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鈴木 一之(すずき かずゆき) |
大和證券株式トレーディング室を経て、株式会社インフォストックスドットコム、リサーチ部チーフアナリスト(日本株担当)。
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ハートビート:2つの対極的なニュース【下】
著者: 鈴木一之 プリンター用 記事を転送
▼2002年10月28日 00:00 付の記事
□Stockcampus発のコラム
【銀行の経営者は何をしてきたか】
自動車や自動車部品に代表されるメーカー側の必死の再建努力に比べて、日本の銀行はどうなっているのか。破綻してもいない銀行に対して、竹中プロジェクトチームから出される再生案は、不良資産の「旧勘定」と正常資産の「新勘定」に分離して、「旧勘定」は整理回収機構に一括売却。正常資産を引き継ぐ「新勘定」の部分だけを、経営陣を入れ替えた上で存続させてゆく。経営陣の責任追及には時間的な余裕を持たせており、今年末までに公的資金の注入を申請すれば厳しい責任は問わない、というものである。
今の銀行に経営は存在しない、これまでも存在していなかった。いつも喉もとを過ぎれば熱さを忘れて、大口融資先の問題企業を存続させてきた。国民は竹中チーム案を支持するであろうし、それで将来の展望が効くようになるのであれば多少の痛みは受け入れる。しかし政府・与党首脳と大手銀行トップはこれに異を唱えている。猛烈な抵抗勢力としてこれまでの政治献金の額がここでモノを言う。みずほホールディングの前田社長は「繰延税金資産を制限されれば、貸出などの資産を30兆円は減らさざるを得ない」とほとんど恫喝のような言葉を述べている。
【今後の展開】
証券市場では今後の金融再生の過程を、(1)楽観シナリオ、(2)悲観シナリオ、(3)中庸シナリオ、の3つに分けて捉えている。(1)の楽観シナリオとは、整理回収機構への不良債権大量売却と、銀行のビジネスモデルの転換、産業界の再生、セーフティネットの強化、大型減税、日銀のインフレターゲット、というあらゆる政策パッケージがすべて一度に決まるというもの。これは(誰もがそう思うだろうが)最も可能性が低いと見ている。
(2)の悲観シナリオとは、小泉首相と財務省が財政収支均衡に執着し、竹中チームも米国の支援を背景に強硬路線を貫いたまま、しかし何も決定できずに、97-98年と同じような金融機関の大型破綻が到来してからようやく政策が決まる、というもの。ただしこのケースは可能性を提示しているだけで、楽観シナリオと同じくらいにあり得ないと見る。
最も実現性が高いのが、(3)の中庸シナリオ(=日本的解決策)である。これは10月末までにハードランディング策とソフトランディング策との間ですり合わせが進むというシナリオである。すなわち、小泉首相は補正予算の編成に今まで以上に踏み込み、これに日銀は追加の金融緩和で応える。公的資金の具体的な注入金額は当面は決まらず、銀行の資産査定を強化する過程で、金融庁による特別検査を開始した昨年末のように企業倒産が徐々に出現してくる。不良債権処理を打ち止めにするような抜本策には至らないが、政策の方向性が定まるという点だけにおいて評価の余地があろう、としている。
アメリカに賭けるか、日本に賭けるか、株式市場はまさにその綱引き状態にある。
【今週のスケジュール】
10月28日(月)
9月商業販売統計速報
9月工作機械受注実績
10月29日(火)
9月失業率・有効求人倍率
9月勤労者世帯家計調査
9月鉱工業生産指数速報
米10月消費者信頼感指数(カンファレンスボード)
10月30日(水)
経済財政諮問会議 デフレ対策決定
10月31日(木)
9月毎月勤労統計
9月住宅着工・建設工事受注
米第3四半期GDP速報値
米第3四半期雇用コスト指数
11月1日(金)
米10月雇用統計
米9月個人所得
米9月建設支出
米10月自動車・トラック販売台数
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