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2009年10月1日 10:00
不況時代の Web ビジネス最適化講座
不況時代の Web ビジネス最適化講座 株式会社デジタルフォレスト(でじたるふぉれすと)メールホームrss
Web 解析ツール「Visionalist(ビジョナリスト)」の開発・販売、Web コンサルティング・Web コンシェルジュ、システム開発を提供し、企業のマーケティング ROI 向上を支援します。

人材サイト担当 Y が語る、人材サイト・アクセス解析活用法

人材業界とひと口に言っても業態や分野は様々です。業態に関して言えば、人材派遣や人材紹介業はもちろん、転職サイト運営会社やヘッドハンティング会社、分野としては総合系の人材サービス会社からアルバイト専門の求人サイト、看護・医療系専門、ガテン系専門など実に様々です。

また、業界内での競争が激しく、登録者の獲得における Web サイトの役割が非常に重要になってきている事も特徴的です。そのため、各社の Web 戦略や Web サイト自体も非常に進化しており、優れたサイトが多く存在します。

そのような業界において、いかに Web で競合他社に打ち勝つか?今回はそのための分析手法の一つ、“ユーザーシナリオ分析”について少し触れてみたいと思います。

■まずは一般的な SWOT 分析を行う
人材業界は業態や分野が様々あり、またその中における競争も激しいことから各サイトを訪れるユーザーのモチベーションも様々です。「ユーザーが何故このサイトに訪れたのか?」「何を求めて訪れたのか?」といった疑問に答える手段として、SWOT 分析は有効に機能します。

SWOT 分析についてここで改めて詳細説明をする必要は無いかと思いますが、企業における S(強み)・W(弱み)・O(機会)・T(脅威)を分析し、経営における(今回の場合は Web 戦略における)意思決定を行うというものです。ユーザーシナリオ分析を行う上では、その中でも特に「S(強み)」と「O(機会)」を分析することが重要です。

図1:ある中堅人材紹介会社の SWOT 分析結果
図1:ある中堅人材紹介会社の SWOT 分析結果
図1は、ある中堅人材紹介会社における簡単な SWOT 分析結果です。ここで注目していただきたいのは、強みとして「外資系企業の求人が豊富」という点、機会として「交通広告に積極的に展開している」という点が挙げられている事です。

つまりこの段階においてこの人材紹介会社は、(1)外資系企業の求人を求めて訪れるユーザー層、(2)会社名を知って訪れるユーザー層という2つの重要なユーザー層を認識する事ができたのです。これらのユーザー層がサイト内においてどういう行動をしているのかを分析し、サイトにおけるボトルネックやキラーコンテンツ(コンバージョンへの強い後押しとなるコンテンツ)の発見を行うのがユーザーシナリオ分析です。

■マトリックス分解から導き出すユーザーシナリオ
次にマトリックス分解を活かして、先程のユーザー層をさらに細かく分類します。最もシンプルなマトリックス分解としては、それぞれのユーザー層を縦軸に「積極派」・「慎重派」という横軸を付け加えてあげる手法です。(図2参照)

図1:マトリックス分解によりユーザー層を分類
図2:マトリックス分解によりユーザー層を分類
このマトリックス分解によって、下記の4つのユーザー層が導き出されます。

・タイプ A:ブランド固執度高・会社重視・積極派
・タイプ B:ブランド固執度高・会社重視・慎重派
・タイプ C:ブランド固執度低・仕事内容重視・積極派
・タイプ D:ブランド固執度低・仕事内容重視・慎重派

さて、先程の中堅人材紹介会社の事例で考えると、それぞれのタイプのユーザーはどのような行動を取るでしょうか?

例えばタイプ A の人は毎日の通勤時に広告を見ていて会社名を覚えており、会社を退職後すぐに次の会社を見つけるために、真っ先にそのサイトに訪問するかもしれません。だとすれば、このユーザーの行動パターンとしては求人内容などをあまり深く見ず、登録に関する説明箇所や会社の地図などを数ページ見た上ですぐに登録のステップに進む事が予測されます。

また、タイプ D に関しては既に外資系の企業で働いており、条件の良い仕事が掲載されるまで何度も何度も訪れるユーザーや、あるいはメルマガ登録しており、新着求人ばかり閲覧するユーザーが多いかもしれません。ここで重要なのはいかに正しい推測をするのかではなく、いかにユーザーの気持ちに近づき、彼らが求めるコンテンツやユーザビリティについての気づきを産み出せるかということです。

■アクセスログデータを活かしたユーザーシナリオ分析
最後のステップとして行うのは、それぞれのユーザータイプにおけるログデータのサンプル調査です。具体的には、各タイプにおけるサンプリングを行い、彼らが実際にサイト内でどのような行動を取るか、進入ページや閲覧コンテンツ、コンバージョン傾向などの細かなデータ収集を行い、それぞれの特徴を捉える作業になります。

アクセス解析の素晴らしい点は、ここまで行ってきた定性分析に対して実際のログデータを乗せる事ができ、定量的な観点からユーザーシナリオを実証できるという点です。この事によりサイト管理者が想定していなかったユーザーの動きを捉える事ができ、想定導線と実際のユーザー行動におけるギャップを明らかにすることが可能になります。

例えば、人材派遣会社でよくある「登録のご案内」というページですが、これがタイプ D(会社重視で慎重派のユーザー)に向けたコンテンツとして設置したにも拘らず、あまり見られていないというアクセス解析結果となった場合、ボタンの配置やクリエイティブなどについて改善する事を検討するでしょう。

私自身コンサルタントとして、これまで複数の人材サイトにおけるユーザーシナリオ分析を行って参りましたが、致命的なボトルネックや導線上の課題、階層深くに眠っていたキラーコンテンツの発見など、多くの事実を明らかにしてくれます。また、今回は1パターンのマトリックス分解のみでしたが、複数のパターンにおいて同様の分析を行う事も有効と思われます。

人材業界を取り巻く環境が厳しくなり競争が激化する中、Web による優位性を発揮し競争に打ち勝つための一つの手法として参考にしていただけると幸いです。

(執筆:株式会社デジタルフォレスト Web コンシェルジュ 山田直之)


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