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Chen Shin(監修)、芳川裕誠(執筆) Chen Shin(監修)、芳川裕誠(執筆)
監修:Chen Shin、三井ベンチャーズ(株式会社エム・ヴィー・シー)嘱託

日本をはじめ、米国、中国、韓国を中心に活動。欧米、アジアのIT市場に精通している他、Web全般、オープンソース、Unix/Linuxの技術の造詣が深い。ベンチャー投資の観点から注目すべき技術や動向を取り上げる。筆者を得意分野に沿って、三井ベンチャーズから持ち回りでアサインする。



筆者:芳川裕誠、三井ベンチャーズ(株式会社エム・ヴィー・シー)アソシエイト

2007年2月より現職。主にアーリーステージのソフトウェア・Webサービスを中心とした情報技術産業分野の投資を担当。MVC 入社以前は、Red Hat 勤務。大学在学中より在職し、Linux/Open Source 教育事業、コンサルティング事業等を経て、国内外の OEM チャネル・Hosting チャネルなどの Business Development に従事。


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 ホーム  http://www.mitsuiventures.com

最新コラム

Apple の戦略を象徴する「MacBook Air」

著者: Chen Shin プリンター用 記事を転送
2008年4月3日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

確かに Steve Jobs が黄色いマニラ封筒から取り出した新しい MacBook は、見た目にも衝撃だった。薄くて(最厚19.4mm、最薄4mm)軽く(1.36kg)そして十分な大きさの画面(13.3インチワイド LCD)を備えている。

ところが、素直に驚いてくれない人が意外に多いのでびっくりした。

確かに日本では軽量モバイルノートが普及している。そのため、重さに関してはパナソニックやソニーなどの国内メーカー製品と比較してもそれほど軽いとは思わないのだろう。

機能的にも、2GB のオンボードメモリは標準だが、HDD の容量は 80GB しかない。また CD−ROM などの光学ドライブが搭載されていない。無線 LAN は標準だが、有線 LAN はそのままでは使えない。そして BlueTooth や MicroDVI、USB2.0 は付いているものの、Apple が自ら開発・提唱した FireWire(IEEE1394)は付いていない。価格も22万9,800円より、となっている。印象として安くない。

しかし、そのような個々の機能や部品の比較だけで Air について評価を下すのはいささか早計であろう。

さて、反証を試みる前に、Air に先んじて Apple からリリースされた iPhone(日本では電話機能を省略したiPod Touch として販売されている)についてまず見てみよう。iPhone は電話ではあるが、iPod 製品群の最新機種という位置付けにもあり、そこに見える Apple の戦略、メッセージは非常に興味深いものがある。

iPhone が既存のスマートフォンと異なる点は、そのUI(User Interface)にある。まず、キーボードが存在しない。Apple の主張は、HW(Hardware)化されたキーボードの類は場所を占有するばかりか、アプリケーションが異なった場合の操作性に対する柔軟性を損なうというもの。iPhone ではそれらをぜんぶ取っ払い、キーボードが占有していた部分をすべて画面にし、相対的に大きな画面を実現した。余計な突起物がない分、すっきりとしており、持ち運ぶ際もスマートに見える。

操作はソフトウェアにより実現されたマルチタッチと呼ぶテクノロジで、すべて指で行う。スタイラスすら必要ない。Jobs 曰く、指は人が与えられた最高のインターフェイス。電話以外の、各種のアプリケーションはアイコン化、あるいはウィジット化され、ワンタッチで瞬時に起動できる。音楽、ビデオ、写真以外にカレンダーや時計、計算機などのありふれた機能はもちろんのこと、Safari、YouTube の2つのアイコンが標準で装備されている。特に目を引いたのは、この時点で、いきなり YouTube という点だ。

外に持ち歩くことを考えた場合、そうそう手軽には YouTube で楽しむことはできない。町なかには現時点では無線 LAN 環境が整っていないからである。筆者の場合、家の中でさえ、十分な性能を発揮できなかった。無線 LAN のスピードが十分でなかったために、ビデオが追いつかないのである。しかし快適に動作したときの iPhone の画面サイズや解像度は、まさに YouTube にぴったりなのには、いささか感動した。そのとき初めて、Apple が敢えてこのアイコンにこだわった理由が見えてきた。今の不便さは将来のインフラの進歩で解消される。つまり、それを見越して先に製品化してしまったのである。確信とも言える Apple の戦略は、アプリケーションとネットワークという2つのカテゴリに集約される。それ以外のものは付属物でしかない。

iPhone をノートブックに置き換えたものが MacBook Air ということになる。

Jobs が Air の発表の席上、光学ドライブがなくてもそれほど困らないじゃないかと説明し、もはや有線 LAN の時代ではない、Air には最新の無線機能を搭載したから問題ないのだと強く主張した。つまり、今のインフラの不備など、すぐに解消されるのだという訳だ。

iPhone でも採用された Mac OS X には、Apple の長年のノウハウを凝縮しているに違いない。Jobs によると、これからの情報端末は、「アプリケーションとネットワーク」で決まるということだ。そして大事なことはソフトウェアによる「革新的な」UI にこだわっているという点である。Air に装備されているマルチタッチトラックパッドは指だけで多彩な操作を実現できる。

デザインコンセプトは、HW の突起物をなくす、あるいは隠すということである。「余計」なものを省くという考え方でもあり、妥協するポイントが異なっている。つまり、ハードディスクの容量や有線 LAN は省いても、バッテリの持ち(約5時間)やキーボードのサイズ(フルサイズ)、画面のサイズ(13.3インチ)はこれ以上妥協しない。明らかにプライオリティが違うのである。

発表の後、「ハードディスクの容量が少ないのではないか」という記者の質問に、Jobs は涼しい顔で、「君のような人は Air を使わなければよい」と居直った。正に確信犯である。

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