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リクルートエージェント |
誰も知らない、語らない転職裏話。エージェントを通じて転職した人、やっぱりやめた人。転職を考えていない人でも、真面目に考えている人でも楽しめる、日替わりコラムです。
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健康診断
著者: リクルートエージェント プリンター用 記事を転送
▼2003年3月19日 00:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
初めて会ったMさんは、どんよりと覇気のない表情をしていた。
「とにかく仕事に追われていて...このままでは身が持たない、と...どうにもならないので転職を考えてまして...とにかく、元気になりたいんですよ。」
彼は電子機器メーカーの経理課長。従業員規模1000名の準大手企業に勤めている。昨年、収益確保のための大規模リストラが発表され、間接部門を中心に大幅に人員削減したばかりである。幸い、Mさんは「残る側」となったものの、人不足のあおりをまともにうけた形になっているらしい。ここ半年間は、決算業務が重なったこともあって、不眠不休の状態がずっと続いているとのことだった。
「一応、管理職なんでそれなりに努力はしたんですよ。経理業務のアウトソーシングとか、システム導入による効率化とか...でも、上層部へ提案しても暖簾に腕押しで聞く耳を持たないんですよね。トップが営業畑の出身者で占められているので、どうも間接部門の苦労なんかわかってもらえないみたいなんです」
昨日も明け方近くまで仕事をして、カプセルホテルで仮眠をとったという。若干むくんだ顔でMさんは会社に対しての不平不満を漏らしつづけた。このような状況下で転職活動を続けるのには、実はムリがある。1つは万事ネガティブに物事を捉えてしまうために、面接場面でうまくいかないケースが多いこと。理由がどうあれ、採用する側も「元気がいい」人の方を好むものである。
もう1つは、物理的な理由。良縁にめぐり合えたとて、面接に赴く時間が取れそうもない。ただ、忙しさを理由に転職したい人が、忙しくて転職活動できないというのもヘンな話なので、我々としても最大限にサポートしつつ、Mさんと応募企業のコーディネートにいそしむことにした。
それからの数ヶ月間、案の定Mさんの転職活動は遅々として進まなかった。やはりカプセルホテルを定宿とせざるを得ない境遇のMさんが、昼日向に面接に赴くのにはムリがある。また、経理という仕事柄、外に出る機会も少ないために、外出の口実も作りづらい。そこでMさんは自らの「病気っぽい」風貌を逆手にとって、仮病を装っては面接に赴くことにした。もちろん、「病気っぽい」ままに面接に臨まれては困るので、気持ちの切り替えだけは徹底するよう依頼した上での転職活動である。その甲斐あってか、しばらくして第一希望のA社から内々定の承諾を取り付けるに至った。忙しい合間を縫って、「元気」を装いつつ進められたMさんの転職活動も終盤を迎えていた。
しかし、最後に至って致命的な「事実」が判明する。正式内定を前にして受診したA社健康診断の結果には、こう書かれていた。
「肝機能に重大な障害があります。長期療養が必要です」
A社も我々も、もちろんMさんも頭を抱え込んでしまった。どうやら現職での激務は、着実にMさんの身体を蝕んでいたらしい。「仮病を装う」どころではなく、本当に病気になっていたのである。結局、A社とMさんとで話あい、この縁談は破棄され、Mさんの転職活動は終わった。
その後、Mさんの病気が発覚したことで、さすがに現職企業でも考え方を改めたらしく、間接部門への人的再配置が積極的に行われたらしい。トップの配慮で、Mさんも長期休暇をとって療養に専念できることになった。
3ヶ月後、すっかり元気になったMさんから連絡が入った。以前とは別人のような快活さである。
「健康を取り戻したくて転職活動して、結果的には転職しませんでしたけど、お陰さまで元気にはなりました。」
結果オーライといったところか。もちろん、Mさんはまだ現職で活躍している。
※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。
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