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2006年10月25日 09:00
情報共有とコラボレーション
情報共有とコラボレーション 高塚直樹(たかつかなおき)メールホームrss
三菱電機株式会社にて、基幹系業務システムの提案・開発、ERP製品導入コンサルティングに従事。株式会社ワークスアプリケーションズを経て、アリエル・ネットワーク入社。現在、エンタープライズ向け情報共有システムの企画・開発を担当。

ユーザーオリエンテッドなソフトウェアの統合

■ What’s going on?

ふと、何かをメモしておきたい、できれば紙ではなくデジタルな情報として保存しておいて、後で読めるようにしておきたい、そういうことはままありがちだと思います。

そんなとき、私は、そのメモの手段を何にするか、しばしば迷ってしまいます。そして、ある時は自身宛にメールをしたり、ある時は、テキストファイルを作成し、適切そうに思えるフォルダに保存します。

そして、いざ、そのメモを見ようと思ったときには、あちこちにメモの類が散在してしまっていて、どこにどういう形式で記録したのか思い出せなかったり、そもそもメモしたことすら忘れてしまったりしてしまうのです。

あるいは、自身の考えを記述するだけでなく、Web ページの情報を、後で読めるようにしたい場合や、その情報に関連した考えをメモしておきたい場合などには、オンラインブックマークが使用されるかもしれません。人によっては、自身の Blog に、そういうメモ的な内容をエントリとして書くこともあるかもしれません。

たかだか、メモをするということくらいで、なぜ、こんなことになってしまうのでしょうか?

■ ソフトウェアを利用する際のアプローチ

上の例では、メモをしておこう、と思った瞬間に、どうやら、私たちはそのための適切な手段を選択しなければならないようです。そして、その手段選択のために、最終的な目的から逆算する必要に迫られます。

例えば、メモしたい内容は絶対に忘れては困る、だから常に目に入る方がいい、しかも単純なテキストでその内容は記録できる、だから、メールとして保管しておいて未読で注意を引くようにしておこう、と考えるわけです。

あるいは、メモしたい内容は収集した他の複数のファイルに関連する内容だ、記録する内容は数行の覚書にすぎない、だから、テキストファイルに書いて関連するファイルを保管しているフォルダに保存しておこう、と考えることもあるでしょう。

しかし、ユーザーの立場からすれば、ソフトウェアの機能セットや特徴を勘案しながら逆算して考えるのではなく、自分の行為を出発点にアプローチする方が自然ではないでしょうか?

ソフトウェアの実装の領域では、オブジェクト指向を補完する考え方として、サブジェクト側の都合、関心を効率的に実装するためのアスペクト指向という考え方が登場しています。この潮流と直接の関わりはありませんが、オブジェクト(対象)だけでなくサブジェクト(主体)側からもアプローチするという考え方は、ユーザーの行為を切り口とすることと通じているように思えます。

対象を切り口として機能を提供するソフトウェアの作法に、私たちは慣らされてしまっていたのではないでしょうか?

■ ユーザーの行為中心のパースペクティブ

Windows のエクスプローラーでファイルを操作するのは、コンピュータ内のオブジェクトを中心とした発想だといえます。ファイルというオブジェクトを保管されている場所まで行って取り出し、何らかの操作を行うのです。

一方、デスクトップサーチはどうでしょう。こちらでは、「探す」という行為が中心となっていて、探されるオブジェクトが中心とはなっていません。逆に、オブジェクトの種類に依存しないで「探す」ことができるところにこそ、このサービスの意義があります。

どちらのアプローチが便利かは、一概には言えないかもしれません。しかし、デスクトップサーチの「探す」ということに特化した機能提供のアプローチは、他にもヒントにならないでしょうか?

例えば、「伝える」という行為を入口に、メール作成やメッセーンジングや、あるいはどこかの掲示板への投稿を統合することができるかもしれません。「記憶する」という行為を入口に、Blog への投稿や、ブックマークや、あるいはスケジュールの登録を統合することができるかもしれません。「発見する」という行為を入口に、フィードの購読や、スマートフォルダー的な自動検索などの機能を統合して提供できるかもしれません。

しかし、どのような種類の行為をパースペクティブとして提供すれば、ユーザーにとって快適なインターフェイスとなるのか、実は私にはアイディアがありません。どの程度、個別の行為を抽象化して統合すれば効果的なのか、一般的な最適解を導き出すのはかなり難しいでしょう。

おそらく、ユーザーが何を目的としているのか、利用するソフトウェアの適用領域はどこか、つまりアプリケーションドメインによって、適当なパースペクティブは異なるのではないかと思われます。

しかしそうであっても、各種の機能が Web サービスで提供されるような現在、ユーザーの行為を中心としたインターフェイスで、役立つ機能をインテグレートして提供する、そんなアプローチがあってもよさそうに思います。

もしかするとそれは、ポータルという定義が曖昧なサービスを、ユーザーの行為中心のパースペクティブで再構成したようなものになるのかもしれません。もしくは、ワークフロー的な仕組みでアプリケーションドメインごとに整備することになるのかもしれません。

ユーザーの行為中心のパースペクティブという考え方も、いかに情報を効率的に蓄積し、そしてその蓄積された情報に効率的にアクセスできるか、ということのための工夫だといえます。

今回は、個人的な行為をベースに発想しましたが、この考え方は、Web2.0 的なソーシャルな行為にも敷衍できるはずです。次回以降、ユーザーの行為ということにも着目しながら、複数のユーザー間でのコラボレーションについても整理してみたいと考えています。


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