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斉藤 徹・福田 浩至(さいとう とおる・ふくだ ひろし) |
SNSコミュニティを簡単に構築できるASPサービス Looops を開発。ビジネスへの戦略活用を提案している。
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第五十八回 「Enterprise 2.0 の事例研究(1)ビジネス人脈を共有する」
著者: 斉藤 徹・大迫 正治 プリンター用 記事を転送
▼2007年8月21日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
今回から数回にわたり、Enterprise 2.0、つまり「ユーザー参加の仕組みを取り入れたビジネス向け Web サービス」について、いくつかの分野ごとに事例を取り上げながら考察してみたい。
今回は、ビジネス人脈を可視化・共有することで新たなビジネスチャンスを創り出す試みを取り上げよう。ビジネスの世界において、人脈は極めて重要だ。コンシューマ向けのオーソドックスな SNS では、ユーザー同士のつながりは「友人」という唯一の表現しかなく、欲しい情報も年齢や性別、趣味など基本的な属性情報でしかなかった。
しかし、企業にとって人脈とはまさに資産そのものであり、人材採用・販売チャネル開拓・事業パートナー募集・市場調査など、人脈が死活的に重要な役割を果たす局面は多い。これは社内人脈についても同じことが言える。
1. 職歴・学歴・専門性・興味関心の公開
人脈を活用するための第一歩は、自分自身が何者であるかを公開することだ。アメリカの老舗ビジネスネットワーキングサービスである LinkedIn では、ユーザーは過去に遡って所属した会社名・役職・期間などの情報だけでなく、具体的な業務内容や専門性、そして同僚による評価を表示する。プロフィールの充実度は下図のように可視化され、公開する項目が増えるほど、人材採用オファーや、業務提携依頼も増える。
LinkedIn では、同僚や同窓生など「似た属性」を持つユーザーとのマッチングに優れているが、一方でドイツ発の Xing は「Haves & Wants」という項目を設け、潜在的な人脈ニーズに沿った「欲しい人脈」とのマッチングを進めている。Xing は2006年末に株式公開を果たしている、欧州の先駆者だ。
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図1 LinkedIn:プロフィールの充実度を可視化する
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2. コンタクトリストの公開
人物像が判明した後は、どうやってその人物にアプローチするか、が問題となる。Xing はこの点に注力し、「プロフィール情報」とは別に詳細な「コンタクト情報」の入力を促している。電話番号・FAX 番号・メールアドレス・郵便番号・住所・Skype・ICQ・MSN・Yahoo!・AIM など、極めて多様なコンタクト情報を登録できるとともに、これらの情報の公開範囲を6段階にわたって詳細に設定することが可能だ。ビジネスネットワークでは、この価値ある個人情報の束を強固なセキュリティで守ることが求められる。
3. 人脈の公開
ある人物の付加価値は、その人物が持つ人脈の広さに比例する、という考えは、ビジネスネットワークでの基本的なコンセプトだ。LinkedIn や Xing をはじめとする多くのビジネスネットワーキングサービスでは、人脈の価値を端的に「人数」によって測っていたが、これに対して、人脈の「親密度」や「多様性」を重視した新たな仕組みを導入したのが VisiblePath である。
VisiblePath では、人間関係を様々なデータから調べ上げ、最も親密度の高い経路をユーザーに勧めることが可能だ。VisiblePath はこの仕組みを営業担当者の支援ツールとして位置づけ、企業への導入も進めている。
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図2 VisiblePath:人間関係を測定する
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図3 VisiblePath:最適なアプローチ方法を選択
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4. 日常業務を通じた人脈情報の収集
こうした人脈に関する情報は、日常業務を通じてストレスなく収集されなければならない。LinkedIn は Outlook 用のプラグインを、Xing はさらに Lotus Notes 用のプラグインを提供しており、情報を相互に利用可能なものにしている。さらに VisiblePath では、メールのやりとりやアポイントの設定などの情報を定期的に Outlook から収集・分析し、常に最新の人脈情報を自動的に構築している。VisiblePath は Salesforce の AppExchange でも利用可能だ。
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図4 Xing:Outlook や Lotus Notes 用にプラグインを提供
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5. コンタクトポイントでの段階的課金
こうして構築された複雑な人脈データベースは、様々なコンタクトポイントでの段階的な課金を可能にした。どのような距離にいる(一次、二次、三次)どのような人物(職歴・学歴・専門性)に、どのような方法で(メール、広告、紹介)コンタクトをとるか、そのすべての組み合わせに異なる価値があり、多くは課金の対象となる。
前述のサービスでは2段階〜4段階の課金体系を用意しており、それぞれに異なる機能を与えている。例えば、三次以上の隔たりにいるユーザーに直接メールでコンタクトを取りたい場合は、一回当たり○○ドル必要、といった具合だ。
ビジネス人脈は詳細であればあるほど、信憑性が高まり、価値あるデータベースとなる。そのためには、人脈の広がる様を巧みに可視化してみせたり、万全のセキュリティシステムを構築したりすることで、情報発信を促すようなインセンティブをきちんと示すことが重要だ。
グローバリゼーションに起因して人材の流動性が高まり、個人単位でボーダーレスに働くスタイルが一段と普及するにつれ、こうしたビジネスネットワーキングサービスの持つ意味は今後ますます大きくなっていくだろう。
【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社企画部長の大迫正治が担当しています】
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