第三十七回 「SNS に参加するインセンティブ 〜各論1」経済的なインセンティブとしては、ポイントの付与が一般的である。ポイントは商品の購入やサービスの利用に使うことができ、実質的に値引き効果を生むので、運営者は発行費用をあらかじめ見積もる必要がある。
従来の EC サイトでは商品購入に対してのポイント付与のため、商品の価格に対するポイント付与率を計算することで、ポイント引当金の算出も容易であったが、SNS では偶発的な要因によってユーザーが増減するため、ポイント付与率の決定は慎重に行わねばならない。 1.ポイントの獲得 ・ページビュー増加のためのポイント制度 SNS は、ユーザーが参加して活性化することによってその価値を増すため、参加のタイミング・情報発信のタイミングに合わせてポイントが付与される。具体的には、SNS にログインした時、友人を SNS に招待した時、日記やクチコミ情報を書いた時、の3つのタイミングが挙げられる。美容をテーマにした女性向け SNS のキレイナビでは、友人の招待に対して10ポイント、日記の投稿に対して1ポイントなど細かなポイントを設定している。 ・アフィリエイトと連携するポイント制度 SNS に商品レビュー機能を実装し、バイラルマーケティングによる販売促進を狙う「ソーシャル コマース」(SNS 機能を備えるコマースサイト)が近日注目されており、ユーザーからのレビュー投稿を促進するためにポイント制度を導入する例も増えている。ビルコレや Colors といったコンシューマ SNS では、アフィリエイト機能が標準で使用可能であり、自分が紹介した商品を他のユーザーが購入した場合、ポイントが付与される。 ・マーケティングリサーチとポイント制度 マーケティングリサーチ空間としての SNS の価値に着目し、アンケートや商品モニターに対してポイントを付与する例もある。前述のキレイナビでは、化粧品の使用感などに対するアンケートや、新製品のモニター登録に対してポイントを付与し、リサーチ対象を囲い込んでいる。 2. ポイントの使用 ポイントの使用にあたっては、「交換単位の小口化」および「交換対象の多様化」が考慮すべき点となる。流通小売業を中心に発展したポイント制度では、ロイヤルユーザー・ロイヤルカスタマーの醸成が最大の目的であり、長期にわたって少しずつポイントを付与することが慣例となっている。 しかし、ポイントの交換単位が大きすぎると、ポイント制度のメリットは失われる。また、ポイント交換対象の多様化は、ユーザーにとって魅力的であるが、交換対象としてキラーコンテンツを用意していないサイトの場合、自社サイトが「小遣い稼ぎ」の場になる恐れがある。 これらの背景には、異なる事業者・サイト間でポイントの相互交換を可能にする「汎用ポイントサービス」の普及がある。SNS も一般型から特化型へのシフトが顕著であるが、ポイントの獲得から使用までを自社サイト内で完結させる仕組みを構築することが、顧客ロイヤルティ向上に有用である。例えば、ポイントによって交換できる商品を、SNS のテーマに即したものに限定するなどの対応が挙げられる。 3. 賞金制度 獲得したポイントを現金に換えることができる場合は少なくないが、ユーザーに対して直接現金を付与する場合もある。アメリカの動画共有 SNS である MetaCafe が提供する、Producer Rewards プログラムはその一例である。 このプログラムは、多くのページビューを獲得した動画を投稿したユーザーに賞金を与えるというもので、サイト運営者が得る広告料収入の一部をユーザーに還元している。ページビューに比例して賞金が増加するため、人気を博した動画の投稿者には数万ドルもの賞金が与えられる。高機能化する携帯電話に注目した動画共有 SNS のビデオポップでは、カテゴリ別の人気動画の投稿者に対して、毎月1万円から5万円の賞金を与えている。 【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社アドバンスト SNS プランナーの大迫正治が担当しています】 ![]()
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