レガシーシステム−オープン化の道筋1.レガシーシステムをオープン化する困難
行政機関における、汎用コンピュータを中核としたレガシーシステムの見直しと徹底的改善という「電子政府構築計画」が指示した課題は、中央府省庁にとどまらず、地方公共団体に対してもある種の衝撃を与えている。 レガシーとは「遺産」の意味で、レガシーシステムは先人の英知の結集である複数の機能が情報システムに『複雑』に統合されたものだ。これをバラして再構成を可能とする?−すべての困惑は、この複雑さから生じている。 ところで企業でも行政機関でも、汎用コンピュータを使い続けようとする CIO(情報執行役員)は少なくない。彼らが固執する背景には、それなりの理由と戦略がある。 米国の連邦政府システムの場合、4年前まで米国政府のレガシーシステム一掃の気運が盛んだったが、コスト的・技術的に難しく、業務によってはオープン化対応しきれない部分があるなどオープンシステムの限界が判明してきた結果、沈静化している。昨今はレガシーを温存しつつオープンシステムを取り入れていくというアプローチに変わってきた。 今でもレガシーシステムへの依存度は総じて全体の6〜7割を占めるという。レガシーシステムを無理矢理オープン化するのではなく、先入観や義務感にとらわれずに全体混合型アプローチ最適の考え方に徹すればよい、となっている。このための手法が、調達や効率評価等一連のリフォームプログラム、および FEA(Federal Enterprise Architecture)というわけだ。 複数の調査結果で、今まで利用してきたレガシーシステムをバックオフィスシステムとして温存しつつ改善し、その周辺、特に市民サービス部分にインターネット技術を適用するレガシー/オープン混合型アプローチが取られる場合が多い、という事実が示された。 2.レガシーシステムをオープン化する現実 米国連邦政府の現実路線は「業務の効率化やコスト効果があがるものであれば、どのような方法であれ利用する。レガシーシステムの刷新に乗り出すのは、事業に役立たなくなった場合に限られる。そのバロメーターは、あくまでも投資対効果だ」というあたりにある。 ただし、今後オープン化技術の飛躍的向上が実証されれば、レガシーシステムに代わりオープン化がさらに進んでいく可能性はある、としている。 レガシーシステムの強みは高度な信頼性(高性能、高機能、安定性、堅牢性、拡張性、機密性)にある。企業や行政機関のIT管理者や CIO にとって生死を分けることがらである。 とりわけ、大量のトランザクションを確実に、そして素早く処理する能力(OLTP能力)については、汎用コンピュータは他のプラットフォームの追随を許さない。UNIX 系や Windows 系サーバも飛躍的な成長を遂げているが、汎用コンピュータのOLTP能力も並行して急激な上昇カーブを描いている。 UNIX 系や Windows 系が、そうした汎用コンピュータの安定した稼働を保証しうるかどうかが次の問題だ。汎用コンピュータ・ソフトウェアは過去数十年にわたり洗練され、成熟してきた技術であり、そのレベルの信頼性・可用性を今日のオープン系プラットフォームに求めるのは現状無理がある。 無理の解消には、相応の経費や工数の投入が避けられない。今日のeビジネス時代にあっては非基幹系システムでも24時間ノンストップのユーザー・アクセスに対処するのがごく普通の運用形態であり、パッチのためにシステムを止めるなどは泣くに泣けない事態だ。 3.身近なところから始めるオープン化 確かに柔軟性の無さやソフトウェアの開発料/ライセンス料の高さ、技術者の不足といった問題はあるにしても、現実が示しているのは、全面的なリビルドよりは、緩やかな改善と漸進的オープン化という姿勢が多い、ということである。 汎用コンピュータを残しながら全体最適化されたシステムを実現する方策のひとつとして、ホスト基幹システムを「再生」する上手なミドルウェア活用が有効である。 注目すべき例として、ミッションクリティカルな基幹系機能をサポートするミドルプラットフォーム MIDMOST(日本ユニシス)の部分適用や、レガシーシステムのDBにはまったく手を着けず、アクセス経路を Web アプリケーション化してクライアントの MS-Excel から直接DB操作を可能とする X・Cute(株式会社マイクロラボ)などの利用があげられる。 X・Cute は、DBデータを Excel に流し HTML に変換するクライアントソフトウェアで、本来 Java や ASP、Perl などで行う面倒なプログラミング作業を、Excel 機能に置き換えることができる。日頃使い慣れた Excel を使うので、外部に依頼せずとも、社内ユーザーの手で Web 化でき、短時間・低コストでWebアプリケーションを完成させられる。 X・Cute は、Web CGI から呼び出す、SQL や HTML へのデータマッピングを司る Excel画面(のひな型)を作成することが開発作業の中心になる。対象データベースは Oracle、MS-SQL、MS-ACCESS、DB2 UDB などで、基幹業務データの各情報と連携した Web アプリケーションを短期間で構築できる。「工事実績データとその図面ファイル等基幹データを Web 上で共有する」などの情報システムが簡単に実現できる。 身近なところから実践的アプローチによるオープン化に着手するのも、一考に値しよう。
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