SAP 一人勝ちの時代は終わったのかMicrosoft は決算発表を前に口が堅く、同社 CEO の Steve Ballmer 氏は、財務情報を特定の関係者に開示することを違法とする SEC(米証券取引委員会)のレギュレーション
FD(フェアディスクロージャー/公正情報公開規制)に違反しないように、確固たる態度をとっていた。
最近のパートナー会議で、Ballmer 氏は数千の Dynamics 再販業者を前に、各社の前四半期中の多大な努力に対し何度も礼を述べた。この空気を読むことができず、Dynamics の好調さを示すプレアナウンスメントだということに気づかなかったとしたら、不注意だといえる。 この2日後、 SAP の正真正銘のプレアナウンスメントの記事を読んだ。それによると、同社のライセンス収入の伸び率は、アナリスト予測のたった半分になるだろう、ということだった。 Financial Times には、Microsoft の Ballmer 氏とは対照的な、SAP の代表 Henning Kagermann 氏の暗い発言内容が掲載されていた。Kagermann 氏は次のように語っている。「わが社の成績不調の原因は、市場シェアの1〜2%を競合企業の Microsoft と Oracle に譲り渡すことになったからだ」 ここ2、3年ほどは、比較的 SAP が優勢だったが、先のプレアナウンスメントをとっても、Microsoft の Ballmer 氏の言動をとっても、Oracle の過去最高の四半期業績をとっても、SAP が大儲けをしていた時代は終わりを告げているようだ。 SAP が大儲けをしていた時代というのはどんな時代だったのか? 真に SAP と争える立場にあったのは、Microsoft と Oracle のわずか2社で、両社は合併後の大量の不良債権とコードラインの混乱を抱えていた。両社が 販売活動に集中できない中、SAP は一人勝ちの状態で、市場シェアとマインドシェアを拡大した。一方、ライバル2社は複雑な戦略を正し、首尾一貫した商品と技術戦略を市場に示すのに必死だった。 もちろん、前四半期の結果だけで時代の流れを表すことはできない。しかし、これまでの SAP 優勢の状況を、競合2社がただ手をこまねいて見ているだけとは到底考えられない。 特に Microsoft は優勢だ。同社は SAP とパートナー関係にあるが、Microsoft がトップを狙い、準備を整え、戦闘開始するのは避けられないことのようだ。 新しいライバル関係を表すかのごとく、 Ballmer 氏はかつてのパートナーの SAP を引き合いに出し、 Microsoft の Dynamics AX の主力商品が大成功を収めている例を話した。 Microsoft は、事務処理のスタンダード機能をどのように SAP の R/3 から AX に移行しているかについて多く語り、そうした移行が行われているプエルトリコの Microsoft ディスク製造工場での例を紹介するビデオを会議参加者に見せた。 復活を賭ける 一方、 Ballmer 氏は AX が“企業向けの”製品で、最大手企業のニーズにも対応可能だと説明した。2年前には、空想の世界に多額の金を注ぎ込み、顧客、パートナー、そしてマーケットシェアを失うという最悪の結果を招いていた会社にしては、大したものだ。 Oracle にとっても、前四半期は重要な転機だった。SAP が好調だった期間を含めた3年間のスパンで見ない限り、どう見ても Oracle のアプリケーションライセンス収入の伸び率は SAP を上回っている。 しかし、その数字でさえほとんど意味をもたない。というのも、 Oracle がアプリケーション競争に大きく遅れを取っているというのは紛れもない事実だからだ。前四半期のような基盤を固めるまでに、それほど長い期間は必要ないだろう。 さて SAP は今後どう進んでいくのか? 四半期報告というのは長期戦略家泣かせであり、ソフトウェアおよび事業革新の面で不調だった前四半期に対する SAP の最善の答えは、今後数四半期間には現れないだろう。 SAP は再び画策し、Microsoft と Oracle を巧みに操ることで、売上のトップに着こうとするだろう。しかし、それは以前ほど簡単ではない。 ライバル2社ともに、SAP の立派なライバルであることを証明し、SAP の年度末予測はまだ有効だとした Kagermann 氏の展望の食いつぶしにかかっている。これが、かつてないほど Oracle と Microsoft の販売員の意欲を駆り立てている。 SAP はライバル会社が M&A に忙しかった過去5年間、内部開発と製品化に力を注いでおり、有利な立場にある。この立場を生かして、SAP は結果を出さなければならない。さもなければ SAP は他人の芝生で争うリスクを負わなければならなくなる。 前四半期に証明されたように、SAP はもはや、Oracle と Microsoft が自滅することを期待してはいけない。SAP はライバルが負けるのを待っているのではなく、勝たなくてはならない。それが身のためだ。 |