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斉藤 徹・福田 浩至 斉藤 徹・福田 浩至(さいとう とおる・ふくだ ひろし)
SNSコミュニティを簡単に構築できるASPサービス Looops を開発。ビジネスへの戦略活用を提案している。

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 ホーム  http://looops.net

最新コラム

第六十四回 「Enterprise 2.0の事例研究(7)企業内ソーシャルブックマークによる情報共有」

著者: 斉藤 徹・大迫 正治 プリンター用 記事を転送
2007年10月23日 09:00 付の記事
□国内internet.com発の記事

一般ユーザー向けの Web 2.0サービスで早くから成功を収め、アメリカでは最も競争の激しい分野と言われるのがソーシャルブックマークである。ソーシャルブックマークとは、Web 上の気になるページに、タグ(ラベル)やコメントを好きなように付け、他のユーザーに公開したり、仲間内で共有したりするサービスを指す。 Blog や SNS や Wiki などの他のサービスと同様に、ソーシャルブックマークもそのビジネス メリットが再解釈され、企業内への導入が徐々に進められている。

今回は、企業内でのソーシャルブックマーク活用について、機能や導入の目的・効果にスポットを当て、具体的な事例を交えながら述べてみたい。

1. 企業内ソーシャルブックマークの主な機能

ソーシャルブックマーク利用の基本的な流れは、ブックマークにタグをつけ、公開するというものだが、利用頻度が高いアクティブなユーザーほど、社外の情報にアンテナを張り、積極的に情報収集していると考えられる。このことから、アクティブなユーザーのリストを示すことで、情報の偏在を緩和することができる。

また、各ページにつけられたタグを集計し、ランキングやタグクラウドに加工することで、ユーザーの目を通じて外部環境のトレンドを浮き上がらせることができる。Connectbeam は、ブックマークするページの内容を自動的に解析し、重要と考えられる単語をタグとして推奨する機能を持っている。

図1 Connectbeam


海外ではソーシャルブックマークを「ソーシャルタギング」あるいはシンプルに「タギング」と呼ぶことがあることからもわかるように、タグの付与(タギング)はソーシャルブックマークのシンボル的な機能である。例えば Cogenz は、すでに付けられたタグのリネームを行う機能を持っており、表記のゆれを防いで情報共有を確実なものにしている。タグが複数のページに亘って付けられていても、リネームは可能だ。

図2 Cogenz


ソーシャルブックマークは Blog や SNS と比べて一人当たりの発信頻度が高いサービスであるため、情報過多に陥らないような仕組みが必要となる。この点、関連するページをまとめてフォルダに入れたり、最新のブックマーク一覧や、特定のユーザーのブックマーク一覧などを、週一回の定期配信としたりといった、情報の「まとめ」機能が取り入れられる傾向にある。

また、企業内ソーシャルブックマーク独自の機能としては、ファイヤーウォール内のイントラネット各ページのブックマークを可能にしたり、タグからユーザーの専門性を示したり、部署や職階によってアクセス制限を設けたりすることなどが挙げられる。

2. 企業内ソーシャルブックマークの目的

こうした機能を持つソーシャルブックマークの導入目的としては、何よりも内外の情報収集・情報共有にあると言える。例えば、敏感なアンテナを張ったマーケットリサーチャーの分析力を、社内全ての従業員が簡単に手にすることができる。スピード感のある市場調査は、小規模のベンチャー企業やタスクチームにおいて極めて重要な意味を持つだろう。

また、誰がどんな情報に目を向けているのかを明らかにすることで、その個人や部門に与えられたミッションの過程を可視化したり、個人や部門が認識しているトレンドを追いかけることができる。Web に流れる一つのニュースから、全社的な戦略転換が行われることは今やまったく珍しくなく、各従業員は幅広い視野を求められている。また、企業内サービスではないが、医薬・ヘルスケア分野の市場調査に特化した Connotea のように、特定の分野の情報が集まるようなソーシャルブックマークも現れてきている。

図3 Connotea


3. 企業内ソーシャルブックマーク導入のメリット

企業内にソーシャルブックマークを導入する上で、特に Blog や SNS など他の Web 2.0サービスと比べ、強調しておくべきメリットは3つある。

まず第一に、ユーザーは情報を意識して発信することが必要ない。ソーシャルブックマークの核となるコンテンツは、すでに社外の誰かが発信した Web サイトであり、ブックマークするために必要な動作はワンクリックだけである。Blog や SNS が長大な文章作成を強いるのと比べ、ユーザビリティの優位性は大きなメリットだ。

第二に、目的が絞られている。ソーシャルブックマークの目的は社外の情報、特にニュースやプレスリリース、業界動向を素早く補足し、社内で共有することにある。ユーザーのアクションも限定されているため、迷うことが少なく、機能不全に陥るようなことも少ないだろう。ユーザーは単に情報共有に取り組むのみである。

第三に、費用対効果が高く、効果を実感しやすい。毎朝ポータルサイトのニュースだけ読んでいたユーザーは、市場の重要な情報を素早く手にすることができるようになり、その効果をすぐに感じることができるだろう。また、ソーシャルブックマークは仕組み自体もシンプルであり、ライトウエイトなアプリケーションであるため、導入へのハードルも低いと言える。

今回は、ソーシャルブックマークの企業内利用に焦点を当てた。今後の導入が期待される分野である。

【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社企画部長の大迫正治が担当しています】



過去コラム集
第六十三回 「Enterprise 2.0の事例研究(6)手軽にカスタマイズできるオンラインアプリケーション」
第六十二回 「Enterprise 2.0の事例研究(5)Wiki によるコンテンツ コラボレーション」
第六十一回 「Enterprise 2.0の事例研究(4)タスクの共有と相互マネジメント」
第六十回 「Enterprise 2.0 の事例研究(3)ユーザー参加の仕組みを利用した市場調査」
第五十九回 「Enterprise 2.0 の事例研究(2)フォークソノミーによる文書管理」
第五十八回 「Enterprise 2.0 の事例研究(1)ビジネス人脈を共有する」
第五十七回 「コントロール&コラボレーション Enterprise 2.0の機運」
第五十六回 「SNS 構築パッケージ市場の展望〜2007年度約10億円、前年対比約200%」
第五十五回 「携帯 SNS が導くケータイコンテンツ2.0(5)携帯 SNS の今後」
第五十四回 「携帯 SNS が導くケータイコンテンツ2.0(4)携帯 SNS の機能とインターフェイス」
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