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パブリック コラム2008年8月20日 09:00
e-Japan 先端テクノロジー解説
e-Japan 先端テクノロジー解説 日本ユニシスメールホーム
e-Japan計画の実現に使われる様々な先端テクノロジーを、基本原理から応用・実用まで、時にはエッセー風に、毎週易しく解説するコーナーです。

在宅勤務のすすめ〜雇用型テレワークの現場から〜

国内国内internet.com発の記事
本稿は、在宅勤務制度適用者であるワーキングマザーからの在宅勤務体験レポートである。

総務省報道資料によると、2008年7月7日〜7月18日は「クールアース・テレワーク週間」であった。

2008年3月28日に閣議決定された京都議定書目標達成計画においては、「テレワーク」が地球温暖化対策の1つとして打ち出されている。日本政府においては、2010年にテレワーク人口を倍増し就業者人口の2割とする目標を掲げ、関係省庁が連携してテレワークの普及・推進を図っている。

「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」と相まって、業務改革にまで踏み込んで新たな「eワークスタイル」を確立しようという民間の動きからも、テレワークが脚光をあびつつある。

わが社でも在宅勤務が制度化され、2006年10月から在宅勤務試行者として従事してきた私は、2008年7月に在宅勤務制度適用者になった。この場合の在宅勤務は、社団法人日本テレワーク協会の分類によると「雇用型テレワーク」に分類される。本稿では「在宅勤務に対する本人の適性」、「在宅勤務ができる環境」、そして「在宅勤務に適する仕事」に分けて在宅勤務体験を記述する。

■在宅勤務に対する本人の適性

在宅勤務は横槍の入らない環境であり、1人でやる作業の効率はよい。会社では仕事の合間に、集まっている人たちとかわす会話からヒントを得たりしているが、在宅勤務はそういうものから離れた場所で仕事をする。

独りよがりになっていないか常時自己チェックする必要があり、仕事の進捗などのこまめな報・連・相は欠かせない。在宅勤務で成果を出すように仕事の段取りを考えるため、今までのやり方から仕事の段取りを変更し提案していくことが必要になる。自律的に仕事ができることは、重要なポイントである。

家にいるということは、家事・育児・介護といった日常の生活の場に仕事を持ち込むことになる。優先度の選択が迫られる。かわいい子どもが目の前にいるのに、私はなぜ働くのか、といった哲学的な禅問答に陥ることがある。それでも私は働くことが好きだから、という信念とともに、カーテンを閉め、回りを遮断しパソコンに向かいメールと対話する。

育児との両立をしたいとよくばって始めた在宅勤務だが、急に会社から取り残されてしまったような不安感に陥り、孤独感を感じるときがある。会話ができなくて、つらいときもあるのだ。こういう時には、気分転換できるような趣味などの機会が有効である。仕事以外の世界を持っていることもポイントと言える。

通勤時間がないので、業後すぐに待ち顔の子どもの相手や夕食の支度にかかれることが在宅勤務のよいところである。また業後の時間に地域のスポーツクラブに行ったり、近所の困りごとの打ち合わせに参加しやすいのがよい。

例えば、私は通勤時間分を地域交流の時間として少しづつ使ってきた。私の住む地域には、定年退職した方々が町会で活躍している。防犯・街づくりに励む方は警備会社に競合するような仕組みを町内会に作り上げており、子どもの通う小学校の防犯マップ作りの先生である。私は保護者として防犯マップ作りのお手伝いとして参加した。また有名企業の役員であった町会長の方とは、男女共同参画センターや地域センターの審議会で街づくりの意見を交換している。少しの時間ではあるが地域と交流し続けると、新しい人脈が形成されていく。

■在宅勤務ができる環境

在宅勤務はペーパーレスが前提である。紙のバインダを廃棄し、電子ファイルに置き替えておく。紙の資料群から脱却しておくことは、在宅勤務にとって重要なポイントである。

家が狭くて仕事ができる環境を家の中に作れない、と考えている人がいた。奥様に「在宅勤務をやりたい」と相談したところ「今以上の長い時間、家にいられては困る」とお断りされてしまった50代後半の方の話を聞いた。

私は、在宅勤務試行開始時に準備した回線と会社貸与のパソコンを設置した仕事ができる環境(といっても机・椅子だけだが)を使っている。会社貸与 PC はシンクライアント、回線は、ADSL 12MB である。回線速度 4MB 程度が実測されており、5MB 以下の電子ファイル(動画なし)に対応できている。

自宅の環境から見ると、会社の環境は仕事をするのに効率よくできているのをしみじみ感じる。しかし、鳥インフルエンザ対策など災害発生時の BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の面では在宅勤務は有効である。普段から使っている環境であれば、災害が発生してから迅速に対応していける。在宅勤務を試行開始した時点に比べて、環境構築にはさまざまな商品が出てきている。

■在宅勤務に適する仕事

在宅勤務試行開始時、私の所属は営業支援部署であった。営業支援は、営業とともに顧客と会うことが仕事であるから、在宅勤務はできないと考えられがちである。が、そんなことはない。

考え方のヒントとして、仕事の段取りを考えてやり方を見直す方法を紹介したい。例えば、私が営業支援部署で携わっていた「客先に商品を説明する」という仕事の段取りを考えてみると下記の5段階になる。

「1.営業からの依頼・前提条件確認」
「2.客先事前調査」
「3.客先説明ストーリー作成・確認」
「4.客先打合せ」
「5.結果報告書作成」


この5段階のうち、顧客と対面する「4.客先打合せ」以外の仕事は、メールや電話を使って在宅勤務で可能な仕事として捉えることができる。

そして「1.営業からの依頼・前提条件確認」段階を見直し、今まで存在しなかった「確認シート」を作成し、可能であれば営業の方に事前に記述してもらうなど、確認モレや手戻りの少ない効率的なやり方に変えていくのである。

在宅勤務制度を導入する目的のひとつに働き方の改革があると思う。効率の悪さを滅私奉公といった長時間労働でカバーする日本特有のやり方は、過労死や過労自殺といった弊害を産み出している。

日本における働き方の改革は、長時間労働を改め、時間内に効率的に働き、個人としてリフレッシュするための「ゆとり」創出に向けたメリハリのある働き方を推進して行くという面が必要である。

労働時間の短縮は、労働基準法の改正による残業手当の見直しといった政策面でも後押しされている。労働基準法改正案では、月80時間を越える場合は時間外手当の50%を割り増すという法的な規制をかけて、残業時間を削減するという目的がある。

いまや長時間労働でカバーしていた時代は終わった。長時間労働は働き方の改革を阻むものであり、中国やインドをはじめとする大きく成長する世界経済に比べ、停滞する日本経済の足かせになっている。

在宅勤務は、自分のやっている仕事のやり方を見直す(つまり仕事の段取りを考えて在宅勤務を組合せた効率の良いやり方に変える)よい機会となる。仕事のやり方を見直し、新たな「eワークスタイル」を確立していくことは知恵の見せ所であり、業務改革にまで踏み込めば、長時間労働を改める働き方の改革につながっていく。

今後は、成果評価法の確立や仕事の効率化、残業や休日出勤を前提としないプロジェクト管理、働く環境の整備、そして、心身ともに健康に保つことなどに対する智恵の交換があたり前になっていく。家庭責任・地域責任を果たすため、在宅勤務を活用し、人生の限られた時間と体力をうまく配分していくことをお勧めしたい。

三宅 ひろみ
日本ユニシス株式会社
SW &サービス本部プロジェクトマネジメント室
プロジェクトマネジメントスペシャリスト(PMS)/IT コーディネータ

提供:日本ユニシスユニシス
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