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2008年10月8日
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キャリア コラム2008年1月8日 10:00
転職徒然草
転職徒然草 リクルートエージェントメールホーム
誰も知らない、語らない転職裏話。エージェントを通じて転職した人、やっぱりやめた人。転職を考えていない人でも、真面目に考えている人でも楽しめる、日替わりコラムです。

転職エージェントの醍醐味

国内国内internet.com発の記事
転職エージェントとしての一番の喜びは、求職者の方から「いい転職が出来ました」と言われる時…、取引先の人事から「○○さん、とても活躍していますよ」と近況を聞く時…。いや、実はそれ以上の醍醐味がある。

5年前、Rさん(当時24歳)が「就職の時に叶わなかったから」という理由で、コンサルティングファームA社への転職希望を口にしたとき、我々は丁寧に言葉を選びながら、「それは厳しい」ということを説明しなければならなかった。

Rさんのキャリアは化学製品商社の営業。ビジネスコンサルティングといえるキャリアはなかった。Rさんの現職企業は、規模・知名度でA社、あるいはA社の競合には遠くおよばず、彼が希望する転職は現実的とは言えなかったのだ。

「就活でいろいろ説明会に出たんですけど、A社が一番かっこよかったんですよね。」

RさんがA社を第一希望にしたのは、学生時代の素朴な憧れからだったが、Rさんは憧れをそのままにしていなかった点で優れていた。

他の多くの「夢見るコンサル志望者」と違い、RさんはA社での仕事がどういうものかを調べ上げ、それに向けて自分なりに勉強もしていた。現職を持ちながらの勉強だったので決して十分とは言えなかったが、真剣に自分のキャリアをなんとかしたいという姿勢は、レジュメのなかにもはっきり表れていた。

「やっぱ、無理ですよね。さすがにA社はちょっとね。すみません、ヘンなこと言って。分かってたんだけどなあ。ハハ。」

Rさんが無理につくる笑顔は、見ていて切ないものがあった。タイミングが合えば、Rさんは希望を叶えていたかもしれない。『こんなに努力している人に、何も応えられなければ、転職エージェントとして存在している価値がない』我々はそう思って彼に何を提案すればいいかを考えた。

「今すぐA社クラスのコンサル会社に転職するのは難しいと思います。ですから、まずは小さな規模のコンサル会社に転職して、そこでキャリアを積んでA社へのステップアップを考えるというのが、最も現実的な道ではないでしょうか?」

ありきたりだが、それがその時、我々が考えられた唯一の方法であった。もっとも、当時の転職事情では、中堅・中小の同業会社からA社へのステップアップなど雲を掴むような話で、我々は自分でそれを言いながら「気休めを言っているにすぎない」という罪悪感に苛まれていた。

しかし、Rさんは我々の話を素直に聞き入れ、A社と同じコンサル会社ではあるが、仕事の規模がずっと小さいB社に転職したのだった。

5年後、29歳になったRさんが我々のところに連絡をくれた。

「以前にお世話になったものですが…。」

職務経歴書をみて、我々はRさんのことを思い出した。そして、彼が「もう少しレベルの高い仕事をしたい」というのを聞いて、この時が来たかと気合いを入れた。Rさんは、B社で評価を得て、今では小さなプロジェクトならばリーダーを勤めるまでになっていた。

「ご存じのように、今は人手不足の会社が多くなっていて、A社もそのひとつです。今回はチャンスがあると思いますよ。」

我々は、可能性は五分五分だと思っていた。Rさんの人柄・意欲に疑いはない。しかし、これまでA社は、Rさんが働いていたB社ほど小規模の会社から人材を受け入れた例は少なく、面接にはなっても内定になるかどうかは微妙であるように思われた。

選考のなかで、Rさんは長年A社を目標にしてきたことを訴えた。話を聞いたA社の担当者は感嘆していた。

「Rさん、エージェントさんの言われたことを信じて、5年間、頑張ってきたわけですね…。」
「Rさんご本人の、A社に対する思いが強かったからだと思いますよ。」
「いや、エージェントさんとRさんの信頼関係ってスゴイなと素直に思いますよ。」

そのやり取りの直後、A社はRさんに採用通知を出してくれた。

喜ぶRさんの声を聞きながら、我々は転職エージェントとして最高の瞬間を味わっていた。我々の助力で転職をした方が、新しい舞台でキャリアを積んで、一回り大きくなって再び我々のところに戻ってきてくれる。少々手前味噌な話に聞こえるだろうが、一時のサポート役ではなく、線としてつながった人生をみるとき、我々はこの仕事にこの上ない醍醐味を感じるのである。



※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。

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