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2010年3月9日 11:30
ソーシャルウェブ活用のヒント
ソーシャルウェブ活用のヒント 福田 浩至(ふくだ こうじ)メールホームrss
1984〜1992年、株式会社日立製作所 システム開発研究所 研究職、ベンチャー企業2社の技術面の総合責任者を務め、2005年に株式会社ループス・コミュニケーションズ取締役副社長に就任。現在に至る。

スターバックスの事例から学ぶ、写真撮影ポリシーの作り方

スターバックスの Flickr 公式グループページの掲示板は5週間前の投稿を最後に、書き込みがされていない。ページ上部には、“Group discussion has been Locked,so no new topics can be posted.”と記載されている。要するに、新たなスレッドの作成やコメントの投稿ができない状態になっている。写真の投稿は可能だが、掲示板は事実上閉鎖状態だ。

スターバックスの Flickr 公式グループページの掲示板
スターバックスの Flickr 公式グループページの掲示板
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このような事態にいたった経緯は以下の通り。

・2009年9月27日、店内での写真撮影を拒まれた顧客が「スターバックスの店内で写真撮影は許されますか?(Does Starbucks allow photos in their locations?)」というスレッドを立てた。このスレッドには、実に368件ものコメントが寄せられ、様々な議論がなされてた。

そもそも Flickr は、写真の投稿サイトだ。店内での写真撮影を禁止しながら、このような公式グループページを提供していることへの疑問も指摘された。また、「このようなポリシーにしたらどうか?」といった建設的な提案をする利用者もいる。時折、スターバックスの掲示板管理者も議論に参加している。

掲示板管理者は、「国によって事情も違うため、一般利用者の店内での撮影行為を許可/禁止する全社統一したポリシーが確立していない」ことを率直に伝えている。

・2010年1月12日、スターバックス側の掲示板管理者が「店内での写真撮影に関するポリシー作成を手伝ってください(Help us define the Starbucks in-store photo policy)」というスレッドを立てたところ、ひとりの読者が「まだなにも決定しないのか?4か月の間、一体なにをしていたのか?」と不満を述べた。

さらに他のスターバックス関係者から別の見解を聞いたことで、不信感がさらに強まった。組織の考え方を表明するポリシーの策定プロセスで、顧客に相談を持ちかけていることにも違和感がある。対応が不味かった点については「スターバックスの Flickr 炎上事件から学ぶこと」にも簡潔に整理された記事があるので参考になる。

そのような事件があっても、今日も Flickr には店内を撮影した写真がアップされている。検索エンジンで探せば、日本の店内写真も沢山見つかる。

店内の写真撮影の問題点は、

・写真映り込む利用者や従業員がネット上に、本人の許諾なしに公開されること
・撮影行為自体が、他の利用者の迷惑になったり、不快感を与えること

などだ。

撮影を全面禁止にすると、逆に窮屈な印象を持ってお店に足を運んでくれなくなるかもしれない。また、お店で好感を持ち、お店のことをみんなに知らせたいと考える、折角の「営業活動」を妨害することにもなる。

2年前のデータだが、第二回 MSN 生活者アンケート「インターネットとクチコミに関する調査」によると、実に「76%が口コミをきっかけに、商品・サービスの購入にいたった経験がある。」としている。

※クチコミを活用したソーシャルメディアプロモーションに関するホワイトペーパー

クチコミでのサービス購入経験
クチコミでのサービス購入経験
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とりわけ飲食店は、実際に食事をした人の「味」「価格」「店の雰囲気」「店員の応対」「交通の便利さ」など、様々な観点を自分が利用したいシーンと重ねあわせて店を選ぶことが多い。一目でその店の多くを推し量れる「写真付きの体験メッセージ」はインパクトが大きい。

飲食店のクチコミサイトとしては、「食べログ」や「ぐるなび」が有名だが、いずれもコメントとともに写真投稿が可能だ。飲食店にとっては格好の PR ツールだ。独自に個人のブログに食事したお店の写真をアップする人も相当な人数がいるだろう。

誰でも手軽に写真をネット上に配信できる時代だ。スナップ写真を知り合い数名に焼き回して配るだけだった一昔前とは、状況が大きく異なる。寺院や美術館や高級レストランなど、すでに「撮影禁止」が定着していたり、「クチコミ」を必要としない施設はともかく、大部分の飲食店では「他の利用者が不快な思いをせず、従業員のプライバシーも守れる」撮影ルールを設けることが現実的だろう。

先に紹介した、スレッド「店内での写真撮影に関するポリシーを定義することを手伝ってください(Help us define the Starbucks in-store photo policy)」では、以下のポリシー(概略)を提案している。

We want to encourage people to take photos of and share their Starbucks Experience. We also believe photos should generally represent your Starbucks Experience (i.e., pictures of your Starbucks drink, your friends, your table, etc).
私たちは、スターバックスでの経験を共有するために、写真を撮影することをおすすめします。

If you want to take a photo where other customers or employees are a key element, we think you should ask permission and respect their privacy if they say ‘no’. We think this fits in with the Flickr Community Guideline of "Do play nice".
他のお客様や従業員を撮影したいときは、相手の許可をとってください。彼らの意向を尊重してください。これは Flickr コミュニティ・ガイドラインの“Do play nice”にも則っていると考えます。

We believe photos should not affect store operations(please don’t setup big equipment or act in a manner that ends up interfering with normal store operations as this may interfere with non-photographer's enjoyment of the store).
私たちは、写真撮影が店舗の運営に影響をおよぼさないと信じています。(大きな機材をセットアップしたり、他のお客様の迷惑になるようなことはしないでください。)

ポリシーを策定・表明することはよいことだ。しかし、上は良識ある利用者ならば、当然のマナーとして心得ている内容だ。本来、撮影者自身が注意を払い、撮影時に他の利用者や従業員が写り込まない配慮をすれば、トラブルになることもないだろう。

問題は、このような配慮をしない人がお店に現れた場合の、現場スタッフの対応力だ。ルールを定義し、現場スタッフに権限を認めるとともに指導する。ポリシーとリスクを理解した上で、自信を持って対応できるように準備することが重要だ。

また、不公平感を生まないように、一貫性のある対応も求められる。写真だけでなく、Ustream などを活用した動画配信もより身近なものになってきた。効果的にソーシャルメディアを活用するためには、これらを配慮した撮影ポリシーの策定、現場スタッフの教育が不可欠だ。


【当コラム執筆は、Looops Communications 副社長 福田浩至 (twitter アカウントはこちら) が担当しています。ご意見、コンタクトなどお気軽に twitter アカウントにどうぞ】


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