航空料金を予測する Farecast、サービスを拡大Farecast はある特定の都市間の航空料金が上がるか下がるかを予測してくれるサイトだ。このたび、サービスの対象とする空港を米国内の57都市に拡大した。
Farecast については以前書いたが、このサービスは当時、対象をボストンとシアトル空港発の便に限定していた。 Farecast 社の新事業は850万ドルものベンチャー投資資金を集め、同社はパブリックβ版を公開した。このことは New York Times や Time Magazine などの主要メディアで報じられた。 しかし、2空港しかサポートしていない状態でのサイトの公開は、時期尚早で誤りだったのではないかとの疑問を抱いていた。自分の地元の空港がサポートされていなければ、潜在的な顧客は疎外感を感じ、サイトを離れ、決して戻ってこないのではないだろうか。 これは、新製品や非常に速いスピードで改良されている製品・サービスをいつ公開するか決めなければならない会社すべてにとって重要な問題だ。 β版をうまく利用する Farecast のマーケティングおよび商品担当副社長 Mike Fridgen 氏は、今回さらに55都市の空港のサポートを始めるにあたって、6月にパブリックβ版を公開したことはなんら影響を及ぼしていない、とインタビューで説明した。このサービス拡大は当初2006年末に予定されていたが、ユーザーの反応が非常に良かったため、時期を早めたようだ。 Fridgen 氏によると、サービス拡大を発表した日にサイトを訪れたユニークビジター数は、6月のパブリックβ版公開時の倍以上だったとのことだ。主要メディアによる報道は、前回に比べて地味だったが、これは本当のことだ、と同氏は付け加える。例えば、New York Times は、前回のβ版公開を目立つページにイラスト付きで大きく取り上げていたが、今回のサービス拡大については、新聞中面の短い記事として掲載しただけだった。 Farecast は空港の数が制限されていることをうまく利用した。サイトに“自分の都市を追加する”というリンクを付け、サイト訪問者に追加を希望する都市を募った。 Fridgen 氏によると、5万人以上の訪問者から、 Farecast にサポートを希望する都市名が送られてきたという。詳しい数は明らかにされなかったが、これよりは少ない数の訪問者が、自分の好みの空港が追加されたときに通知を受けるために、Farecast にメールアドレスを送ったという。その全員が、Farecast が新たに選別された55空港を発表し、新聞がサービス改善を伝えたその日に、通知メッセージを受け取ったそうだ。 Web ランキングサービス Alexa の集計により、最近 Farecast のサイトのアクセス数には3つの山があったことが確認されている。ひとつめは5月の公開直前、ふたつめは6月のβ版公開時、そして3つめは今回サービスの拡大が発表された時だ。Alexa のランキングでは、今回の公開時のアクセス数が6月のβ版公開時の倍だったことは示されなかったが、Fridgen 氏は Alexa では見つからなかった大量のアクセスを同社のサーバーでは読み取ったという。 Farecast はどのように航空運賃を予測するのか “適用都市間”と航空会社が呼ぶ運賃の予測は、指をパチッと鳴らすほど簡単なことではない。Farecast には航空業界で立派な経歴を持つ重役がいる。同社では、彼らから900億以上にも及ぶ過去の運賃データを集め、高度アルゴリズムを使ってデータを分析しているため、料金が上がるか下がるかを予測することができる。 つまり、 Farecast は超能力者ではない。かなり限られた期間内でのみ運賃を予測することができるのだ。それはなぜかといえば、航空会社は数年前に価格決定のためのモデルをコンピュータ化し、以下で説明するようにおおまかに3つの区切りで運賃を決定しているからなのだ。 ・出発の約11か月前は、航空会社がチケットの販売を開始するときだ。 例えば2006年9月1日には、2007年8月1日発のチケットを購入できるようになる。 Fridgen 氏によると、これほど遡ってチケットを購入する人は、特定の日に特定の場所に出かけることがはっきり決まっており、このような顧客には“料金表通りの価格”で販売するとのこと。 ・出発およそ90日前に、航空会社はすでに販売したチケットの数とコンピュータモデルが推定した数をくらべる。もし販売した数があまりに少なかったら、航空会社は販売目標を達成するまで価格を下げる。 ・出発21日前の早期購入期限を過ぎると価格は上がり始める。14日前、7日前も同様だ。航空会社は、出発6日以内には見込み乗客の日程の融通がほとんどきかないことがわかっている。たいていこの直前の期間に価格が値上がりすることになる。 このように価格が決定される時期があるため、 Farecast では90日以内に予定されている旅行の運賃のみ予測する。また2〜8泊の旅行計画である必要がある。これらの条件に合わない場合でも価格の相場を知ることはできるが、Farecast はその価格が上がるのか下がるのかという予測はしない。 提携会社に頼るビジネスモデル Farecast は無料で利用できるサービスのため、同社がどのようにビジネスにしているのか疑問に思うかもしれない。 Farecast は、同社サイトで航空運賃を検索した人が実際チケットを購入したら、航空会社から手数料を受け取ることになっている。Farecast がチケットを販売することはなく、直接航空会社の Web サイトにリンクし、訪問者を誘導する。特別運賃だったり、複数の航空会社が旅行日程にからんでいる場合などは、Farecast は Orbitz にリンクさせることもある。Orbitz からも手数料が支払われる。 最近 Farecast は、Yahoo ネットワークより旅行関連の広告配信を始めた。 Fridgen 氏は、この初期の段階で広告収入が航空会社からの手数料より多いかどうかは明示していないものの、すでに大きな額であることを認めている。 Farecast がボストンとシアトルの空港しかサポートしていなかったときでさえ、両都市の住民からのアクセス数は、サイト全体の20%以下だったという。消費者には航空会社のコンピュータによる価格決定モデルを理解し、Web 技術を使って運賃が最安値になるときを見つけて、航空会社の価格設定に対抗したいという純粋な願望があるように思われる。 55以上の空港をサポートしている現在、 Farecast の顧客ベースはさらに急速に伸びるはずだ。 Fridgen 氏は、「シアトルとボストンは(米国の)出発空港のたった4%を占めるだけ。現在われわれがサポートする空港は、国内線の空港の74%を占める。現在のところ国内線のみだが、できるだけ早く国際線も追加する予定」と語る。また Farecast では、今後往復運賃だけでなく、片道・周遊航空券もサポートする計画があるという。 結論 Farecast は、航空会社や Expedia などの主要ポータル以上のサービスを提供する第二世代の旅行検索エンジンの1社に過ぎない。技術ニュースサイト GigaOM のブロガー Katie Fehrenbacker 氏によると、Farecast 以外にも Sidestep、Mobissimo、Kayak などのメタ検索サービスがあるという。 しかし今のところ、 Farecast が一番面白い。それは、Farecast が、数学を十分駆使して、チケットを今日買うべきか、それとも値下がりしそうだから2、3日待つほうがいいのかを予測してくれる唯一のサイトだからだ。 |