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e-Japan計画の実現に使われる様々な先端テクノロジーを、基本原理から応用・実用まで、時にはエッセー風に、毎週易しく解説するコーナーです。

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最新コラム

分散デジタルコンテンツのコンテキスト

著者: 日本ユニシス 河上 一郎 プリンター用 記事を転送
2003年12月10日 00:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

1.分散デジタルコンテンツのコンテキスト

コンテキストとは text(字句、本文)を con(together:織り込み)することで、「文脈、あるいは背景や情況、前後関係」を指す。ある特定の表現から、前後の関係や言わんとしていることを読みとる行為について使われる。

ITの世界では、perl や java 等プログラミングで前後の文脈次第で変わる動作【コンテキスト依存】、サービスオブジェクトの常駐環境を規定する一連の順序づけられた状態のコード定義【コンテキストプロパティ】、Web を例にとればプレゼンテーションレイヤの文字や絵のバックにある脈絡【ページコンテキスト】、さらには GUI でマウスの右クリックにより表示されるメニュー【各アプリケーションの状況で内容が変化するコンテキストメニュー】を指したりなど、多様に使われる。

ビジネスの世界でコンテキストというと、会社の戦略、目標、指針など、例としては企業ビジョン、ビジネスコンセプト、商品戦略、マーケティング戦略、ブランド戦略などを指す。時に競争優位の戦略としてコンテンツを魅力あるものに見せる仲介業者など、活動領域を成り立たせる背景を指すのに使われることがある。「小売業」がコンテンツ・プロバイダであるのに対して、「仲介業」はコンテキスト・プロバイダである、という具合だ。

企業変革のためのシステム方法論「コンテキストラーニング」(根来龍之)は、ソフトシステム方法論(SSM)、戦略的仮説検証法(SAST)、構造化理論(Structuration Theory)を母胎にした「仮説設定・組織学習」の方法論である。

ここでのコンテキストとは、「人間(個人)が発言したり、行動したりする際に、その背景として、前提になっている、あるいは前提になっている何か(発言や行動の主体にとって無意識か有意識かは問わない)」のことである。コンテキストは主観的なものであり、普遍性は保証されないが、人間の発言や行動を制約する。つまり人は「コンテキストに従って意味を理解し、インタラクションを介して共感し、判断・行動を決める」というわけだ。

「データの意味」をコンピュータプログラムが解釈・理解・体験できるように組織化したデータを「知識化」されたデータと呼ぶ。この組織化を指図するデータがまさに「コンテキスト」であり、特定の場面の問題解決アルゴリズムにおけるスキーマ(図式)となる。

2.セマンティック Web におけるコンテキスト

1987年に世界初の商用セマンティック統合情報管理システム(InfoExec:米 unisys 社)が出現、セマンティックモデルとセマンティックデータベースを体系的に実装する先駆けとなった。

セマンティック Web はこの概念の Web 版で、Tim Berners-Lee(Web の基礎となる URL や HTTP、HTML を最初に設計した人物。現在は W3C の技術総括責任者)により4年前に提唱された。あらゆるデータをコンテント(中身)及びコンテキスト(すなわち意味を定義するメタデータ:データを記述するデータ)とともに記述、人間の代わりにソフトウェアで自動処理させることを目指す。

デジタルコンテンツとメタデータにより、現実世界の現象や仮想世界の機能等、あらゆる事象を記述することが可能となる。ネットワークコンピューティングの記述言語はデータベースではなく、XML ベースのメタデータへ確実に変わっている。XML 記述でデータやプログラム、スクリプトをサービス部品として再利用でき、値やメッセージをWebサービスを介してやりとりしたり、結果を受け取ったりできる。複数のサーバーで意味的な処理連携を可能とし、ファイアウォールを超えて分散オブジェクトの連携を行える。

インターネット時代の「情報」は、誰にとっても等価で古くなりにくい「コンテント」から、受け取る人によって価値が異なり、状況に大きく左右される「コンテキスト」へと進化している。行政サービス分野で「地域紹介を見る」、「広報を読む」という物理的メディアを模倣するコンテンツのレベルに対して、「審議会を(擬似)体験する」、「行政ニュースに賛同する」という状況依存のコンテキストのレベルが、価値と信頼を生む。

コンテキストを持たないWebの行政サービスのみでは、信頼は得難い。信頼を勝ち取る以前の露天商のレベル、などと酷評される。せっかくの Web がインタラクションを生まない多くの理由がここにある。顧客/市民としての利用者との間に樹立された信頼関係が多くの地域活動を呼び寄せる。ある一定の利用者群から認められた価値を「信頼できるブランド」という。この価値は、利用者の満足の積み重ねでしか得られない。

世界にコンテンツレベルの行政サービスはありふれている。コンテキストのサービス、これが21世紀の日本の電子政府、電子自治体が希求すべきモデルの原点である。

河上 一郎

日本ユニシス株式会社
官公庁営業/技術主幹


提供:日本ユニシスシステム新規開発




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