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Webテクノロジー コラム2005年6月2日 09:00
Linux 系―読むサプリ
Linux 系―読むサプリ 平野正信(ひらのまさのぶ)メールホーム
OSDL アジア統括ディレクタ兼 Novell Asia Pacific Vice President。

1975年日本IBM入社。日経BP記者、アスキー取締役、ハイペリオン代表取締役などを経て、1998年からレッドハット代表取締役およびRed Hat Inc.のNorth Asia担当Vice President。2004年より現職。2006年5月より Novell Asia Pacific Vice President も兼務。著書に、「 大いなるコモディティ化への旅」(日経 BP クリエーティブ刊)がある。

文化としての Linux

国内国内internet.com発の記事
Linux はテクノロジーではない。文化である。

Linux は UNIX のクローンで、 Linus Torvalds がスクラッチから書いたものだということが、 「The Linux Kernel Archives」 の「Linux とは何か」にもはっきり書いてある。

クローンはコピーとは違い、丸写しという意味ではない。

Linux が UNIX のクローンであるのは秘密でもなんでもない。 「Linux は UNIX に似ているのですか」と聞かれたら、 「そうです」、と私は答える。 Linus 自身も著書の中で、 「私は Unixはもともと好きで、Sun の UNIX OS のマニュアルを参考にして書いたこともある」と言っている。

Linux は UNIX のクローンであるので、 テクノロジー的な観点からは効率良く書き直したこと以外、 それ自体で自慢するものではない。 このことがすぐに、 Linux が文化であることに直結はしないが、 少なくともテクノロジーだけが重要ではないということは確かだ。

では、 Linux は文化である、という重要性がどこにあるのか。

Linus は Linux を公開した当初、 そもそも UNIX のクローンに興味のある人がそんなにたくさんいるはずがない、 と思っていた。

ところが、しばらくすると、 Linus にも予想もつかないようなことがおき始めた。 Linux を一緒にやりたいという人が増えてきたのだ。 Linus の予想に反して、 たくさんの信奉者がいる集団、 まさに文化と呼べるものにまで発展していくことになった。

なぜ Linux のような文化が生まれたのだろうか。 いや、 生まれたのではなくて、もともと存在していたのだろう。 ここで強調したいのは、 Linux だけが Linux 文化を創ったのではない、ということだ。 Linux 以前からフリーという思考を求める人たちが存在していたのだが、 求心力がなかった。 Linux が登場してその求心力となり、 たくさんの人を集め、文化を形成していったのだ。

さて、 Linux 文化ができあがりつつあるとき、 いろんな議論が出てきた。

当時は「オープンソース」という言葉はむしろ一般的ではなく、 それに変わる言葉がいくつかあった。 「フリーダム」とか「フリーソフトウェア」とかいう、 どちらかというと「フリー」という言葉が中心で、 それが現在のオープンソースを指していた。

最終的には「フリー」という言葉よりもオープンソースが好まれるようになるのだが、 そうなった理由は、 Linux 文化を「フリーダム」と解釈すると、 政治的、思想的な色彩が出てくると感じた人がいたからだ。 さらに、フリーには無料という意味もあり、 付随するすべてのサービスまでもが無料だと 誤解する人も現われた。 それを嫌った慎重な人たちが、 「フリーという言葉は誤解を招く」と言い始めて、 1990年代の後半に、「みんなでオープンソースと呼ぼう」ということになった。

「フリー」という言葉がそのまま継承されずに「オープンソース」という新しい表現に変わったことで、 みんなが安心して、 オープンソースという文化にかかわれるようになった、 そういう効果はあったらしい。

「オープンソース」に異議を唱えた人たちの声は小さくなったが、 そうは言っても、「フリーダム」という言葉はまだ残っていて、 この文化は、 「オープンソース」という言葉だけでは十分に語りつくせない、 「フリーダム」は重要だという人は相変わらずいる。

したがって、 現在のオープンソース文化には、 ある種、技術的な意味のオープンソースと、 コミュニティという意味のオープンソース、 それに思想としてのフリーダムが少し混ざったものだ。

ビジネスマンの中には、オープンソースは何のビジネス的契約のない文化だ、 と不安がる人たちがいる。 しかし、 必ずしも無秩序な文化ではない。 逆に暗黙のうちに秩序が形成されているのが、 このオープンソースコミュニティの特徴でもある。

特に開発を重視するコミュニティには共同でフィルターがかかる仕組みがあり、 開発効率を阻害する要素はなるべく淘汰されるようになっている。 たとえばメーリングリストは、 登録自体は誰でも自由にできるが、 登録しようとすると、 「単に登録するだけであまりアクセスしない人は考え直すように」と書いてあったりする。 また、メーリングリスト参加者の義務が書いてある場合もある。 たとえば、 「1週間に1回パッチを必ず書けるということを肝に命すること。 書けないのならこのメーリングリストに参加しないように」という具合だ。これは命令では ないが、純粋な開発者なら理解できる。決して排他的というわけではないのだ。

オープンソースのコミュニティは、 一部世間で思われているほど無秩序なコミュニティではない。むしろ選択肢を広げて、 より高い可能性を追求する。 だからこそ逆に、ここまで成長できたのだ。

記事提供:OSDL(Open Source Development Labs)米国日本

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