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リクルートエージェント リクルートエージェント
誰も知らない、語らない転職裏話。エージェントを通じて転職した人、やっぱりやめた人。転職を考えていない人でも、真面目に考えている人でも楽しめる、日替わりコラムです。

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自信満々

著者: リクルートエージェント プリンター用 記事を転送
2008年4月15日 11:50 付の記事
□国内internet.com発の記事

金融業界で働くTさん(31歳)の経歴は、一風変わっていた。

高卒で就職し、働きながら夜間大学を出て税理士の資格を取得。その後、2度の転職を経て、準大手クラスの金融A社に勤務するようになった。

「コネで入ったようなものなんですけどね。」

Tさんは謙遜していたが、どんなコネがあろうとも、Tさんが任されていた仕事の内容は、実力がなければとてもこなせないものであった。

「若い頃は、けっこうムチャやっていたんですよ。」

Tさんは面白おかしく10代の頃の武勇伝を聞かせてくれた。おそらく、その裏では相当の努力をしてきたのだろうが、Tさんはそれを表にみせることはなかった。多趣味で雑学に富み、さまざまな経験をしているTさんとの面談は、仕事であることを忘れてしまうほど楽しいものだった。

キャリアにロスはあったが、書類選考さえ通ってしまえば、Tさんは自らのキャリアと巧みな話術で面接を乗り切ることが出来た。彼が金融大手の外資系B社で内定を勝ち得たのは、多少の驚きではあったものの、まったく予想外というわけではなかった。

「なんだか自分のようなアウトサイダーにB社は不釣り合いな感じがしますね。」

Tさんはそう言いながらも転職を喜び、新しい出発の日を迎えたのだった。

それから半年と少し、Tさんは「B社で元気にやっています」という報告と共に一人の転職希望者を紹介してくれた。A社の同僚Mさん(31歳)である。

MさんはTさんと同い年ながら、A社のなかでは年次が2年上で、Tさんを指導する立場にあった人物だった。中高一貫の進学校から有名大学に進み、A社に就職。それまで一度も転職の経験はなかった。キャリアの上でいけば、Tさんより人事ウケが良いのは間違いない。同じ年齢で経験が2年長いことも、Mさんの自信の裏付けだったのだろう。Mさんは「TがB社に転職できるなら、自分が不採用になるわけがない」と、自信満々だった。

「TがB社に行ったと聞いて、私もいいかもしれないと思いまして…。」
「なるほど、B社への転職を希望されるわけですね。」
「はい。B社への入社日は、三か月後でお願いしたいので、調整をお願いします。」
「あ、は、はい…。」

Mさんは我々との面談前から、自分がB社で内定になることを確信していたのだった。

しかし、物事はそう簡単ではない。

Tさんが枠をひとつ埋めたことでB社の採用基準は上がっている。さらに問題なのは、B社がTさんを内定にしたのは、大手金融には珍しい、そのユニークな人生経験にあることも関係していたのだ。言い方は不適当かもしれないが、ごく普通のエリートであるMさんが、B社からみて魅力的に思えるかどうか、我々には疑問に思えた。

しかし『B社に内定になるかどうかは、選考を受けてみなければ分からない』とほのめかすと、彼はヘソを曲げてしまった。

「どうしてですか?Tを優遇しているわけじゃないんでしょう?」
「もちろんそうですが…。」

結局、Mさんは『まさか自分がTさんに遅れることはない』と信じきったまま、B社単願で転職活動がはじまった。

書類選考は問題なし。一次面接では「いやあ、自信に溢れた方ですねえ」という微妙な採用担当のコメントにヒヤリとしたものの、最終面接にこぎつけた。そして、その時点でTさんから連絡があった。

「M先輩のことなんですが…。」
「同い年なのに、先輩って呼んでいるんですか?」
「A社では年次が絶対でしたからね。B社の選考、順調なようですね。」
「いまのところは。ただ、ちょっと自信過剰なところがあって心配しているんです。Tさんが内定だったのだから、自分も取れると考えているようなんですけどね。」
「ハハハ。実は採用もそのことで悩んでいたようで、私に相談があったんですよ。それで、仕事の早い人ですって推薦したら、『じゃあ、入社後の教育は任せる』って言われてしまって…。M先輩、大丈夫でしょうかね?」
「うーん。プライド高い方ですものね…。」
「そこなんですよ…。」

B社の内定が決まった後、我々はMさんに電話をかけた。

「B社に入った後はTさんからいろいろガイダンスをしてくれるそうですが…。」
「ほお、またアイツと一緒に仕事ですか。新天地で、また、いろいろ教えてやりますよ。アハハハハ」言葉を換えて状況を説明したものの、Mさんの自信満々ぶりは変わらなかった。

どうやら、空気の読めるTさんにお願いをして、彼の方で上手にアジャストしてもらう他ないようである。

※このコラムは、事実を元にしたフィクションです。



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