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IT企業の悪しき慣習を破る! 技術屋社長の社内制度
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以前は花形産業だったIT業界も、今では「3K職場」(きつい、帰れない、給与が安い)などと呼ばれ、働くエンジニアからも多くの不満の声が聞こえてくる。しかし、そんな体質を少しでも変えたいと、自社に新しい制度を導入した技術屋社長たちがいる。IT業界はまだまだ捨てたものじゃない。
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成果主義型の賃金体系を導入する企業がここ数年で激増したが、従来の年功型のメリットを指摘する風潮も高まっている。その選択を社員にゆだねるという、斬新な制度を発表したのが青野社長率いるサイボウズだ。
「創業期の弊社は『ガンガン働いてもらって成果で返す』という給与体系でした。しかし、そうできなくなった社員は辞めざるを得なくなりますし、長い人生には出産や介護といった個人の事情が出てきます。ですので、仕事に熱中して見返りを求める社員は成果型を、コツコツ働いて安定を望む社員には年功型をと考えたわけです。大切なのは『社員が安心して長く働ける』ことです」
目指すのは社員が長く勤務しているトヨタや松下電器などの大手メーカー。同じモノづくり系企業であり、事業のグローバル展開という意味でも意識するという。また、年功とは社員の年齢を意味しない。同じ32歳で執行役員とSEのいる同社では、そもそも年齢という軸で人を評価しないからだ。
同社にはほかにも、産前産後休暇(妊娠判明時から)や育児・介護休暇(最長6年間で休業回数は規定しない)などの支援制度がある。技術やビジネスの進化が速いIT業界では、復帰までのブランクの長さが致命的ともいえるが、青野社長は意に介さない。
「おなかの大きな社員が働くのは、見ていて心配になってしまう。また、流れの速い業界だから1年も離れると技術スキルはガクンと落ちますが、だったら1年休むも6年休むも同じこと。それに、ビジネス的、コミュニケーション的なスキルは変わりません。10年ではなく30〜40年単位で働いてもらうつもりですから、6年などは誤差のうちです」
育児休暇などは以前から導入されていたが、選択型の給与制度は2007年2月に導入されたばかり。社員の選択はこれからだが(取材時)、同社の社員約140人のうち50人ほどいる技術職からも、「安心できる」などの声が多く聞かれるという。
労働時間の長さや給与評価の不透明さなどから、IT業界から脱出するエンジニアが増加しているようだ。そんな現状に青野社長はこう語る。
「弊社の方針は心地よく長く働ける会社であり、改善は今後も続けます。IT企業もさまざまですから、別の業界に行くならぜひサイボウズにいらしてください」
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サイボウズ株式会社
「サイボウズOffice6」「サイボウズガルーン2」など企業向けのグループウェア製品を主力とするソフトウェアベンダー。日本製グループウェアのリーディングカンパニー。青野社長ほか2人で1997年に設立。
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特別休暇、フレックス、時短、家族支援…福利厚生に力を入れる企業は多くても、「活用する時間がない」や「同僚に迷惑がかかる」などと社員から敬遠され、機能不全のものも少なくない。河野社長はこうした現状を嫌った。
「福利厚生には何らかの条件が付いたり、会社側が一方的に決めたりするものですが、社員の事情はさまざまなので必ずしもうまく合致しません。大事なのは制度自体ではなく、社員の率直な要望を聞いて、それぞれの生活を支援することです。例えば弊社のような中小企業に託児所を設けるのは現実的ではないので、子供を幼稚園などに送るために1時間遅れて出社、迎えのために1時間早く退社できる育児時間休暇を作りました。また、9時出社では電車が込むので、始業時間は9時15分に変えました。どちらも社員の声がきっかけです」
発案の場となっているのが社内バーだ。仕事を終えた社員が連れ立ってセミナールームに集まり、冷蔵庫からビールやチューハイを取り出し、買ってきたつまみを広げて飲み会を始める。仕事の話はタブーで上司・部下の関係もなし、ひとり一品の「話題」を持ち寄る。
「社員のひとりが、『元気に働けるのはうちの奥さんのおかげだから花束を贈るべき』と私に言ったんです。すぐに実行しましたよ(笑)。社員の誕生日には5万円、その配偶者には花束(女性)かビール券(男性)を贈呈しています」
社内バーは設立当初から開設されているが、きっかけは河野社長が前職の米国勤務時代に見た、ベンチャー企業のビアパーティだ。各部署の仕事は違っていても、金曜の夕方には社員が集まり、ビールを片手に談笑する。
「別々の部署の人たちが集まって盛り上がり、アイデアが生まれるのを見るのがいちばんうれしいんです」
同社の社員は約110人で、技術職は十数人の開発職と三十数人のサポート職が中心。開発職は18時くらいに退社し、顧客対応のサポート職は21時くらいまで勤務する場合もあるという。
「無理に残業しても開発のアイデアは出ないものですし、サポート部隊はお客様の評価も高く、製品の課題を集める貴重な存在ですので、会社で彼らをサポートしています。支援に限度があるのは確かですが、社員の声を聞きながら最大限まで挑戦したいですね」
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株式会社アイ・アイ・エム
企業システムの性能解析・管理ソフト「ES/1 NEO」シリーズを主力とするパッケージ開発ベンダー。レンタル形式での導入先は、大手企業や官公庁など合計約850社に及ぶ。河野社長ほか2人で1988年に設立。
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