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貧困層に対する無償 Wi-Fi の悪影響

著者: Mike Elgan プリンター用 記事を転送
2008年4月1日 10:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

テキサス州ヒューストン市では、350万ドルを投じて貧困地区に10か所の無償ワイヤレス「ホットスポット」を構築する計画だ。これは、貧富の間の「情報格差」を埋めるのが目的だが、残念ながらこの無償 Wi-Fi はその格差を広げることになるだろう。

われわれは数年前、全米の主要都市で市内 Wi-Fi が構築される姿を想像した。それは、公園やバスのなか、あるいは貧困地区のアパートや住宅からなど、だれがどこからでもログオンできるというアイデアだった。だが、高価なワイヤレスネットワークのインフラをだれも使わない場所にまで構築するのはお粗末な考えだということがはっきりすると、この夢は急速に薄れ始めた。

Wi-Fi ホットスポットを提供する民間企業は、お金のある既存の Wi-Fi ユーザーが集まり、「コストパフォーマンス」を最大限に高めることのできる空港やコーヒーショップなどを設置場所に選びがちだ。これらの企業には、コストがかかるのに売上高は低い低所得者層向けの集合住宅などにホットスポットを設置する気持ちは一切ない。

この状況で問題なのは、貧困層が取り残された状態であることだ。インターネットアクセスは教育や雇用機会を広げるポテンシャルを持ったリソースであり、金銭的理由から貧困層がこれらの機会を奪われることはあってはならない。

そこで、ヒューストン市などは政治的な点数を稼ぐため、貧困地区に Wi-Fi スポットの構築を計画している。もし、市長の再選がその目的であるなら、それは成功するだろう。だが、貧しい人々に Wi-Fi を使わせることが目的であるなら、計画は失敗するだろう。以下に理由をまとめる。

無償 Wi-Fi の問題

Wi-Fi 業界はまだ黎明(れいめい)期にあり、技術と収益の最高の組み合わせは今後10年をかけて決まるだろう。空港やコーヒーショップでは、各種インフラ/サービス企業が市場を独占すべく激しい戦いを繰り広げており、優れたサービスを低価格で提供してビジネスにつなげる魔法の組み合わせは最終的に顧客が判断するようになる。

一方、テキサス州ヒューストンのような都市では、貧困層が不当な扱いを受けている。行政は、どのようにして出したのか分からない基準をベースにした万人向けのソリューションを選択する。そして、これらの民間企業には貧困地区を避けるまた新たな動機が加わることになる。民間企業は行政が無償で提供するのと同じようなサービスを相手にしなくてはならない。

さらに、1つのプロバイダーに縛り付けることは、これら貧困層の顧客を危険にさらす。Wi-Fi サービスを提供する企業は、倒産したり、取引から手を引く可能性がある。

ヒューストン市自体も、同市への Wi-Fi 提供計画を見直した Earthlink から350万ドルを受け取っている。都市内 WiFi のスキーマは、さまざまな理由から全米で中止が相次いでいるが、コストに収入が見合わないことが最大の理由となっている。

公営住宅に住む未婚の母が都市が提供する無償 Wi-Fi を使って在宅で仕事を始め、これが欠かせないようになっても、ブロードバンド回線が突然遮断され、代替サービスが数か月間提供されない可能性もある。

貧困地区での Wi-Fi に対する理解度は低いが、携帯電話の利用率は比較的高い。モバイルブロードバンド回線が黄金時代に突入しようという現在は、携帯電話会社各社が無線データサービスを低価格で提供する可能性もあり、顧客がノート PC やデスクトップまでモバイルブロードバンド回線に接続するようになるかもしれない。

しかし、都市が無償 Wi-Fi サービスを提供すれば、このようなモバイルブロードバンドサービスを展開する意欲が失われる可能性があり、携帯電話事業者はこのようなことを検討さえしなくなる。

テキサス州ヒューストン市や、このスキーマに取り組んでいるほかの都市はおそらく、ごく一部の人しか利用しない Wi-Fi のインフラに多額の公的資金を浪費することになる。ただ単に無料だからといって Wi-Fi を使い始める人はいない。貧困家庭の多くには、Wi-Fi を使い始めるための知識も、動機も、コンピュータもない。各都市はこれらも提供するというのだろうか? 

ソリューション

各都市が貧困層にも Wi-Fi を使わせたいのなら、その利用に補助金を出す必要がある。

Wi-Fi やモバイルブロードバンドのプランの加入者に補助金を出す。そしてもちろん、返金もしくはサービスプロバイダーに直接支払うことで、低所得者にはこれを無償にする。

しかし、民間企業は互いに競わせて競争や革新は止めないようにしたい。

Wi-Fi に対して補助金を出せば、都市は、低所得者地区でもサービスを提供してビジネスを展開するチャンスがあることをワイヤレスブロードバンドを提供する民間企業に伝えられる。

サービス提供企業は、競って参入してくるだろう。彼らは対象とする顧客向けに広告を展開し、それによって彼らは Wi-Fi の利用目的を学ぶようになる。もしそれが理解を妨げる原因だと分かれば、各社がコンピュータを無償で提供する可能性もある。

補助金が設定されてもプロバイダーが課金できるなら、企業では値下げにも踏み切る意欲もわいてくる。たとえば、補助金が1か月あたり15ドルだったら、それと同額が企業の目指すスイートスポットとなり、彼らはそれを目標にするようになる。

出張先やコーヒーショップでサービスを利用するユーザー同様、貧しい人々にも消費者の選択はあり、彼らはサービス、料金、そしてパフォーマンスの最高の組み合わせを選ぶだろう。サービスが悪ければ、プロバイダーの虐待に耐えずに単純に乗り換えることができる。

補助金制度は納税義務者にとっても良いことだ。だれも使わないインフラにお金を無駄にするよりも、ワイヤレスブロードバンドの利用に補助金を出せば、ブロードバンドを実際に利用する家庭にだけ税金が使われることになる。使えば払われ、使わなければ払われないのだ。

何よりも、これは市場を強化し、顧客に責任を負わせ、技術革新、品質向上、そして低価格へとつながる。

全米の市長殿、優れた Wi-Fi は、コストを経費で落とせる人たちが集まるところに存在している。これと同じような形でうまく真似したいのなら、経費の部分だけ真似をして、自分でサービスを構築しようなどとは思わないことだ。そのようなことをすれば大問題が発生するだろう。


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