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事業仕分けによる次世代スーパーコンピューターの開発予算削減について、どうお考えですか?
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スーツが着られない化学メーカーA社に勤務するエンジニアMさん(27歳)は、会社の寮で生活しながら転職活動をしていた。
社員同士の結びつきが強いA社では、個人の秘密が秘密にならない風土があった。特に寮に入っている社員同士はその傾向が強く、転職などということになれば、話はアッという間に上司・人事に伝わってしまう。MさんはA社の人間には相談はおろか、転職の素振りすら見せずに転職活動をしなければならなかった。 だが、寮に住みながら、誰にも知られずに面接に行くのは難しい。 Mさんが住む寮には、保安上の理由から平日の昼間、管理人が常駐していた。もちろん、Mさんの顔も名前もしっかり把握されている。何かしらの理由を言って会社を休み、その上で外出、それもスーツを着てとなると、怪しまれるのは必然だった。 大手メーカーB社の書類選考を通過した時、Mさんは我々に月曜の午前中の日程調整を希望してきた。月曜の午前中ならば、週末実家に戻り、そこから直接面接に行くことができるからだ。 しかし、B社の面接はすべて午後に設定されており、Mさんの面接も火曜の午後に執り行われることが決まった。Mさんは寮を抜け出すのに、何かしらの方法を考えなくてはならなくなった。 シャイな性格のMさんは悩みに悩んでいたが、「こんな些細なことで相談できない」と考えていたため、直前まで我々にスーツを着て外出するのが難しいことを黙っていた。 面接の前日、我々が「何か不安なことはありませんか、あれば遠慮なくおっしゃって下さいね」と水を向けて、ようやく「スーツが着られないんです」と話を切り出してきた。 この時、我々がまず考えたのは、B社に事情を説明してカジュアルな服装での面接を許可して貰うという方法だった。実際、Mさんとまったく同じ理由で、スーツを着ない面接を行った前例もある。ただ、そのケースはキャリアがピッタリで、他に有力な候補者もいない、完全な「売り手優位」の面接だった。 Mさんの場合は微妙である。B社は現職のA社よりも規模・待遇ともに勝る大手会社。B社のエンジニア採用ニーズが強いとはいえ、他に候補者がおり、内定がほぼ確実というわけではなかった。 スーツを着る着ないはキャリア・人柄とは無関係だが、見た目の印象で損をする可能性がゼロではない。また、普段の服装で面接にのぞむことで、本人の気持ちがゆるむ心配もあった。 我々はMさんに言った。 「大きな鞄と専用のハンガーを使って、シャツとスーツを折りたたんで持ち出しましょう。少し早めに出て、どこか一人になれるところで着替えてください。荷物が多くなるので、それはロッカーに預けておきましょう」 仮病で会社を休んだMさんは、我々のアドバイス通りスーツを鞄に忍ばせ、「病院に行って来ます」といって寮をあとにした。15分前にB社本社に到着し、一階にあるカフェのトイレで着替え、駅に戻って鞄をロッカーにつめて面接に向かった。 だが、その時のMさんの恰好は…、 ベルトを忘れたためにズボンはズリ下がり、ネクタイは固結び、スーツのエリはめくれあがって裏地がみえ、クリーニングのタグが首筋から飛び出していた。普通なら服装の不自然さをやんわりと指摘するB社の採用担当も何といっていいのか分からず、苦笑いをするしかなかったほどであった。 他に良い応募者がいるという不採用の連絡後、Mさんはすっかり気落ちしていた。 「普段、会社では作業服でいることが多くて、スーツを着るなんてこと自体、慣れてないんです。カフェのトイレには大きな鏡がなくて、時間も迫ってきて、とにかく遅刻しちゃいけないってそればかり考えてしまって…」 我々も反省しきりである。カジュアルな服装で面接にいってもらうほうがまだ良かった。エンジニアにはスーツを持っていないという人も多い。「スーツを着られない」のは、寮を出入りするときだけではなく、日常のことだったのだから。 ※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。 |
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