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リクルートエージェント リクルートエージェント
誰も知らない、語らない転職裏話。エージェントを通じて転職した人、やっぱりやめた人。転職を考えていない人でも、真面目に考えている人でも楽しめる、日替わりコラムです。

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すれ違いの果て

著者: リクルートエージェント プリンター用 記事を転送
2007年12月28日 10:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

転職は「縁」に左右されることが多い。キャリア・スキルも確かに重要だが、タイミングや人との相性、運、思い掛けない出会いといったアナログな要素の方が強く影響する転職も多い。

逆に言えば、縁に見放されると転職はうまくいかないということになるのだが…。

Kさん(33歳)とキッズ用品開発A社の出会いは、すれ違いから始まった。

A社の求人をみて、すぐにレジュメを提出したKさんだが、三日もしないうちに不採用の連絡が戻ってきた。理由は「キャリア違い」。

A社が出していた商品開発の求人には「コンシューマ向けの日用品開発経験5年以上」という項目があったので、経験が4年しかないKさんが「キャリア違い」とされても間違いではない。ただ、それなら普通「キャリア不足」と言わないだろうか?

不思議に思った我々が念のため「商品開発は、きっちりキャリアが5年無ければダメということですか?」と確認してみると、A社企画部の CMO(チーフマーケティングオフィサー)Y氏は驚いたような声を出した。

「え?経験4年?Kさんはそんな人じゃなかったような…。アレ、これは下の名前が違っています!」

調べてもらったところ、A社の人事がレジュメの振り分けを間違い、同姓の人をマーケティング部に送っていたのだった。

これで余計な一週間を費やしたのだが、面接が決まったあとも、Kさんの選考はなかなか進まなかった。スケジュールがうまく合わず、Kさんが無理して休みをとると、A社のY氏が緊急出張。あらためて設定した面接日の朝に、今度はKさんの子供が怪我で入院する(大事には至らず)と、ちぐはぐな状態が続いた。

「この話は、縁がないのかもしれませんね」

互いに他の企業・候補者が最終選考に入り、Kさん・Y氏はそう言い出していた。

そんなとき、偶然かつ突然にチャンスがやってきた。週末、A社のマネージャー研修が保養所で行われたのだが、その場所がKさんの両親の実家から車で30分ほどのところだとわかったのだ。

「ちょうど、その週末、実家にいこうと思っていたんですよ」

Kさんのこの一言で、土曜の夜、保養所の近くのリゾートホテルで面接が行われることが決まったのだった。

ところが当日、出張先から戻ってくる飛行機が遅れ、Kさんはもともと遅かった面接時間をさらに遅くせざるを得なくなった。Y氏は「私が空港まで行きますので、中の喫茶店で会いましょう」とKさん宛にメッセージを残したが、慌てていたKさんは携帯電話の着信履歴に気付かず、ホテルに向かってしまった。

Kさんが自分のミスに気づいたのはホテルが間近になってから。すでに時間は22時をまわっていた。

「せっかく、ここまで来たのに…。これから会うのも難しいでしょうか?」

我々のところに連絡があったのはその時だった。

我々はすぐにネットで検索して、出来るだけはやく落ち合えるよう、空港とホテルの中間点にあるファミリーレストランの場所を二人に連絡。取りあえずそこを目指すように指示をしたのだが、今度はY氏が勘違いをして、同じ十字路にある別のファミリーレストランに入ってしまい、さらに一時間近いタイムロスが起きた。結局、二人が顔を合わせたのは、日付が変わった後であった。

「ようやくお会い出来ましたね」

週末の深夜のファミリーレストラン。人気がない中、疲れ切った顔をつきあわせて握手をしたKさんとY氏。これほどすれ違いを繰り返し、縁の遠さを感じさせる面接セッティングもそうそうあるものではない。

しかし、目と目を合わせた時、全てが逆転した。おそらく、それは吊り橋効果に近いものだったのだろう。なかなか会えなかった相手を目の前にして、二人の気持ちが共鳴したのだ。

それから一週間後、正式な内定が出て、Kさんは喜んでA社への入社を決めた。縁には色々な形がある。あまりにも縁遠いというのも、ひとつの縁の形ということなのかもしれない。



※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。



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