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友人の自社評価

著者: リクルートエージェント プリンター用 記事を転送
2008年2月22日 13:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

学生時代の友人から「今、働いている会社ってどう?」と聞かれたら、皆さんは何と答えるだろう?

手放しで自社を誉める方は、決して多くはないに違いない。たとえ自分に合った良い会社だと思っていたとしても、どこか悪いところを見つけて、

「面白い仕事なんだけど、安月給だからねえ。」
「同僚とは気が合うけど、上司が優柔不断で。」
「給料はそこそこだけど、メチャクチャ働かされてるよ。時給にすれば、低いね。」

なんて控えめにいうのがせいぜいではないだろうか。

商品開発Iさん(33歳)は大手流通A社に応募、良い感触で一次面接を終えていた。

「A社なら思い描いていた仕事が出来ます。自分のキャリアも100パーセントいかせるし、世の中に影響を与えられる。」

他にも興味をそそられる会社があるとIさんは述べていたので、「内定が出たら即応諾」とまではいかなかったが、かなりA社の優先順位が高かったのは間違いなかった。

そんな時、Iさんはある結婚式で大学時代のサークル仲間Mさんに5年ぶりに再会した。Mさんは現職のA社社員であった。

「そういえば、お前、A社だったっけなあ。」
「なんだよ、覚えてなかったのかよ?まあ、お前とは、2年まではよく一緒にいたけど、専門課程にいってからはあんま会わなかったもんな。」

Iさんは自分が転職活動をしていることは伏せたまま、さりげなくA社の実情を聞いてみようと考えた。

「A社の商品開発ってどうなの?」
「商品開発?そっか、お前、そっち方面の仕事やってるんだったな。俺は管理部門だからあんまり接点ないけど、トップがメチャクチャな人で、まわりが振り回されて大変らしいよ。すごい強引な人だから。」
「そ、そうなのか。」
「ああ。やり手ではあるんだけどね。でも、そのぶんクセが強いんだ。」

これを聞いて、Iさんのモチベーションはグッとダウンしてしまった。

「すみません。A社は辞退しようかと思うんです。」

Iさんは電話で友人Mさんから聞いたことを話してくれた。

「強引な上司は、自分には合わない気がして…。」
「そうですか。でも、A社の最終面接は明後日ですし、せっかくですから受けるだけ受けてみては?直接聞いてみたら、違う話が出てくるかもしれませんよ。」
「そうですねえ…。」
「確かその日は他の会社の面接もあって、休まれる予定じゃないですか。面接の練習だと気軽に考えてみればいかがですか?」

我々はまだ内定がひとつも出ていないことを考え、A社の選考を保留することを提案した。Iさんは最終面接に行くことに同意してくれたが、明らかに渋々といった様子であった。

A社の方では、Iさんは完全に内定路線に乗っていたようで、最終面接はほとんど役員との顔合わせだけで採用が決まった。

しかし、もちろんIさんは乗り気でない。我々には「他の会社の結果が出るまで待ってもらえないなら、A社は断っちゃっていいですから」とまで言っていたのだ。

ところがある夜、Iさんは突然「A社に決めました」と我々の所に電話をかけてきた。それも飲み屋から。

「急に、どうされたんですか?」
「今、Mという男と一緒にいるんです。A社で働いている友人です。彼に話をしたら『一緒に働こう』って誘われまして。」

Iさんは内定を断る前に、「いちおう礼儀として、一言いっておくか」と考え、Mさんに電話をした。そして「A社の内定もらったけど、お前の話を聞いて断ることにした」と打ち明けた。

慌てたのは友人Mさんだ。それを聞いて「ちょっと待て、早まるな。これから会えないか?」と、Iさんを飲みに誘ってきた。

「応募してるならしてるって言ってくれよ。」

飲み屋の席につくなり、Mさんは開口一番、Iさんにそう言った。

「黙っている方が、本音が聞けると思ったんだよ。」
「いや、お前、俺はプロパーだけど、A社は悪い会社じゃないぞ。というか、かなりオススメだ。」
「そ、そうなのか?だって、お前、このあいだは商品開発はトップが強引って。」
「それがウソってことじゃないよ。でも、商品開発は会社でも一番デキる連中が集まってんだ。そのくらいのリーダーシップがないと回らないよ。」
「じゃあ、別に酷い上司ってわけじゃ…。」
「全然ない。自分がハッキリものを言う分、部下の話もちゃんと聞くし、理不尽なタイプでは決してないよ。」

こうしてIさんはA社への転職を決断した。

会社の内情は、その会社で働いてる人に聞くのが一番。だが、実はそこにも「謙遜」や「見栄」といったフィルターがかかっていることを忘れてはならない。



※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。



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