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間瀬博行(ませ ひろゆき) |
複数の海外資本の金融機関で為替や株式などのディーラーを歴任後独立。現在一投資家として市場を見つめる。
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休まない夏休み
著者: 桜井信一郎 プリンター用 記事を転送
▼2004年7月28日 00:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
ここ2年ほどのお話ですが、
夏休みを利用してインターネットでデイトレードを行う人が急増しているそうです。
特に昨年度はその傾向が顕著になったようで、
「夏枯れ相場」という言葉は今後消滅していくかと言われたこともありました。
というのも、
普段は会社勤務などで日中時間が拘束されている方にとっては、
まさに平日しかオープンしていないマーケットに時間を割ける、
夢の時間となるからです。
強者の中には、
これと思った日には病欠で会社を欠勤して、
モニターを眺める時間を作る人までいるようです。
インターネットによる株式取引のほかにも、
休日を利用して商用サイトを構築する人も増加の一途を辿っているようす。
そして、個人の EC サイト構築のノウハウを売る専門の業者まで登場しています(ただこの業種は簡単に参入できるという意味ですでに競争が熾烈になってしまっています)。
楽しみながら収益も目指せるということと、
普段の仕事で自己実現が事実上困難な方は多いと目され、
「休日を使った楽しい仕事」への需要は、
ますます増加の一途を辿ることになるでしょう。
こうした、
「休みを使って仕事をする」という傾向はなぜ顕著になっているのでしょうか。
現在の社会はいかに景気が良いとはいっても所詮はマクロベース、
企業収益ベースであることが一番の背景でしょう。
現在の好況には、
企業によるリストラ効果が景気を押し上げている背景があり
(つまり、個人の雇用と所得の犠牲の部分が企業業績に転化されている構図)、
基本的に社会のムードは依然「将来への不安」が体勢を占めているからです。
年金問題もこの不安に拍車をかけていて、
マクロの景気が回復傾向だからといって、
高度経済成長期のように個々人が「常に心に太陽を」といった状況にはないからです。
ただ、景気指標の回復基調もあって、
この「社会的な心理を支配しているのは依然不安である」ということを正面から指摘する向きは少ないように感じます。
しかし、
この傾向は今後もさらに継続して拡大していくことになるでしょう。
なぜなら、今後の日本の人口は来年を境に減少傾向に入っていくという根本の大変化があって、
人口が減少過程を辿る限りは、
消費は根本的に回復しないという長期のマイナス構図からくる不安があるからです。
さらに、
安価で質の良い中国の莫大な労働力の供給もあり(ちょっと前までは質には疑問が残りましたが、高収入を求める労働者の学習意欲はすこぶる旺盛です)、
雇用への不安はますます高まることになるでしょう。
また「日本の知的水準は高いのだ、そう簡単には抜かれないだろう」という発想はすぐに消えてしまうでしょう。
高度経済成長期にある人間には希望しかないのです。
希望しかない人間はとにかく寸暇を惜しんで前に進みます。
こういう日本の現状を多くの方が冷静に分析しているかどうかはいざ知らず、
日々の会社のムードや経営方針の変化などで肌で感じていることでしょう。
だから、「休日も何かをしないと」ということになるのでしょう。
そうならば反対に、
20代前半での「なごみ」という言葉の流行の背景にあるように、
「まあ、お金を使わずヨヨコウ(代々木公園のことらしい)で鬼ごっこでもしよう」という、
消費を絶対の目標としない世代の行動様式も拡大の一途を辿るでしょう。
家庭でこうした子供の様子を目の当たりにする父親は、
「じゃあ、いっそ田舎暮らしでもするか」と思ったりして、
今後の消費動向にポジティブになれないかもしれません。
そうなると、
「休まない夏休みか……、いっちょやってみよう」という人が大勢出てきます。
夏休みシーズンを前にした株式市場を眺めたとき、
ふっと昨年のマーケットの記憶が語りかけてきたキーワードが「不休の夏休み」です。旅行需要ばかりの派手さが伝わってきますが、
その裏にある「不安」を背景にした隠れた需要のありかが、
少し垣間見えたような気がしました。
(記事執筆:桜井信一郎
)
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