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高塚直樹(たかつかなおき) |
三菱電機株式会社にて、基幹系業務システムの提案・開発、ERP製品導入コンサルティングに従事。株式会社ワークスアプリケーションズを経て、アリエル・ネットワーク入社。現在、エンタープライズ向け情報共有システムの企画・開発を担当。
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グループウェア進化論
著者: 高塚直樹 プリンター用 記事を転送
▼2006年11月15日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
■ グループウェアは絶滅危惧種なのか?
グループウェアと呼ばれるエンタープライズアプリケーションがあります。厳密な定義はわかりませんが、一般的には、スケジュール共有や掲示板などでの文書共有によって、特定のグループ内での情報共有を実現するソフトウェアだといえます。
グループウェアのルーツは意外に古く1970年代まで遡れるようですが、一般化したのは1990年代の Lotus Notes の普及によるところが大きいでしょう。まだインターネットが一般化する前の時代、非構造化データを手軽に共有できるということは画期的だったはずです。
「だったはず」というのも、今となってはグループウェアがあまりにありふれたものとなって、その登場当時のインパクトを想像することすら難しいからです。しかし、かつてホワイトボードや紙で管理されていたはずのスケジュールの共有は、今やグループウェアで管理することが、ごく当然のこととなっているのではないかと思います。
ところが、グループウェアは広く普及する一方で、以前ほどの先進性を感じさせるアプリケーションではなくなったように感じます。果たしてグループウェアは、コモディティ化し、機能セットも成熟し、革新性からはほど遠い、枯れた製品カテゴリーとなったのでしょうか?
■ 台頭するソーシャルソフトウェア
一方で、ソーシャルソフトウェアという言葉を、最近、よく目にします。そして、「参加のアーキテクチャー」や「集合知」という Web2.0 的な文脈で、フォークソノミーを実現するオンラインブックマークや SNS などのサービスが人気を集めていて、明らかに、グループウェアよりもソーシャルソフトウェアの方が注目度は高いようです。
「グループ」と「ソーシャル」という範囲の表現に差はありますが、どちらも複数の利用者の間で相互作用をしながら情報を共有する仕組みという点で、その本質的な部分では共通しているように思えます。「グループ」という、「社会」よりも狭い範囲が冠されたのは、グループウェアが、企業内などのクローズドな利用環境を前提とするエンタープライズアプリケーションだったからにすぎないでしょう。
例えば、グループウェアの典型的なアプリケーションである掲示板と、Blog や SNS の日記は、親文書が公開され、それを見た他の利用者がコメントを付加する、という情報共有のスタイルに関して大きな差異はありません。
しかし、グループウェアの掲示板と Blog や SNS の日記は、やはり似て非なるもののようにも思えるのです。
■ 掲示板と Blog の違い
掲示板と Blog では、情報が公開される「場」が異なっています。掲示板では公開範囲は限定されているとしても、文書を掲載する場は個人が所有しているものではありません。一方で、Blog は個人が所有する場に文書をエントリーするものです。
この違いは、例えば、都市が計画的に建設され、その中で人々の交流が活性化していくパターンと、人々の生活の中で自然に交流が生まれ、やがて都市が形成されていくパターンの違いのようなものです。
どちらが優れているとは一概にはいえませんし、実際、SNS のコミュニティのような機能は、やはり場を提供するものです。しかし、パブリックな場を出発点とすることと、パーソナルな場を出発点として、それぞれの個をネットワークしてパブリックな関係を創造していくことでは、発想そのものが明らかに異なっています。
グループウェアはこれまで、場の提供に偏っていて、「つなぐ」という発想は弱かったのではないでしょうか。あくまでも、事前に用意された場が前提となっているために、ダイナミックなネットワーキングまでは実現できていなかったのではないかと思います。
■ コラボレーションというミームの継承
生物の進化では、まったく異なる系統で別々の進化を辿ったにもかかわらず、機能的に共通するような器官が発生することがあり、その現象は収斂進化と呼ばれるそうです。逆に、同一の系統の中で、多様な進化が発現する適応拡散という現象もあるそうです。
エンタープライズアプリケーションの世界で普及したグループウェアと、インターネット上の世界で普及したソーシャルソフトウェアは、似て非なるものです。この関係を、進化上の祖先と子孫の関係、収斂進化、適応拡散いずれかに当てはめてみる場合、収斂進化だったと考えると面白いと思います。
そして、今や、エンタープライズアプリケーションの世界にも外界から外来種の文化が伝播してきたのです。
仮に外来種の影響で旧来のグループウェアが解体されるとしても、グループウェアが目指したグループ内でのコラボレーションを促進するというミームは廃れることないはずです。
そう考えれば、より進化を遂げたコラボレーション用のアプリケーションへと変貌した、ポストグループウェアが登場するのはそう遠くないのかもしれません。
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