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事業仕分けによる次世代スーパーコンピューターの開発予算削減について、どうお考えですか?
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一匹狼一匹狼という言葉に憧れを持つ人は少なくない。孤高な無頼漢のイメージは、ハードボイルド小説・映画の主人公の定型である。「仕事」の領域においても、組織に依存しない姿勢が格好よく見えなくもない。
ロジスティックサービスA社で働くNさん(25歳)には、職場に目標となる人物がいた。隣の部署のS先輩である。 S先輩は、個人的なことを多く語らない謎の人物として知られており、滅多に社内の人と飲みにいくようなことはせず、近寄りがたい雰囲気を持っていた。 愛想がよく、誰からも好かれるNさんとは正反対のタイプなのだが、当時、上司に良い顔をしては大量の仕事を抱えこんで苦しむということを繰り返していたため、周りには淡々と接しながら、それでいて仕事はキッチリできて、信頼されているS先輩はNさんの理想になっていたのだ。 S先輩と話したことは数えるほどしかないものの、いかにもタフなS先輩の言葉はNさんの胸に刻まれていた。 「自分を持たないヤツはいずれ潰れる。相対評価で納得するな」 「爪痕を残せ。この仕事は自分がやったんだと皆に分かるように。野生の獣はみんなやっていることだ」 「もっとも美しい仕事はシンプルと決まっている。派手に仕立てたものは、時間が経つと陳腐になる」 また、同期に向かって「いつまでA社にいるかなんて分からないからな」と言うのを聞いたこともあったので、NさんはいつかS先輩はA社を出て行くつもりなのだろうと考えていた。 転職を考えるようになったNさんは我々のところに相談に来て、理想の自分の姿としてS先輩のことを話してくれた。 「自分とはタイプが違うことは分かっているんですけど、ドライな部分も持っていないとダメだと思うんです」 「なるほど。それで、その先輩に仕事の相談をしているのですか?」 我々の質問に、Nさんは冗談じゃないという感じで笑った。 「無理ですよ。言ったでしょう。そういう雰囲気の先輩じゃないんです」 「そうですか?どんな人でも、『あなたは私の理想です』と言われれば嬉しいと思いますよ。せっかく身近に目標になる人がいるのに、もったいない。A社で自分を伸ばしていく道が見えるかもしれませんよ」 「そうかなあ。でも…。そうですね。ちょっと考えてみます」 その時のNさんは戸惑っていたが、後日、我々の勧めたことを試すことになった。 S先輩のところに行ってみると、意外にもアッサリ相談に乗ってくれるという返事があった。昼休みの時間、会議室でNさんは初めてS先輩と「さし」で話をした。 「……なので、今の状況に手詰まり感があって、どうしたらいいかって」 「お前、ハッキリ言って転職を考えているんじゃないのか?ここだけの話にしてやるから、言ってみろ」 「……。実は、もう転職エージェントと相談もしているんです」 「そうか。で、具体的にどこまで選考は進んでいるんだ」 「幾つのかの会社に応募しようかというところで、まだ面接には…」 こうしてNさんは胸襟を開いたのだが、休みが終わった後、社員証を置き忘れたと勘違いして会議室に戻ったところ、衝撃の場面に出くわした。 S先輩は内線電話で、本部長と思われる人と話をしていた。 「そうなんです。Nが辞めたいって。ええ、そうです」 「説得は難しいかもしれませんね。もう、転職エージェントと接触してるって話でしたし」 「私の方で説得はしてみますが、そちらの方は本部長にお任せします」 無論、Nさんは「ここだけの話と言ったじゃないですか!」と、抗議したが、S先輩はあしらうようにこう言い返してきた。 「仕方がないだろう?知っていて、上に報告しなかったとなれば責任問題だ。俺はちょうど主任手前の年齢、昇進を控えた身なんだぞ」 「まさか、あんなに組織ベッタリな人だとは思いませんでした」 Nさんは我々のところに連絡をして鬱憤をぶちまけた。 「もう、あの会社に未練は全然ありません。転職活動、頑張りますから」 先輩への相談を勧めた責任を感じるところもあり、我々の心中は複雑だった。 もともと人は群れる動物、そうそう一匹狼な人はいないというところだろうか。 ※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。 |
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