ハートビート:景気敏感セクターが軒並み下落【下】【アジア諸国、特に中国では鋼材需給が逼迫】 その鉄鋼セクターの株価上昇を支えていた背景が、中国向け輸出の伸びである。中国の5月の粗鋼生産量は前年比で+29%も伸びている。 今年2月あたりから中国と韓国における鋼材需要に変化が見られ始めた。最初は米国向け製品の輸出回復に伴なって、中国・華南地区のIT関連工場から鋼材への引き合いが増えた。その後、徐々に住宅やビル建築、工場建設のブームが沸き起こり、石油ガス開発に伴うパイプラインの需要も急増した。中国ではそれまでの沿岸部から内陸部に建築ブームが拡大しており、鋼材需要はそれにともなって増えている。 韓国でも自動車メーカーが輸出主導から内需主導型に生産が転換し、公共事業の前倒し政策も重なって鋼材需要が高まっている。中国・韓国が輸出→内需へと需要構造の転換を進めており、台湾やマレーシアなどの周辺地域にもその影響が波及している。 今年3月に米国が鉄鋼製品14品目に対して暫定セーフガードを発動。すぐにEUも追随し、5月には中国も9品目の暫定鉄鋼セーフガードを発動した。この直後から日本の大手鉄鋼メーカーは本格発動を回避するために、対中輸出を自主規制している。7−9月の輸出量は4−6月期比で−30%は減少する見通しである。中国に進出した家電メーカーの間では、中国産では代替のきかない表面処理鋼板や電磁鋼板で需給がひっ迫し始めているが、鉄鋼各社は年内中は輸出抑制の継続を決めている模様である。 鋼材需給の逼迫が長期化するはずの鉄鋼セクターで、その代表格である新日鉄が安値を更新。今年1月30日のザラ場安値174円を割り込んだ。すでに7月上旬の時点でテクニカルチャートの多くが弱気相場入りを示唆していたが、連日報道されるファンダメンタルズの強さにかき消されていた。川鉄、NKKも同様の展開である。鉄鋼セクターに限らず、化学の三井化学、非鉄の住友金属鉱山、紙パの王子紙など、昨年のテロ事件直後からいち早く上昇相場に入った素材セクターが、一斉に弱気シグナルを発している。下げ相場をリードしている値がさ株の株価下落が、低位の景気敏感株にも波及しつつある。
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