PHS/GSM の「デュアル小霊通」は中国で流通するのか中国で第3世代(3G)携帯電話の開始に向けた動きが徐々に活発化している。その中で注目されるのが中国版 PHS「小霊通」の動向だ。現在、PHS/GSM のデュアルモード端末が大きな話題を呼んでいる。
しかし、中国ではこの「デュアル小霊通」の販売は情報産業部の政策規定によって禁止されている。ところが、その禁止されているはずの「デュアル小霊通」が広東省でひっそりと姿を現した。その端末は UT スターコム製であるという。 実のところ、「デュアル小霊通」をめぐる情報はこれまでも頻繁に流れており、業界の注目を浴びてきた。6月初旬には、UT スターコムが東方通信 と携帯電話生産許可証のレンタル協議を行っているとの情報が業界筋によって明らかにされた。 東方通信は、UT スターコムの小霊通端末の OEM(相手先ブランドによる生産)を行っており、GSM と CDMA の生産許可証も取得している。一方、「小霊通」関連設備メーカー最大手である UT スターコムは携帯電話の許可証を有していない。 しかし情報産業部は、この「許可証レンタル」を市場整備の目的で一時禁止してる。「デュアル小霊通」が禁止される一因だ。そして、もう一つの大きな要因には、「『小霊通』はあくまでも固定電話の延長」という情報産業部の位置付けがある。 そもそも「小霊通」は中国市場で3G 展開までの繋ぎ役としての見方がされており、かつては存続を危ぶむ声さえ上がっていた。しかし、ローエンドユーザーによる圧倒的な支持でシェアを拡大させてきた「小霊通」は、今年5月末時点で加入件数が5,000万を突破。3G の展開が依然不透明な中で、その勢いはむしろ加速してさえいる。 「小霊通」は、すでに中国移動(チャイナモバイル)、中国聯通(チャイナユニコム)の両携帯キャリアにとって無視できない存在だ。これが「デュアル小霊通」となれば、その脅威は一段と増すことになる。また、GSM/CDMA のデュアル携帯「世界風」の販売を間近に控えている中国聯通からすれば、「デュアル小霊通」は直接のライバル。目障りな存在であることは間違いない。 中国移動のユーザーを対象にした調査によれば、携帯電話と「小霊通」の2台を併用している割合は36%に上っている。PHS の圏内では料金の安い「小霊通」を使い、圏外では携帯を使用する、というユーザーは多く存在する。「デュアル小霊通」に対する消費者の期待は膨らんでいる。この巨大なポテンシャルを有した市場を前に、「小霊通」メーカーは参入したい思いはあるものの、情報産業部の目を気にして踏み込めないでいるのが現状だ。 この「デュアル小霊通」が今後、情報産業部の規制をかいくぐりながら動きを活発化させるのかどうかは今のところ予測不能だ。広東省で出現したものについても、いまだ出所は明らかになっていない。「デュアルモードの実験を行っていた中国電信(チャイナテレコム)系の内部から流出したとの見方も排除できない」(業界筋)とも言われ、すでに UT スターコムがベトナムで発売している同モデルの密輸版との噂も出ている。 また、ベトナムだけでなく、台湾では現地の PHS オペレータが三洋電機製の PHS/GSM デュアルモード端末を販売しており、今後は大陸に大量流入してくる可能性も十分にある。 しかし、「小霊通」自体、大陸で登場した当初から非公認の存在であり、情報産業部がこれを「黙認」する形で現在に至っている。「デュアル小霊通」も同じルートを歩むことになるのか。その行方に注目が集まっている。 (執筆:サーチナ・吉田雅史) |