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斉藤 徹・福田 浩至 斉藤 徹・福田 浩至(さいとう とおる・ふくだ ひろし)
SNSコミュニティを簡単に構築できるASPサービス Looops を開発。ビジネスへの戦略活用を提案している。

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最新コラム

第六十一回 「Enterprise 2.0の事例研究(4)タスクの共有と相互マネジメント」

著者: 斉藤 徹・大迫 正治 プリンター用 記事を転送
2007年9月19日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

Web は情報の流通や企業内ナレッジのあり方に大きな変化を与え、企業は従来のピラミッド型組織に加えて、水平的な広がりを持つネットワーク型組織の長所を取り入れるようになった。また、便利なツールが整えられることで Web への参加が進み、ソフトウェア業界を中心に、個々の労働者は企業に依存しないワークスタイルを顕著に身に付けている。

このように「企業」単位ではなく「個人」単位で力を発揮する局面が増えるにつれ、個人レベルでのタスクをマネジメントする必要性も高まっている。個人に対して自律性・自己管理能力が今まで以上に求められるとともに、分権化のリスクも生じてくるが、これまで個々人の意識の中に潜んでいたタスクの状況を Web 上に公開することで、ここに活路を見出そうとする動きもある。今回はこうしたタスクの共有と、緊張感のある「相互マネジメント」を取り上げよう。

タスクを公開し共有することによるメリットは、単なるリソースの把握やスケジュール管理にとどまらない。言わば相互監視状況を生むことで緊張感をもたらしたり、能力と実績に見合ったタスクを実行する義務感をもたらしたりする。作業のベースを Web に置くことで透明性を高め、リスクマネジメントにも役立つだろう。

1. オンラインワークスペース

タスク共有の第一歩は、オンラインにプロジェクトメンバーのタスクを公開し、そのスペースをあらゆる作業の起点・終点と位置づけることだ。例えば Central Desktop は、見慣れたカレンダーにメンバー全員のタスクをマッピングするとともに、進捗状況をグラフで表示する。最低限の機能だが、まずは Web 上に「メモをとる」感覚の延長でタスク管理を行うことが重要である。

図1 CentralDesktop:タスクの進捗管理


2. プロジェクト管理

タスクに関する基礎的な情報が Web 上に出揃ってくると、それらを時系列に並べ、マイルストーンを併記することでプロジェクト管理が可能となる。Clarizen は、プロジェクトごとのマイルストーンとタスク管理機能を備え、個々のタスクに対して進捗状況を把握することができる。タスク間の順序や、タスクに必要なリソースを割り当てることにより、単なる「自発的な公開と共有」から、「意識的な指示とマネジメント」を実現する。

図2 Clarizen:プロジェクトでのタスク管理


3. 個人同士の密結合

完全に独立した個人が集まってプロジェクトを遂行するためには、人間もしくはシステムのどちらかに、強い管理能力とリーダーシップが必要となる。oDesk はシステムによってこれを実現しようとする稀有な取組みだ。

プロジェクトリーダーはメンバーにタスクを割り振り、マイルストーンと進捗状況を管理するだけでなく、メーリングリストや共有ファイルを利用したコミュニケーションによってタスクの徹底管理を行う。ファイルの受け渡しに伴い、秘密保持契約や知的財産権関連契約の締結もオンラインで行うことができるほか、カメラとスクリーンショットによって衆人環視とも言える状態を実現することも可能だ。

図3 oDesk:徹底した進捗管理


oDesk のような強力な管理手法は珍しいが、タスクを管理するためのタスクが多すぎると、プロジェクト全体としての進捗には逆効果をもたらすだろう。メンバーのタスクを管理する立場にあれば、すべてを自動化し、可視化し、管理したいという誘惑は絶えず湧くものだが、目的に応じて機能を絞った使い方が必要である。

例えば最低限のリスク回避のためにタスク項目を列挙するためならば、タスクを大まかに分類する機能が求められる。チームワークが重要であれば、相互に通知する機能や、コミュニケーションによる補完が求められる。単発的なタスクではなく、プロジェクトの一環としてタスクを管理するならば、期限とアラートの設定や、マイルストーンの設定が必要だ。

タスクの公開と共有は、分権化を促すと同時に「相互マネジメント」とも呼べる状況を作り出す。メンバー全員が情報を共有することで、全員が責任感とリーダーシップを増すことができれば、生産性はおのずと向上するだろう。

【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社企画部長の大迫正治が担当しています】



過去コラム集
第六十回 「Enterprise 2.0 の事例研究(3)ユーザー参加の仕組みを利用した市場調査」
第五十九回 「Enterprise 2.0 の事例研究(2)フォークソノミーによる文書管理」
第五十八回 「Enterprise 2.0 の事例研究(1)ビジネス人脈を共有する」
第五十七回 「コントロール&コラボレーション Enterprise 2.0の機運」
第五十六回 「SNS 構築パッケージ市場の展望〜2007年度約10億円、前年対比約200%」
第五十五回 「携帯 SNS が導くケータイコンテンツ2.0(5)携帯 SNS の今後」
第五十四回 「携帯 SNS が導くケータイコンテンツ2.0(4)携帯 SNS の機能とインターフェイス」
第五十三回 「携帯 SNS が導くケータイコンテンツ2.0(3)携帯 SNS 普及の背景」
第五十二回 「携帯 SNS が導くケータイコンテンツ 2.0(2)海外の携帯 SNS の動向」
第五十一回 「携帯 SNS が導くケータイコンテンツ 2.0(1)国内の携帯 SNS の動向」
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