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岡崎良介 岡崎良介(おかざき りょうすけ)
伊藤忠商事、野村アセットマネジメント、日本バンカーストラスト、ドイチェ信託銀行などで活躍。現在は、執筆活動と自己の資金運用、投資家の育成に携わる。その後、フィスコ・アセット・マネジメントの設立に参画。運用最高責任者(CIO)に就任。著書『フリーランチ投資家になろう!』(ダイヤモンド社)

 メール  著者にメールする
 ホーム  http://www.j-ti.com/discussion.html

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貯蓄崩壊

著者: 岡崎良介 プリンター用 記事を転送
2004年11月22日 00:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

景気については、常々中国を中心とした外需頼みであるというのが一般的な見方であったし、個人消費などはすぐにでも息切れしてしまうというのがエコノミストの見方であった。

少なくともついこの間までは全員がそう言っていた。しかし現実は違う。7-9月期の経済成長など、外需がむしろ足を引っ張り、個人消費が牽引することでマイナスをかろうじて免れたのである。

所得が伸び悩む中、消費だけは貯蓄を取り崩す格好で6四半期連続して上昇している。これでもまだ一過性の現象と言うつもりなのか。

いよいよ欧米型の消費スタイルが浸透し始めたと見て良い。個人金融資産における現預金が取り崩され、消費と投資に振り向けられていく時代がようやく始まったのだ。

そもそも日本人の異常に高い貯蓄性向についてはろくな分析がない。理論にそぐわないからと経済学者は、あたかも地理的要因であるかのように永劫普遍なるものとして分析対象からは黙殺してきたのが現実である。

だから彼らは平成不況の本質が最後までわからなかったし、今起きている消費の回復もなかなか信じようとしない。

世代間の不均衡問題もそうであるが、日本の過剰貯蓄の個別要因は、戦争経験者による、異常とも言える現預金選好にあった。そしてそれを社会システムとして強化してきたのが、個人の借り入れ制約である。

借り入れ制約の問題は経済学でも立派な仮説として一部の学者から支持されており、貯蓄率が高い国の制度的理由を唯一説明する理論として教科書にも載っている。理屈は極めて簡単で、個人が借り入れを行う際の最も大きな動機は住宅の購入であるが、これが日本の場合、かつて大変条件の厳しいものであった。

もともと地価が高いため購入価格が諸外国に比べ異常に高価であることに加えて頭金の割合が非常に高い。海外では頭金そのものがないに等しいところも見られるのであるが、日本の場合かつてはそれが四割程度もあるのが普通であった。

しかし今やこの世代間の不均衡も借り入れ制約の問題も、解決しつつある。戦争経験世代から後の世代への相続は、自然発生的にあるいは相続税の緩和も手伝い意図的に粛々と進みつつあり、借り入れ制約の問題は地価の下落と金利の低下で一気に負担が軽減された。

さらには不良債権問題に苦しむ民間金融機関が、今後のビジネス拡大の最大のターゲットとして、この住宅ローン市場にこぞって侵入してきたのである。これで借り入れ制約の問題が緩和されないわけがない。

一方では若年層を中心に、消費者金融市場は毎年着実に伸びている。こうして消費は増え続け貯蓄は減り続ける。後戻りすることなくあっという間に個人金融資産における現預金は減少してしまうのである。

そうなるとエコノミストや経済学はまた心配事を書き立てる。誰が財政赤字をファイナンスするのか、だの、円安になってしまう、とかインフレの到来が近い、とかまだ起きてもいない暗い話で、貯蓄を奨励するのだ。

だがそんなことは知ったこっちゃない。財政赤字も円安もインフレも自分には関係ない、と言い切るのが自立した個人である。国の世話になる気はないのだからどうでもいいではないか。財政赤字の補填のために自分の貯蓄が使われるのは真っ平ごめんだ。国債を買うのは年金だけで十分である。

時代は確実に変わっている。

暗い顔をして貯蓄に励むよりも、明るい顔で投資に挑戦する人間のほうが、これからの時代を生き抜ける。少なくとも誰かにすがって生きる人間よりも、健康を維持することは容易だ。
(記事執筆:岡崎良介)

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