|
|
 |
斉藤 徹・大迫 正治(さいとう とおる・おおさこ まさはる) |
SNSコミュニティを簡単に構築できるASPサービス Looops を開発。ビジネスへの戦略活用を提案している。
|
|
|
|
|

 |
第六十七回 「Enterprise 2.0の事例研究(10)Enterprise 2.0 システム導入のポイント」
著者: 斉藤 徹・大迫 正治 プリンター用 記事を転送
▼2007年12月4日 11:00 付の記事
□国内internet.com発の記事
初回のイントロダクションを含めて過去10回に亘り、企業において従業員や顧客の集合知をどのように業務に活用してゆくか、事例を多く取り上げながら考察を述べてきた。「企業体(=Enterprise)」に Web 2.0の仕組みを活用することから、、このような一連の新しい取り組みは「Enterprise 2.0」と呼ばれ、今後の発展が期待されている。
本来、集合知というものは目的に応じて千差万別なものであり、単に SNS や Blog や Wiki などの出来上がったツールを企業に導入すれば済むというものではない。また、コンシューマ向けサービスとは異なり、企業には「ガバナンス」や「コントロール」という重要な価値規範がある。Enterprise 2.0とは、企業としての統制の中で、自由でクリエイティブな集合知を活用するという、極めてチャレンジングな試みである。
企業が活用できる集合知には、大きく分けて企業内の集合知と、企業外の集合知の二つがある。
■ 1. 企業内の集合知
本コラムでは、企業内の集合知を活用する方法としては、フォークソノミーによる文書管理や、Wiki によるコンテンツ コラボレーション、企業内ソーシャルブックマークによる情報共有などを取り上げた。企業内での集合知を活用する際の注意点としては、コーポレート ガバナンスとの両立が重要である。経営陣がボトムアップの提言を軽視したり、集合知による自浄作用に懐疑的な態度をとったりしていると、効果は望めないだろう。
■ 2. 企業外の集合知
一方、企業外の集合知を活用する方法としては、ユーザー参加の仕組みを利用した市場調査や、クラウドソーシングを利用した商品企画を紹介した。企業外の集合知はガバナンスとは無縁なので、極めて多彩なユーザーの声を集めることができる。ただし、信頼関係をバックに持つ企業とは異なり、企業外の集合知については情報の信憑性に注意を払う必要がある。
以上のように、企業内・企業外には様々な集合知が存在するが、これらを導入する上で重要なのは、決してシステムの機能だけではない。以下では、Enterprise 2.0システムを導入する上でのポイントを挙げてみる。
■ 1. テクノロジーよりも意識
Enterprise 2.0システムを導入したからといって、自動的に情報の発信と流通が促進されるわけではない。トップダウンによる意識改革を行い、「先入観を捨てる」「まずは使ってみる」といった姿勢を浸透させることが必要だ。
■ 2. 導入目的の明確化
システムには機能が多くあるが、決して機能ありきで考えてはならない。各機能の特性を把握し、自社が何を達成したいのか、目的を明確にして導入することが求められる。スピーディーな情報共有が目的であれば RSS を活用する、プロジェクトの進捗状況を把握することが目的であれば、個々人のタスクを可視化する、など、目的指向の機能設計が重要である。
■ 3. マネージャー層の積極参加
マネージャー層は、若手の社員から、「ユーザー参加型の仕組みを阻害する人々」との印象を持たれるリスクがある。これを回避するため、発言しやすい風土作りに励み、インフォーマルな情報にも寛容な姿勢を保ち、そして部下に率先してシステムを利用することが求められる。
■ 4. 参加へのインセンティブ
企業内での行動はすべて、何らかの報酬や地位の形でフィードバックを受けることになる。つまり、誰もボランティアで企業に貢献するわけではない。このため、質の高い情報をたくさん企業内に蓄積するためには、従業員の専門性を評価したり、集合知形成への寄与度を数値化するなど、参加のためのインセンティブを設計することが必要である。
これらのポイントは、あらゆる Enterprise 2.0システムに共通する原則だ。企業とは元来ピラミッド型の指揮系統を持っているもので、ボトムアップの動きに対抗力が生じることは自然である。今後の Enterprise 2.0システムの普及は、企業文化のあり方にも再考を迫るものになるだろう。
【当コラム執筆は、Looops Communications 代表である斉藤徹と、同社企画部長の大迫正治が担当しています】
|

 |
|