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庭山 一郎 庭山 一郎(にわやま いちろう)
シンフォニーマーケティング株式会社 代表取締役

多くの経験を持つデータベースマーケティングプランナー。
現在はBtoBに特化してマーケティングをサポートしている。


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 ホーム  http://www.symphony-marketing.co.jp/

最新コラム

解約を25%削減したマーケティング手法

著者: 庭山 一郎 プリンター用 記事を転送
2006年8月23日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

目的が不明確では必ず失敗する

データベースマーケティングがうまくいかない原因のひとつに、「導入の目的が不明確」というものがある。実はこの原因で失敗しているケースは意外なほど多い。ここで言う「目的」とは「どういうマーケティングをしたいのか」ということだ。

1990年にデータベースマーケティングに特化したコンサルティング会社を設立してから、本当に多くの業種、業態、また、大小さまざまな規模のクライアントに恵まれ、それらのプロジェクトの現場でクライアントと一緒に四苦八苦する中で、多くのことを学ばせていただいた。

特に「目的を明確に」してシステム化すると、どれほど大きな成果が得られるかを実感し、それを体系化してきた。考えてみると、現在 BtoB の大手 IT 系企業や世界でもトップクラスの製造業などで実践しているマーケティング手法の多くは、小規模なクライアントの現場で学んだものをシステム化し、手法として確立したものが多い。

今日はそんな中のひとつを書いてみようと思う。

燃料販売店で学んだタイミングの重要性

データベースマーケティングで「アプローチのタイミングがどれほど重要か」を私はクライアントであった燃料販売会社から学んだ。

その会社は関東の山間部に8店舗のガソリンスタンドを展開し、ガソリンと灯油、そして周辺の約3,000世帯にプロパンガスを販売していた会社である。依頼のテーマは極めて具体的で「年間の解約数を10%削減したい」というものだった。

この地域の各家庭では、冬場は灯油を暖房の主燃料に使っていた。各家庭には備え付けの灯油タンクがあり、小型のローリー車で給油する販売方法だった。

世帯の家族構成が変わらなければ、基本的に灯油の消費量は大きく変わらない。だから灯油が底をつく時期を過ぎても購入しない家があれば、そこが他の燃料店から購入した、つまり「浮気をした」ことがすぐにわかる。

しかし、その時に慌てて営業に訪問させることは悪い結果しか生まなかった。なぜならその時は、顧客の灯油タンクは競合から買ったばかりの灯油で満タンであり、顧客は買うものもないし、いつも買っている店から浮気をしてバツが悪いから、かえって気まずい思いをさせてしまうことになる。

浮気の原因は多くの場合「価格」だから、それを理由に「お宅が高いから悪い」などとクレームを言われることにもなりかねない。しかし、競合の得意先を取りに行くときは大抵特別なディスカウント価格を用意するので、このクレームを真に受けて対抗値引きをすることは、地域の価格破壊を引き起こしてしまうので最も危険な選択だった。

いろいろ検証した結果、チャンスは灯油タンクの残量が15%を切ったタイミングだとわかった。

タイミングとコンテンツ、これがマーケティングの醍醐味!

実は、灯油の消費量は家庭によってかなり異なる。それは家の広さだけでなく、暖房器具のスペックであったり、風呂の湯沸かし器の種類なども大きな要因となる。

そして浮気相手の燃料店はその家庭の灯油の消費ペースをまだ把握していない。だから満タンだった灯油タンクの残量が15%を切ったタイミングがわかるのは長年灯油を供給した店だけの特権なのだ。

15%切ったタイミングでアプローチさせる。それも浮気を責めることなく、器具の点検やガソリンのオイルクーポンなど直接の値引きではないインセンティブを持たせて、必ず「この前は来るのが遅くなって不便をおかけしました、これからは気をつけます」と謝罪させる。これで多くの浮気を競合から取り戻すことができた。

間違っても2回、3回と浮気をさせてはいけないのだ。それはその家庭が競合店の顧客になったことを意味するからだ。この手法で解約を25%以上削減することができた。

また、この顧客管理の手法を応用し、システム化することで同じ要素を持つプロパンガスでも成功することができた。

しかし、残念ながらガソリンでは駄目だった。ガソリンは基本的になくなった時に最寄のスタンドで給油する。よほどの価格差がないと固定客に対するインセンティブにならないし、ガソリンの価格体系上そうした差別化した価格設定は不可能だった。

やりたいマーケティングができる、これが唯一の正しい選択

上記のように、「浮気を防ぐ」つまり退会や解約などのブランドスイッチを防ぐことが収益に大きく影響する場合、データベースマーケティングの正しい導入は決定的な効果を上げる。

顧客の動向から、危険な顧客を選別し顕在化する前に手を打つことができるし、もし顧客が浮気をしても、取り戻すタイミングを把握することができれば、かなりの確率で一度だけの浮気で済ませることもできる。新規顧客の開拓に湯水のように予算を使いながら、その一方で解約が後を絶たない、という悪循環を断ち切ることも不可能ではない。

正しい導入とは、こうした「誰が何を知るために、どんなデータが必要なのか」を明確に整理できていることだ。

これが整理されていれば、ソリューションの選定で悩むこともない。やりたいことができるかできないか、で明確に線が引けるからだ。

どんなに安くても、例え付き合いの長いシステム会社が提案してきても、やりたいマーケティングができないのであれば、検討する価値はまったくない。SFA や CRM などは、言うまでもなく道具だ。

家を建てるときに大工さんがたくさんの道具を使い分けるように、自分が作りたいものを、まず明確にして、そのために必要な道具を選ばなければ、何度でも失敗を繰り返すことになるだろう。




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