|
ニュース検索
ピックアップ
今週のIT求人情報
|
猪突猛進メーカーの営業Tさん(26歳)は、最初に我々のところに来たときに、何か思い違いをしていたようだ。彼の思い込みを一言で表現するとこうなる。
『転職に失敗は許されない』 Tさんは我々が紹介した会社をみて、ゴクリと唾をのんだ。 「こんなにたくさん応募するものなのですか?」 「いえ、応募しなくてはならないってことじゃありませんよ。参考までにいろいろと見てみて、選んで頂ければ…」 それを聞いてTさんはかすかに安堵したようだが、依然、緊張の面持ちで二社の求人票をおそるおそる我々の前に差し出した。見ると紹介した十社のなかで、もっとも内定のハードルが低そうな二社である。 「どうしてこの二社なのでしょう?」 我々の疑問に、Tさんは肩をすぼめながら答えた 「この二社くらいしか内定しそうにないと思うので…」 「なるほど。でも、Tさんが思っているより、選択肢はありますよ。もっと挑戦しても大丈夫だと思います」 我々の呼びかけに、Tさんは不思議そうな顔でこう言った。 「でも、面接にならないとエージェントさんにご迷惑になるのではありませんか?」 どこからどういう情報を仕入れてそう思ったのかは分からないが、Tさんは応募した会社で書類選考に落ちてしまうと、我々が相手の会社に謝らなければならないと考えていた。エンジニアを求めている求人に、全く未経験の人を紹介すれば別だろうが、キャリアが合っていればそんなことは起こりえない。 我々はすぐに迷惑などということはないと説明したが、それでもTさんは「すぐに条件の良い会社に応募をするのには抵抗がある」と言った。 「ある程度、面接慣れしてからの方が良いと思うんです」 「条件の良い会社であればあるほど、応募者はすぐに集まります。他の会社を受けているあいだに、定員が埋まってしまうこともありえるでしょう。スピードも大切ですよ」 「ですが、やはり落ちてしまうと思いますし…。それから他の会社を受けるにしても、他社で落とされた人を採用したいとは思わないのではないでしょうか?」 Tさんは滑り止めの会社の内定を保留したまま、応募する会社のレベルをあげていって自分の限界を探る転職活動をイメージしていたのだろうか? しかし、内定が出た後、決断を長く待ってくれる企業は少ない。そもそも、応募者が他社で落とされたかどうかを、我々が情報として出すことはないので、面接する会社はTさんが他社で落とされたかどうか分かりようがないのだ。 だが、この点を説明してもTさんは応募に踏み切ろうとしなかった。 「けれど、内定をもらってからお断りするのもアレですし、もう少し会社のことを自分なりに調べてから…」 内定をもらったら断れないというのも思い込みである。行きたいと思えない会社なら、たとえ転職エージェントが間に入っていても、内定の前後を問わず、断っていただいてなんら差し支えない(一度、入社の意向を示した後の変心は困ってしまうが…)。 いや、それ以前に「内定が出たら断れない」と思っているなら、条件の良い会社から受けていかなくては本当はおかしいはずだ。 「今の会社はもう居られない」と断言したTさんなので、転職を希望しているのは間違いなかった。 それにも関わらず、何のかんのと理由をつけて応募しようとしないのは、Tさんのなかに「失敗したくない」「否定されるのはイヤだ」という気持ちが強いからではないだろうか。 Tさんには最初の一歩を踏み出してもらうことが大事だと考え、我々は数日後に行われるある企業の一斉面接会を案内した。業界・仕事内容はTさんの希望に合っていなかったが、「面接の雰囲気に慣れるため」と言って、なかば無理矢理、参加のセッティングをすませた。 Tさんは「まだ、心構えが…」などと言い、渋々ながらという様子だったが、一斉面接会後の様子はまったく違っていた。 「自分がやりたいこととは違っていたので、うまく応対できないところもありましたが、今の会社とはまったく違う世界があることを知ってとても刺激になりました。参加して本当に良かったと思っています」 それ以降、Tさんはなんの物怖じもすることなく、興味を持った会社に次々と応募していった。時に合わない会社にぶつかって、まったく盛り上がらない面接に時間をとられることもあったが、Tさんはそれすら「友達との話のいいネタになる」と笑いとばしていた。彼のなかで転職活動が「失敗できないこと」から「面白いこと」に変化していたのは明らかだった。 「失敗する」「落とされる」のが怖いという気持ちはよく分かる。誰だって、否定される経験はイヤなものだ。しかし、我々が現場で見ている限り、(特に若い人は)転職で落とされたとしても失敗したと落ち込むばかりではない。様々な「気づき」「発見」が伴っているので、転職活動のなかで成長していける充実感がそれを補うのである。 今年の干支はイノシシ。昨年、漠然としたためらいで転職活動に踏み切れなかった方は、猪突猛進、いろいろな会社にぶつかってみてはどうだろう? 結果として「現職の会社が一番」という結論になるかもしれないが、それはそれでいいではないか。他の会社に鼻を突っ込んで匂いを嗅いでみるなんて経験は、転職の面接以外、そうそうない。きっと、どこかに新しい発見があるはずだ。 ※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。
新着ニュース・コラム ホワイトペーパー
|
注目のトピックス 話題の記事
企業の約4割がいまでも IE 6 以前のブラウザを利用 ― Web 広告研究会調査
SNS「非モテ+」、バレンタイン関連ワード投稿を禁止に
Android アプリを美しくみせる UI デザイン10のヒント
新聞広告が動く!--11日の読売新聞朝刊に、AR を応用したドコモなどの広告
イギリス人は年間11キロのチョコを食べている―トリップアドバイザー「世界のチョコレート消費量」を公開
⇒一覧を見る
アクセスランキング
最新コラム一覧
|
||||||||||||||||||||||||