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2008年9月6日
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Webファイナンス コラム2004年7月30日 00:00
感覚で読む経済学
感覚で読む経済学 岡崎良介(おかざき りょうすけ)メールホーム
伊藤忠商事、野村アセットマネジメント、日本バンカーストラスト、ドイチェ信託銀行などで活躍。現在は、執筆活動と自己の資金運用、投資家の育成に携わる。その後、フィスコ・アセット・マネジメントの設立に参画。運用最高責任者(CIO)に就任。著書『フリーランチ投資家になろう!』(ダイヤモンド社)

袋小路に入った為替市場

国内国内internet.com発の記事
昨年、あれだけ湯水のように使われた為替市場への介入が、今年度に入ってからは、なしのつぶてである。確かに介入の目的がデフレを阻止することにあったというのならば、もう必要ない。

賛否両論あろうが、8四半期連続して日本経済は拡大し、少しずつ GDP ギャップを縮小させている。この状態で介入を行い円安にすることでさらに景気を伸ばそうとすれば、それこそ近隣窮乏化背策として諸外国から批判のそしりを免れない。

しかし一方では相変わらずの貿易黒字が歴然と存在している。大体のところ毎月1兆円程度の余剰が貿易部門から発生しており、これをいかに資本の流出で補うか、というのがあいもかわらぬ日本の国際収支の問題である。とりわけ今年の場合は、介入なしで。

ところが大方の予想に反して、為替相場は驚くほど堅調である。3月末に最近の安値となる103円39銭をつけてから、5月13日の114円59銭までほぼ一本調子でドル高となり、その後は107円〜112円のボックスレンジで安定した動きとなっている。むしろ直近はドルがじり高の展開である。この背景を探ってみよう。

先ごろ発表された GPIF(年金資金運用基金)の報告書を分析すると、今年度の国民年金の外貨建て資産への投資は、おおよそ5.2兆円と推測される。これは資産配分の目標値から逆算した数字であるから、海外の株式・債券が大きく上昇するか、円安になるか、はたまた国内株式・債券が大きく下落しない限り、ほぼ間違いない。加えて今年度は代行返上が限定的であるため民間部門からの流出もあるだろう。合計すると年金部門からの資本流出は年間6兆円と見積もられる。

さらに、財務省の国際収支統計を読むと、今年も毎月分配型外債ファンドを中心とした投資信託の資本流出が安定的に続いている。このままのペースで行けばこの部門からの資本流出は年間で2兆円程度になりそうである。

最後に同じく国際収支統計から機関投資家の雄、生保の収支状況を見ると、今年もすでに4〜6月期で外債を中心に1兆円の流出となっている。このまま行けば年間4兆円だ。

何のことはない。これで均衡しているのである。年金と投信と生保でちょうど貿易黒字と見合う12兆円。加えて今年度はこれまで台風の目となっていた外人の日本株買いが減少し、これまでのような影響力を失っている。どうやらおぼろげながらもこうした数字を察知して為替市場は介入なしでも奇妙な均衡状態を保っているよう である。

しかし相場は生き物であり需給は力学である。今上げた材料のうち貿易黒字、年金・投信の資本流出は短期的には変動することがない確定的な要素であるが、外人の日本株買いは相場次第でくるくる変わるし、生保の外債投資も年度初の計画は変更されるのが通例だ。

ただ面白いことに、両者はファンダメンタルズ的には同じ環境の下で同じ方向に動く。生保は日米金利差、外人は日米の景況感格差。景気が良いほうの株が上がり金利も上がるとすれば、両者の売り買いは方向を一にする。

ところが日米の景気が同じように動き、その結果金利差も常に一定となると、生保も外人もやりようがなくなる。これが現状だ。米国株が下がると日本株も下がり、米国金利が上がると日本の金利も上昇する。これではいつまでたっても袋小路から抜け出せない。

ただ一つ兆しがあるのは金融政策の違いである。日本がデフレの恐ろしさに震えいつまで立っても動けないのに比べ、米国はいち早く果敢にも金利引き上げに打って出た。ゼロ金利政策が続く限り、少なくとも金利差だけはじわじわ開いて行くことが決定的である。

どうやら諸般の事情を振り切って、当面はドル高が続きそうである。

(記事執筆:岡崎良介)

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