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高塚直樹 高塚直樹(たかつかなおき)
三菱電機株式会社にて、基幹系業務システムの提案・開発、ERP製品導入コンサルティングに従事。株式会社ワークスアプリケーションズを経て、アリエル・ネットワーク入社。現在、エンタープライズ向け情報共有システムの企画・開発を担当。

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 ホーム  http://www.ariel-networks.com/

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コミュニケーションとコラボレーション

著者: 高塚直樹 プリンター用 記事を転送
2007年1月24日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

■ コラボレーションの前提としてのコミュニケーション

「コラボレーション」とは、複数の主体が共同して作業することを表し、日本語では例えば「協働」と表記することもできるでしょう。最近のトレンドの中では、コラボレーションを実現するソフトウェアとして、Web コンテンツを共同編集する Wiki や、リアルタイムに複数の利用者が参加するチャット型の会議システムやホワイトボード共有などが連想されるかもしれません。

しかし、例えば SCM(Supply Chain Management)などの特定の業務領域でのソリューションも、複数の主体が関与することを支援しているのですから、コラボレーションを実現するソフトウェアといえると思います。ただ、そういった定型的な業務の分業を効率的に連携させることは、「協働」という語感とは異なるような気もします。

一方で、複数の主体が関係するという観点では、「コミュニケーション」というものもあります。コラボレーションとコミュニケーションは、同じものなのでしょうか、それともどこか違うものなのでしょうか。きっと、コラボレーションとコミュニケーションがまったく同じものだとは誰も思わないことでしょう。

コミュニケーションは、複数の主体の間で情報が伝達される行為であって、その行為は必ずしも価値を増大することを目的とはしていません。もちろん、情報が伝達された結果、新しい価値創造の刺激となることはあるでしょう。

対してコラボレーションは、成否はともかく、単なる情報の伝達だけが目的ではなく、伝達される情報以上の価値を生成することを目的とする行為ではないでしょうか。こう考えると、コラボレーションは、コミュニケーションを包含しているといえそうです。そもそも、コミュニケーションなしでコラボレーションは成立しないはずです。

Wiki や会議システムなどは、「編集」や「議論」というコラボレーションの共同作業の一局面を効率化するツールだといえそうです。ただ、より広い意味でコラボレーションを支えるためには、まずコミュニケーションの充実が重要となるのではないでしょうか。

■ コミュニケーションの実現スタイル

コミュニケーションを複数の主体間で情報を伝達する行為だと考えれば、意図せずに情報が伝わることもコミュニケーションに含まれるでしょう。コミュニケーションといっても、そのスタイルはさまざまなのです。

コミュニケーションのスタイルを整理する観点として、情報の伝達がリアルタイムか非同期かという分類や、情報の発信者と受信者の数や関係による分類や、あるいはプッシュ型かプル型かという分類などが考えられます。

それぞれ何かしら興味深い分析ができるかもしれませんが、今回は、情報を送る(提供する)側と受ける(利用する)側のそれぞれのコミュニケーションにおける行為が能動的なものか受動的なものか、という観点で分類してみます。

能動的/受動的という軸は、プッシュ型/プル型という軸と同じように思われるかもしれません。ただ、プッシュ型/プル型という概念はソフトウェア的な通信プロトコルの方式を表現することが多いので、ソフトウェアの実現方式ではなく利用者の行為に注目するために、あえて能動的/受動的という考え方を用います。

例えば、一般的な Web のブラウジングは、通信プロトコル的にはプル型ですが、情報を取得するための行為としては能動的となります。

さて、この観点での組み合わせで、コミュニケーションのスタイルを分類し、それぞれに該当するツールをマップしてみました。

【タイプ1 = 送る側:能動的−受ける側:受動的】
… 電話、メール、インスタントメッセージ

【タイプ2 = 送る側:能動的−受ける側:能動的】
… BBS、Blog、ファイル共有

【タイプ3 = 送る側:受動的−受ける側:能動的】
… フォークソノミー

【タイプ4 = 送る側:受動的−受ける側:受動的】
… リコメンデーションシステム

ここで、どのカテゴリーが優れているという比較を行うことには、おそらく意味がありません。それぞれの特徴に応じて、ユースケースに適した使い分けが行われるはずだからです。

送る側が受動的という表現は一見、矛盾していますが、ここでは情報を送ることを意図していない行為が結果的に情報提供に寄与する、という場合を想定しています。そしてこの送る側が受動的なスタイルが、これまでになかった新たな広義のコミュニケーションを実現するツールとなっているのではないでしょうか。

■ コミュニケーションツールの性能

コミュニケーションを実現するツールの性能は、伝達できる情報の量やそのスピードなどによっても表現できるでしょうが、そもそも、適切な情報が適切な相手に伝わることが何よりも重要となります。 つまり、コミュニケーションツールでは、適切な情報伝達の回路を開く効率が性能の指標となるはずなのです。

この観点では、上記のカテゴリーのタイプ1のスタイルでは、情報を送る側が宛先を知っていることが前提であり、指定された宛先に確実に情報を伝達することが、ツールに求められるという点では実にシンプルです。

しかし、タイプ2のスタイルでは、送る側は受け取る側を事前に知ることはできません。また、受け取る側もどこに自分が求める情報が存在するか、必ずしもすべて把握しているわけではありません。このタイプの伝達回路を効率化するための工夫として、RSS リーダーや全文検索が利用されることとなります。

タイプ3とタイプ4のスタイルでは、そもそも意図しない伝達回路を開くこと自体がツールの主目的とさえいえるでしょう。その点でやはりこれらのツールは、従来とは一線を画すものです。

■ コミュニケーションツールの展開

コミュニケーションはコラボレーションの前提であり、情報伝達の回路を開く効率を高める工夫がこれまでになされてきたことがわかります。では、今後、より充実したコラボレーションの実現に向けて、コミュニケーションツールにはどのような進展が予想できるのでしょうか。

ひとつには、まだ成熟しているとは必ずしもいえないタイプ3とタイプ4のカテゴリーの中で、新しいコンセプトの広義のコミュニケーションツールが登場する可能性があるように思います。

あるいは、あらかじめコミュニケーションやコラボレーションの都合を優先する仕組みではなく、あくまでも個人個人の活動を出発点とする情報循環のエコシステムの中に統合されるという方向もあるかもしれません。

いずれにしても、これまでの常識を超えるツールが登場し、私たちのコミュニケーションがより効率的になることを期待したいものです。




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