iモード ID がモバイルコマースに与える効果を読み解いてみる先日、NTT ドコモが「iモード ID」の提供を3月31日より開始する事を発表した。
一見 EC とは何の関係もなさそうな話題であるが、実はこのニュース、モバイルコマースにも大きな影響を与える可能性がある。これはどういう事か、少し説明をしよう。 サイト上で個人を識別する場合、PC ではクッキーという仕組みを利用している。PC 上に個人識別できる情報をクッキーとして保存させることで、サーバー側は再訪を判定できる。しかしモバイルでは容量などの問題から、ほとんどの機種でクッキーが利用できない。そのため、個人を識別するためには別の方法を利用する必要があった。 au とソフトバンクでは、基本的に HTTP のリクエストヘッダ内の情報に、端末またはユーザー固有の ID が付加されている。設定を変更すればその情報の送出を止めることはできるものの、携帯 Web サイトをよく利用するユーザーであれば、この情報が送出されていることが多いため、これらを利用することで、自動的に個人を識別できていた。 しかしドコモだけは違っていた。簡単に個体識別情報を取得できるのは、一部の公式サイトだけに限られており、それ以外のサイト(いわゆる勝手サイト)で個体識別情報を取得しようとすれば、確認画面が現れ、ユーザーがつど「携帯製造番号」のサイトへの通知を承諾しなければならなかったのだ。当然ユーザーにとって煩わしいうえに怪しく感じられるため、EC サイトや SNS 等の会員ログインなどに利用される程度だった。 ドコモにおいて勝手サイトの利用は6割強。ドコモでは、半数以上を占めるサイトで自動にて個体識別をする事が不可能であったのである。しかし今回の「iモード ID」の提供開始によりドコモでも他キャリアと同様に、勝手サイトでも自動個体識別が可能となる。 さて、この事実はモバイルコマースに与える影響は、どういったことが予想されるだろうか。 1.ログイン操作無しで会員サービスの提供が可能 再訪したユーザーに対してカスタマイズされた情報を表示したり、一度購入履歴のあるユーザーには煩わしい住所入力などの手間を省くことができるようになるため、より購入が簡便となり売上増に繋がる可能性がある。 2.より細かなアクセス解析が可能になる 訪問をまたいだアクセス解析が可能になり、よりアクセス解析の精度を向上させることができる。会員登録時の属性情報などと紐づければ、どういったユーザー層が何回目の訪問で会員登録し購入に至るのかなど、会員登録前の動きともあわせて追うことができ、細かい分析が可能となるだろう。 モバイル対応のアクセス解析ツールでも早々の対応が予想され、一気に勝手サイトでも様々な角度からアクセス解析ができるようになると思われる。アクセス解析の精度向上は、サイトの質の向上に直結させることができるのは PC もモバイルも同じであろう。 3.Google AdSense の利用が可能になる EC サイトで売上を伸ばすためには、コンテンツや導線の改善といったサイト内部の施策だけでなく、外部からの誘因施策を適切に行い、訪問者を増やすことが重要だ。検索エンジン対策(SEO)はもちろんのこと、AdSense や Adwords といった広告を通じて訪問者を獲得するのは、モバイルコマースにおいても同じである。 昨年10月に Google AdSense が携帯でも利用可能になったというニュースは記憶に新しいが、実はドコモで閲覧される勝手サイトでは未対応だった。これは個体識別する術がないため不正クリックを防ぐ手段が無かったからだと言われている。 今回の iモード ID 提供によって、Google AdSecse はドコモに対応すると思われる。約4,800万という契約数を抱えるドコモが Google Adsense に対応すれば、ますます広告を通じた訪問者獲得の機会が広がるであろう。 以上が、現時点で考えられる大きな影響だ。今後、モバイルコマースにおいても出来ることが増え、市場の活性化が予想されるのではないだろうか。 (執筆協力:株式会社イー・エージェンシー 森藤将武) 記事提供:株式会社ロックオン
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