶべきこと ここで具体的な質問をしてみたい。 自社 Web サイトにおいて、 以下のポイントに関してどのようなポリシーが設定されているだろうか? 1.What’s new? 記事の保存期間 2.各ファイル内の日付記述法 3.生産終了・扱い終了の製品・商品情報の掲載 4.サイト内検索の検索結果表示 5.サイト構造変更後の新ページへの誘導 デジタルアーカイブの手法を本格的に詳細に応用しないまでも、 データの保存およびその活用、 という点から考えただけでも、 以下の考え方が導き出されるのではないだろうか。 1.What’s new? 記事の保存期間 What’s new?(最新情報)の記事が古くなった場合、 いつまで保存するか、というポリシーを 策定する必要がある。 過去記事となっても、削除するのではなく、 年次・月次で保存していくのがのぞましい。 2.各ファイル内の日付記述法 イベントなどの日時を記述する際、 ページ作成当時の年であることが当然とされ、 年表記が省略されている Web ページを見ることがある。 が、その Web ページを後から見た場合や、 検索サイト経由で直接そのページに来た場合、 それが何年の記事であるかが認識しがたい。 日付は、年月日フル記述が必須である。 3.生産終了/扱い終了の製品/商品情報の掲載 生産終了/扱い終了した製品や商品は、 ファイルを削除して「なかったこと」にしてしまうのではなく、 可能ならば、生産終了・扱い終了というカテゴリを作成の上、 その中に保存するのがのぞましい。 後からその製品・商品を探してアクセスするユーザーへの配慮である。 4.サイト内検索の検索結果表示 類似内容を持つ Web ページが企業サイトに複数存在する場合、 サイト内検索の検索結果として、 どれが最新かつ正しい情報であるか判別しがたいものが並ぶことになり、 ユーザーを混乱させる。 不必要なページの整理、 各 Web ページへの最終更新日時表記などのメンテナンスを定期的に行うこと。 5.サイト構造変更後の新ページへの誘導 Web サイトを長く運営していると、サイト構造が変更されることもまれではない。 サイト構造変更後、古い URL へのアクセスがあったときには、 構造が変更されたことを示し、 新しい URL(該当するコンテンツが存在しない場合はトップページなど)への誘導を行うのがベストである。 ■まとめ 企業 Web サイトの登場から時間が経ち、 「今」だけの情報を提供すればよい一過性の存在ではなく、 長く運営・維持するものとなってきている。 歴史を持つものとしてとらえた場合、 企業 Web サイトのデータの保存の仕方、 そしてユーザーへの提示の仕方については、 デジタルアーカイブの考え方が参考となるのではないだろうか。 記事提供:ファンサイド
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