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One to oneマーケティングの本質を探る
One to oneマーケティングの本質を探る 山川 義介(やまかわ よしすけ)メールホームrss
TDK、マルマン等3社を経て、インタースコープを設立。05年ALBERT設立。07年より関東学院大学人間環境研究所客員研究員。08年より明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科(MBA)非常勤講師[CRM、イノベーション論]。

POS データと eCRM

1982年、セブン-イレブンが日本で初めて導入した POS(Point of Sales)システムは、商品に印刷されたバーコードをレジのバーコードリーダーで読みとると、購入品目、点数、購入時刻などを瞬時に本部に送るというものだ。

在庫管理や売れ筋分析などに活用され、定番商品の決定に大きな影響力を持っていたと言われる。その日の天候や気温などの情報も同時に取得され、さらに購入時にレジで店員が購入者の性別年代を予測し入力している。これによりどんな顧客がどんな商品をいつ購入したか、また何と何を一緒に買ったかなどのマーケットバスケット分析も盛んに行なわれた。

「POS システム」イメージ
「POS システム」イメージ

しかし POS システムも万能ではなかった。確かに購入した顧客のことはわかるが、購入しなかった顧客や商品のことはわからない。また、昨日購入したAさんが今日購入したかどうか、過去に購入したかもわからず、個人の購買履歴を継続的に追うことはできない。結局、POS による One to One のマーケティングの実現は難しく、市場調査を行なって売れない理由を分析する必要があった。

インターネットや電子メール、携帯電話などを利用し、顧客とのタッチポイントを最大限に活用して、効率良く効果的に顧客へのアプローチを図る CRM を「eCRM」という。インターネットでは個人の行動ログ(アクセス履歴や購買履歴)を簡単に取得することができる。

商品を見たが買わなかった、何と何を比較して結局どの商品を買った、何と何を同時に買ったという情報が自動的に蓄積される。原理的には簡単に eCRM が実現しそうに思えるが、現実的には大手 EC サイトでさえ、行動ログを基に適切に顧客をセグメントし、マーケティング活動に活かしている例は少ない。なぜなのだろうか。

CRM の実施に関する具体的最終課題は、取引履歴として自動的に蓄積される消費者行動に関する大量データを利用して“異質”な顧客を理解し、個別対応することである。

CRM を実現する手段のひとつとして、データマイニングがあるが、データマイニングは問題発見の技術であり、例えばビールとおむつが同時に購買されているという関係性を発見することには大きな価値を見出すが、その結果に対する原因がどこにあるのかまでは明らかにされないことが多い。言い換えれば行動ログから消費者心理を発見することは非常に困難であると言えよう。

もうひとつの理由としては、行動ログデータは、リサーチから得られるデータと異なりゴミが多い。マイニングが「鉱山から金属の鉱脈を採掘する」という意味であるように、金鉱は見つからないかもしれないし、たとえ見つかるとしても、それまでに採掘しなくてはならない価値のない岩石の量が膨大なのである。従って、自動的に蓄積される行動ログからマーケティング的な意味を発見するのがいかに難しいかが理解できる。

大量かつ自動的に取得できる行動ログを活用することで、真の One to One マーケティングを実現する期待が高まっているのだが、以上の理由により現実的にはまだ充分に活用できていない。ところが、昨今のインターネット技術により、画期的なブレイクスルーが起きている。

次回はこのブレイクスルーについてお話したい。

(執筆:株式会社ALBERT 代表取締役会長 山川義介)

記事提供:株式会社ALBERT

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