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2011年10月19日 10:00
多言語×Web×海外マーケティング情報
多言語×Web×海外マーケティング情報 シトラスジャパン株式会社(しとらすじゃぱん)メールホームrss
メディアニュートラルに多言語クリエイティブ事業を展開するシトラスジャパンは、企業の『コミュニケーションパートナー』として、大手から中堅・中小まで幅広い企業郡から高い支持を得るクリエイティブ集団。海外マーケティング情報や多言語クリエイティブのノウハウなどを発信していきます。

シングルモルトウィスキー愛飲家のロマン 〜SNS コミュニティー形成とコーズマーケティングの関係〜(1/2)

ここ数年の SNS の急速な発展を受け、ファンやサポーターの集団(=コミュニティー)を上手く活用しムダのない効果的なプロモーションを打ちたいと多くの企業は考えるようになりました。Facebook に代表される SNS を通じたプロモーションの事例は、そのファン(いいね!)の獲得数に比例して露出されやすく、メディアを通じて喧伝されたユニクロ(Facebook ページ登録者数約33.3万)やローソン(同約13.5万)などのケースをご存知の方も多いでしょう。

企業にとって SNS の最大の魅力は、特定の関心や興味を持つユーザー集団(コミュニティー)に直截的に訴求できるピンポイントな広告が打てることにあり、またコミュニティーや Facebook ファンページに参加したユーザー自身が、それぞれの友人知人との情報共有や拡散を繰り返す広告塔の役割を担うため、波及効果にも期待を持てる点にあります。この波及効果の大きさは、コミュニティーの活性度合いに因るともいえます。そこで企業側は、コミュニティー形成、参加から、ファンが享受できるメリットを設定することが課題になります。なぜなら明確なメリットが見えてこなければ、ユーザーはファンサイト登録やコミュニティーでの積極的なコミュニケーションに参加しないからです。

ファンページ開設直後や新商品のリリース後など、物珍しさや新鮮さがあるうちは、ファンの増加も期待できるでしょうが、その効果は時限的と言わざるを得ません。ファンもにわかの好奇心ではコミュニティーへ参加しないでしょう。ではどんなメリットがあれば、ファンを SNS 上のコミュニティーに留め、またコミュニティーへの帰属意識を維持させることができるのでしょうか?

ここで一つの事例を通して、上記の問いかけに対する解法を考えてみたいと思います。以下で紹介するサイトは、ラフロイグの商品サイトです。ラフロイグとは、イギリスのアイラ島に蒸留所を持つシングルモルトウィスキーの一つで、世界中に多くのファンを抱えています。イギリスのチャールズ皇太子が好むブランドとしても有名です。

ラフロイグのファンサイト
ラフロイグのファンサイト
*クリックして拡大
⇒ ラフロイグのファンサイト
http://www.laphroaig.com/

FOL は Friends of Laphroaig の略称で、1994年に設立されたファンクラブです。世界中のラフロイグファンがメンバー登録していて、その会員数は約47.1万人にのぼります(2011年10月現在)。登録はオンラインフォームに必要情報を入力し、あとは FOL の承認を待つだけです(ただし事前にラフロイグを購入して、バーコード情報を入手しておく必要があります)。

FOL から正式な承認を得ると、公式の証明書が送付され、晴れて FOL の会員になることができます。会員には様々な特典が与えられますが、特筆すべきは、FOL の会員はラフロイグ蒸溜所が管理する土地の一区画の所有者になれることです。会員は専用サイトを通じて、自分の土地の位置や登録名簿を確認することもできます。自分の土地は、会員のフルネームと出身国の旗のアイコンで示されます。さらに自分の管轄地の隣人のプロフィール(入力は任意)などを閲覧することができます。ちなみに私は左にベルギー人、右にスコットランド人を隣人にしています。

Friends of Laphroaig(FOL)のファンクラブ証明書
FOL のファンクラブ証明書
*クリックして拡大
証明書には会員が、30cm 四方(a square foot)の土地の所有者であることや、営利目的での土地使用の禁止が明記されているほか、会員がアイラ島のラフロイグ蒸留所を訪れた際の無料レンタルグッズ一式(地図、長靴、メジャー、帽子、オーバーコート、タオルなど)の詳細が書かれています。ちなみにこの土地を鉱脈の発掘や羊の飼育などの目的で所有することも禁じられています。

会員に土地の所有権を与えるという、この大胆なプロモーションには歴史的な背景があります。蒸留所を設立して間もない頃、水源確保のために幾度となく苦労を重ねた創設者ジョンストン兄弟は、ついには周囲の土地購入に踏み切りました。ウィスキーの品質を安定的に保つためのこだわりでした。つまり、現在の FOL メンバーは創設者の志を引き継ぎ、ラフロイグの伝統とそれぞれに与えられた土地を守り抜くのです。この奉仕の精神は、共通意識を抱えたコミュニティーのメンバー間でねぎらわれ、アイルランド沖の小さな孤島をいつか訪ねることを夢見る者たちの間では、国境を越えた連帯感や使命感が醸成されるのです。

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