【チャイナサーベイレポート】模索が続く中国の自動車保険業界2003年1月1日から自動車保険制度が改正された。この改正により、従来、政府が統一に制定・施行していた保険掛け金と保険商品のラインナップを、今後は各保険会社が独自に約款を制定して定められるようになった。
従来までの全国統一の料金・商品体系の下では、「ユーザーが自分のニーズに合わせて、加入する保険と加入しない保険を自由に選ぶことができない」、「ある保険に対してニーズの大きいユーザーもそうでないユーザーも、同じ額の掛け金を支払わなければならない」など、その不公平性が問題とされていた。 また、国際水準と比べても、高い額に固定されていた料金は、ユーザーにとって大きな負担であり、保険会社と保険会社からリベートを取って保険の販売を代行する自動車販売業者は、しばしば「暴利を貪っている」として批判の対象となっていた。 2003年の制度改正以後、各保険会社は保険の掛け金率を大幅に引き下げ、運転者の運転歴や自動車の車種、使用目的、使用地域の道路・交通事情など、個々のユーザーの状況に基づいて料金や商品をアレンジするようになった。 ユーザー側から見れば、商品の選択肢が広がり、掛け金負担も軽減された。このように制度改正はユーザーに大きな利益をもたらし、自動車保険業界の「市場化」を促すものであった。 しかし、改正から1年余りたった今、各保険会社の自動車保険事業における収益の悪化という新たな問題が浮上し始めた。それまで国の統一基準の下で自動車保険を運営し、市場競争を経験していない各保険会社が、掛け金と保険金支払に関するデータの蓄積を待たず、収支のバランスを正しく見積もらないまま掛け金引き下げに踏み切ったことが、収益の悪化を招いたのである。 保険会社の収益の悪化はユーザーにも影響を及ぼし、トラックやタクシーのように使用頻度が高く事故や故障にあう確率も高いとされる車両、サンタナや広州ホンダ製の乗用車など盗難率の高いといわれる車種、免許を取得したばかりのドライバーなどが、保険会社から保険加入を断られるケースが出ている。 また、制度改正によって下がった掛け金が再び引き上げられる動きも現れている。制度の不公平性と暴利を生み出す業界の体質を改めるために行われた改革が、保険会社、自動車ユーザー双方に新たな悩みの種を生み出したのである。 ある業界専門家は、欧米や日本などが長い時間かけて行ってきた保険の市場化を、歴史の浅い中国の保険業界で急激に進めたことが今回の混乱の原因だと指摘する。 自動車保険業界の市場化に向けた模索が続いている。 (記事提供:サイバーブレインズ) |